KIT 航空宇宙ニュース2020WK42

KIT航空宇宙ニュース

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海外のニュース

1. 米国Boom社が超音速実証機XB-1ロールアウト

超音速旅客機を開発中の米Boom Technology(ブーム・テクノロジー、本社デンバー)は現地時間10月7日、超音速飛行の技術実証機「XB-1」をロールアウト(完成披露)した。今年後半から試験を開始し、2021年の初飛行を計画している。XB-1は2人乗りで、主翼の形状はデルタ翼を採用し、エンジンは既存のGE製J85-15が3基。アフターバーナーを使ってマッハ2.2(時速換算2335キロ)の実現を目指す。2021年にカリフォルニア州モハベ砂漠で飛行試験し、同時に風洞実験も実施。2025年の実用化を目指す。

BoomはXB-1で超音速飛行の技術を検証し、同社初の超音速旅客機「Overture(オーバーチュア)」の開発につなげる。日本航空(JAL/JL、9201)は2017年12月に同社と提携して1000万ドルを出資し、将来の優先発注権を20機分確保している。【Aviation Wire】

XB-1

Zoom Overture

【Air Transport News提供】

 

2.航空業界、下期に770億ドル流出の恐れ IATA見通し、政府に追加支援呼びかけ

IATA(国際航空運送協会)は現地時間10月6日、航空業界は下期に770億ドル(約8兆1412億円)の現金が流出するとの見通しを発表した。中国から拡散した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で旅行需要の回復が遅れていることによるもので、IATAは各国政府に対し、航空会社への追加支援などを呼びかけた。

月額に換算すると130億ドル、毎分30万ドルが流出することになるという。航空需要の回復の遅れにより、2021年も月平均50億から60億ドルが流出するとの見通しも示している。

IATAによると、各国政府はこれまでに、賃金の補助や法人税の軽減など、1600億ドル相当を支援している。【Aviation Wire 】

 

日本のニュース

1.川崎重工が無人コンパウンド・ヘリコプター「 K-RACER 」の飛行試験に成功

KACERとは、Kawasaki Researching Autonomic Compound to Exceed Rotorcraftの略で、当該機はメイン・ローター(直径4m)と、テール・ローターの代わりに左右両舷に主翼およびプロペラを持つ、コンパウンド(複合型)・ヘリコプターと呼ばれる特殊な形態の試験機で、左右のプロペラによりメイン・ローターの回転に伴うトルクを打ち消すとともに前進推力を発生することができる。また、前進飛行では主翼が揚力を分担することで、メイン・ローターの負担を減らし、従来のヘリコプターでは達成できない高速飛行が行えるコンセプトとなっている。なお、この機体は航空宇宙システムカンパニーが開発し、動力源は当社製モーターサイクル「Ninja H2R」のスーパーチャージドエンジンを搭載している。【川崎重工業】

【川崎重工業提供写真】

2.ANA、ロボットが自動で手荷物搭載 国内初、佐賀空港で自動運転車両と連携

全日本空輸(ANA/NH)は、乗客が預けた手荷物をロボットが自動で「バルクカート」と呼ぶ荷車に積み込む様子を、佐賀空港で報道関係者に公開。国内初の取り組みで、3月に実用化。乗客が預ける荷物の約6割にあたるキャスター付きのキャリーバッグを、自動で積み込む。一方で、マイレージの上位会員の手荷物など、係員が積み込みたい場合は目印になる小型のコンテナボックスをチェックインカウンターからベルトコンベヤーに流すことで手動に切り替わり、自動化と係員による個別対応を低コストで両立。【Aviation Wire】

【Aviation Wire提供】

3.JAL、パイロットのインターン募集 オンライン開催

日本航空(JAL/JL、9201)は10月8日、パイロットのインターンシップの募集を始めた。日程は2日間で、11月から順次オンラインで開催する。自社養成パイロットの業務体験を通じて、パイロットの仕事や航空業界に関する理解を深めてもらう。

対象は4年制大学または大学院の在籍者で、パイロットの仕事に興味がある人。模擬フライトを体験するグループワークやパイロットとの交流の場を用意する。パイロットの仕事だけではなく、プロフェッショナルとしての考え方や、働く中でのリーダーとしてのチームマネジメントを学べるという。詳細はエントリー後に確認でき、説明会を10月13日と14日、15日にオンラインで開く。【Aviation Wire】