KIT航空宇宙ニュース2020WK40

KIT航空宇宙ニュース

KIT航空宇宙ニュース2020WK40

海外のニュース

1.米国新興企業が水素燃料による燃料電池推進航空機の開発計画を発表

元 エアバスとユナイテッド・テクノロジー社の主席技術責任者であったPaul Eremenko氏が設立した米国カリフォルニア州の新興企業、Universal Hydrogen 社が、Dash 8-Q300 と ATR 42 のリージョナル旅客機を水素を燃料とする燃料電池式電気推進システムへ改造する計画を発表。これは、エアバス、ボーイングが次世代単通路機(A320,737後継機)の設計を決める前に、水素燃料推進システムを早期に採用することで、水素供給インフラ構築の促進を図るものだという。【Flightglobal】

【Flightglobal提供】

 

2. エアバス社がゼロエミッション(排出ガスゼロ)航空機コンセプトを3種発表

エアバス社は、2035年頃に導入する新世代のゼロエミッション航空機の開発に本腰を入れている。3つのコンセプト全てで水素を主要な動力源として使用すると発表。第1のコンセプトは、A320neoファミリーと同じ120-200人乗りの機体で、水素で駆動するターボファンエンジンを使用する以外は従来のレイアウトを採用。水素タンクは胴体後部圧力隔壁の後ろに配置され、航続距離は2,000 海里。

第2のコンセプトは、最大100人乗りの高翼ターボプロップ機で、水素燃料タンクは上記と同様胴体内に設置される。

第3のコンセプトは、blended wing 機(胴体と主翼が一体となった機体)で最も先進的。エアバスは既にスケールモデル機のテスト飛行に成功している(KIT航空宇宙ニュース2020WK38で「フライングV」として既報)。このコンセプトは、水素タンクの貯蔵と供給に最適な機体形状をしており、新しい客室デザインの創造も可能で最大200 人の乗客を収容することができる。【AIRBUS】

【エアバス提供】

3. フランスのタレス社が無人成層圏バス(ストラスバス:Statobus)を開発

民間航空、宇宙、交通システムや防衛システムなどを手がけるフランスの大手企業タレスは、通信衛星に代わる世界初の成層圏を飛行する無人飛行体「ストラトバス(成層圏バス)」を実用化する計画を進めている。タレスジャパン(東京都港区)のシリル・デュポン社長は実用化の時期について「2、3年以内を目指している。企業や政府機関などからのニーズは高い」と明かし、既に日系企業が部品の応札に参加するなど、関心を寄せている。【ニュースイッチ】

【Thales社提供】

 

4. 代替燃料イノベーション会社 Zero Aviaが初の水素燃料電気推進旅客機の飛行に成功

代替燃料イノベーション会社の Zero Avia は、Piper M350(6 人乗り)機を改造して「世界初」の水素燃料電池を搭載した機体を、9月24日、英国Cranfield にある同社の研究施設から、世界初となる水素燃料電気推進商用旅客機の飛行を達成したと発表。同社は、開発プログラムを進め、今年末までにスコットランド北部沿岸沖のOrkney 空港から250~300nm の距離をゼロエミッション(排出ガスゼロ)飛行することを目指している。更に、Zero Avia とそのパートナーの一つであるEuropean Marine Energy Centre は、Cranfield において、水素空港給油エコシステムMicrocosm を開発した。【Flightglobal】

【Zero Avia提供】

 

5.スウェーデンの新興企業 Heart Aerospace 社が全電動商用航空機を製造

スウェーデンのGothenburg に拠点を置く新興企業 Heart Aerospace 社は、「ES-19」と名付けられた(19)人乗りの全電動商用航空機を製造し、2026年半ばまでに飛行する計画。ES-19は、800mの滑走路で離着陸ができる機体で、これまでに8社から、147機の引き合いがあったとしている。【Flightglobal】

【Aviation International News提供】

6. ロールスロイス社が電動推進システムを開発

ロールスロイス社の航空宇宙部門は、英国政府が支援するACCEL プログラム(Accelerating the Electrification of Flight)の地上試験を完了したと発表した。この電気推進システムは、250軒の家庭に電力を供給するのに十分なエネルギーを持つバッテリーを使い、「Spirit of Innovation」機に搭載し、全速力で運転した場合、プロペラが2400rpm で回転し時速300 マイルで飛行することが可能。同型機は、今年後半に初飛行を行い、来年初めに世界の速度記録を更新するために使用される予定。【Avitraider】

【Flightglobal提供-Sprit of Innovation機】

 

日本のニュース

1.内装品メーカーのジャムコが「手を触れずに出られるラバトリー」開発

ジャムコグループでは、お客様が航空機に搭乗する際に抱く不安を少しでも解消できるように、清潔で衛生的なキャビンを作りのための製品の開発“Project Blue Sky”に取り組んでいる。ジャムコでは全日空の「ANA Care Promise 」の取組と連携して、世界で初めてとなる「手を触れずに出られるラバトリー」の開発を共同で進めおり、航空機ラバトリー向けハンズフリーのドアノブとハンドルのデザインは、全日空とジャムコで検証を重ねた結果考案したものです。【Flightglobal】

【Aviation Wire提供】