KIT航空宇宙ニュース2021WK12

日本でミドリムシ由来のバイオジェット燃料が完成
KIT航空宇宙ニュース

KIT航空宇宙ニュース2021WK12

注:来週3月29日の「KIT航空宇宙ニュース2021WK13」は休刊とさせていただきます。再来週4月5日の「KIT航空宇宙ニュース2021WK14」にまとめて掲載いたします。

海外のニュース

1.エアバスとRR、代替燃料のみでA350試験飛行

エアバスとロールス・ロイス(RR)、SAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)を製造するフィンランドのNESTE(ネステ)は3月18日、航空機燃料としてSAFを100%使用した場合の排出ガスの研究を、ドイツ航空宇宙センター(DLR)と共同で始めたと発表。SAFは現在、既存の化石由来ジェット燃料に50%まで配合して使用することができるが、燃料をすべて100%とした場合の排出ガスや性能への影響などを調べる。エアバスが保有するA350の飛行試験機のエンジン1基に100%SAFを用いて、飛行中と地上の環境性能を検証。民間の旅客機を使った試験は初めて。16日に最初の試験飛行が実施され、4月にはA350の後方50メートルを追尾し、エンジンの排気を調べる。エアバスによると、通常のジェット燃料とSAFを比べてエンジンの挙動に違いはなかったという。【Aviation Wire News】

【Airbus提供】

 

2.元SpaceXエンジニアが地域航空と米軍向けに2段階式のeVTOL機を提案

2人の元SpaceXエンジニアがTalyn Air社を立上げ、地域の貨物と旅客の飛行、および米軍の任務のために、2段階式の電気垂直離着陸(eVTOL)航空機を提案。当該eVTOLシステムは、2段式のファルコン9ロケットにいくつかの点で似ている。このロケットは、2段目とペイロードを大気中に放出した後、ブースター段を地球に着陸させることが可能なもので、Talyn AirのeVTOLシステムは、離着陸用に接続されたリフト用機体とクルーズ用機体で構成され、垂直方向に一緒に離陸し、前進飛行へ移行後分離、VTOL部分は離陸パッドに戻り、クルーズ用機は長距離を電気航空機として飛行する。その後、目的地で別のVTOL機と空中ドッキングを行い、垂直飛行に移行して着陸するというもの。【Flightglobal News】

【Flightglobal News提供】

日本のニュース

1.三菱電機の3D プリンターがチタン加工を最大7割短縮

三菱電機は指向性エネルギー堆積法(DED)式3Dプリンターを開発し、2021年度中に製品化する。レーザー照射部に金属ワイヤを直接供給して造形する方式で、レーザー加工機などで培ってきた技術を結集した。

・材料にワイヤを採用;材料の利用効率が高まり材料価格を削減できる、材料の飛散がなく、クリーンな造形が可能

・他社製ワイヤ式装置との違い;レーザーと材料を動かす機械系の5軸とレーザー出力の同期制御、ワイヤ供給の微動と粗動の制御と、計8軸の制御が可能

・用途;チタンなどの硬い材料を切削加工して作る製品、ニアネットシェイプし、切削加工で仕上げ

【ニュースイッチ】

【三菱電機提供;Wire式DED3Dプリンターのノズル部分の写真】

 

2.鹿児島大とJAL、連携協定締結

鹿児島大学と日本航空、グループで鹿児島空港を拠点とする日本エアコミューターは、包括連携協定を3月16日に締結。3者は2020年10月にパイロット育成に関する連携をスタート。今回は教育や地域貢献、国際交流などを主眼に置いた。今後は鹿児島県内のJALやJACのオフィスで航空事業を学ぶインターンシップの実施や、奄美群島での世界自然遺産登録の機運醸成などの活動を行うという。【Aviation Wire News】

【日本経済新聞提供】

 

3.“空飛ぶクルマ”発着場、兼松と英社共同で国内展開へ三重でシンポジウム

兼松は3月16日、eVTOL(電動垂直離陸機)などの次世代移動手段“空飛ぶクルマ”事業について、eVTOLが離着陸する「バーティポート」(Vertiport)の概要を、空飛ぶクルマの活用を進めている三重県が主催したシンポジウムで説明した。今後、協業する英国のスカイポーツ(Skyports)社と共同で、国内への展開を目指す。バーティポートはeVTOL向けの地上インフラで、ヘリコプター向けのヘリポート同様に垂直方向の離着陸エリアを備える一方、ヘリポートにはない物流・乗用向けのターミナル整備や、将来的な自律飛行などに対応した航空管制技術を活用した地上設備などが必要となる。またeVTOLは電気を動力とすることから、充電ステーションやバッテリーを取り扱う場所も必要となる。【Aviation Wire News】

【Aviation Wire提供】

 

4.ユーグレナ、ミドリムシ由来のバイオ航空燃料完成し年内のフライト目指す

ユーグレナと米シェブロン・ラマス・グローバル(Chevron Lummus Global)、米アプライド・リサーチ・アソシエイツ(Applied Research Associates)は3月15日、バイオジェット燃料が完成したと発表。今後は年内の供給開始とフライト実現に向け、航空会社や国土交通省航空局などとの調整を進める。横浜市鶴見区にあるユーグレナのバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラントで、ミドリムシ(微細藻類ユーグレナ)由来の油脂や使用済み食用油など使用したバイオジェット燃料が完成。バイオジェット燃料の国際規格「ASTM D7566 Annex 6」に適合したもので、航空機で使用する際は既存のジェット燃料と混合する必要がある。2018年11月に竣工した同プラントでは、バイオディーゼル燃料の供給を2020年4月から開始している。【Aviation Wire News】

【Yahooニュース提供】