KIT航空宇宙ニュース2021WK09

KIT航空宇宙ニュース

KIT航空宇宙ニュース2021WK09

海外のニュース

1. FAAがPW4000エンジンに対し緊急AD(Airworthiness Directive)を発行

FAA(米連邦航空局)は、先日ユナイテッド航空のPW4077 の故障が発生した後、米国のOperator(UAL)に対し、P&W 製の特定のエンジンのTi 合金製 中空Fan blades のThermal Acoustic Image(TAI;熱音響画像) inspection を直ちに実施するよう要求。TAI は、中空のファンブレードの内面や、目視検査では見えない部分の亀裂を検出することが可能で、プラット・アンド・ホイットニー(P&W)社が中空コアターボファンエンジンのファンブレードの内部および外部の亀裂を検出するために2005年頃に開発した検査プロセス。尚、米国運輸安全委員会(NTSB)は、破損Engine の予備検査の結果、22 枚のファンブレードのうちの1 枚の金属疲労が原因である可能性が高いと発表した。【Flightglobal News】

【Yahoo News提供】

 

2.Safran社が、Airbus社と共同で将来の航空燃料源としての水素の可能性を調査

Safran は、Ariane Group(Safran と AIRBUS に共同出資によりロケットを製造している)や Airbus と共同で、将来の航空燃料源としての水素の可能性を調査する研究を開始。Hyperion と呼ばれるこのプロジェクトは、「水素エネルギーチェーン」を評価するもので、水素は灯油よりもエネルギー密度が高い一方で、液体の状態では-253℃で 4~5 倍の大きさのタンクに貯蔵する必要があり、課題は「タンクと分配システムにある」としている。【Flightglobal】

【Flightglobal提供】

3.Safran社は2030年代半ばに燃料消費量を20%節約できる次世代エンジンを計画

Safran社とCFMインターナショナル合弁会社のパートナーであるGEアビエーション社は、次世代の民間航空機エンジンが2030年代半ばにサービスを開始するために必要な技術を開発し、燃料消費を20%以上削減することを目標としている。Safran社の最高経営責任者であるオリビエ・アンドリーズは、フランスの航空宇宙グループは、気候変動に対処するための航空の取り組みの「最前線に立ちたい」と述べ、今後数年間で研究と技術予算の約75%をこの開発に向ける。Safran社は以前に将来のエンジン用Open Rotor設計を実証しており、デモンストレーターは、2つの逆回転ファンを備え、30:1のバイパス比で10トンの推力を提供するサイズでした。【Flightglobal News】

【Safran社提供:2017年に地上試験を実施した2重反転Open Rotorエンジン】

4. Joby Aviationが株式公開の計画を明らかにし、飛行中のeVTOLを紹介

シリコンバレーに本社を置くエアタクシー会社のJoby Aviationは、Reinvent Technology Partnersと合併して、上場企業になる計画を2月24日に明らかにした。また同日、5席の開発用eVTOL航空機のビデオを公開し、最高財務責任者としてフォードの最高幹部を採用したことを発表した。小型電気垂直離着陸(eVTOL)機の開発に関しては、LinkedInの共同創設者であるリードホフマンが率いる特別目的買収会社(SPAC)であるReinventと「最終的な合併契約」を締結し、取引が完了すると、ジョビーはニューヨーク証券取引所に上場する上場企業となる。【Flightglobal News】

【Joby Aviation提供:飛行中の開発中のeVTOL機】

 

5.EHangが北京で自律試験飛行を完了

中国の都市型エアモビリティの新興企業であるEHangは、生産能力の拡大に着手するにあたり、2人乗りのEH216の中国南部の海上での最初の試験飛行を無事に完了したと発表。無人航空機(AAV)は横琴新区から離陸し、珠海市の東澳島に着陸。今週初め、同社は北京での無人試験飛行の完了も発表している。これは、中国の高度に規制された空域である中国の首都上空を旅客グレードのAAVが飛行したのは初めて。これらの無人試験飛行は、中国の空域規制当局であるCAACから正式な承認を得ている。【Flightglobal News】

( 2人乗りのEH216の飛行動画YouTube URL: https://youtu.be/POe0eWmbOtY )

【eHang提供】

 

 

日本のニュース

1.エアアジア・ジャパン、破産手続き開始決定

帝国データバンクによると、エアアジア・ジャパンが東京地方裁判所から破産手続き開始決定を2月24日に受けた。申請時の負債総額は217億円。2020年11月に破産手続き開始の申し立てを同地裁に行っていた。エアアジア・ジャパンは中部空港(セントレア)を拠点とし、国内線は札幌(新千歳)線と仙台線、福岡線、国際線は台北(桃園)線の計4路線を運航していた。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で運休が続き、9月22日に中部-札幌線を2往復運航したのが最後となった。【Aviation Wire News】

【Yahoo News提供】

2. ホンダジェット、4年連続で世界最多納入 20年通期

本田技研工業の米国子会社ホンダ エアクラフト カンパニー(HACI)は現地時間2月24日、小型ビジネスジェット機「HondaJet(ホンダジェット)」の2020年通期(1-12月期)の引き渡しが31機(前年比5機減)となり、2017年から4年連続で小型ジェット機カテゴリーの世界最多納入になったと発表。ホンダジェットは2015年12月23日に量産初号機が引き渡され、2020年末までに172機を納入済み。内訳は2015年が2機、2016年は23機、2017年は43機、2018年は37機、2019年は36機だった。現在は日本と北米、欧州、中南米、東南アジア、中国、中東、インドで販売されている。【Aviation Wire News】

【Yahoo News提供】

3. JAL/ANA22年度も新卒採用見送り、パイロットと障がい者枠は実施

日本航空は2月25日、2022年度新卒者の採用を一部を除き見送ると発表。自社養成パイロット訓練生と企画職の障がい者採用は実施する。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、国際線を中心に事業規模を大幅に縮小するため。2022年度のパイロット訓練生と障がい者採用の人数は、3月以降に発表予定。JALは2021年度も両職種を除き新卒採用を見送っており、当初計画では業務企画職を約110人(事務系約40人、技術系約50人、数理・IT系約20人)、パイロット訓練生を約80人、客室乗務員を約400人を2021年度に採用予定だった。直近で最後に新卒者が入社した2020年度は、グループ34社合計で2315人が入社した。グループ会社も2022年度は一部職種を除き、採用を見送る。

全日空も、2022年度におけるANAグループの社員数は現状にて充足する見通しに立ったことから、2022年度入社の新卒採用は運航乗務員、障がい者手帳をお持ちの方を対象とした採用、産官学連携による一等航空整備士養成プログラム対象者職種に限定し、採用人数を大幅に圧縮することを決定。【Aviation Wire News】