KIT航空宇宙ニュース2021WK14

KIT航空宇宙ニュース

KIT航空宇宙ニュース2021WK14

海外のニュース
1.NASAの火星ヘリコプター「インジェニュイティ」4月8日に飛行
米国航空宇宙局(NASA)は、火星ヘリコプター「インジェニュイティ(Ingenuity)」の試験飛行に向けた準備状況について発表。早ければ4月8日にも初飛行に挑むと明らかにした。
飛行に成功すれば、地球以外の惑星で飛行する初の航空機となる。そしてその技術によって、将来の火星探査が大きく、そして飛躍的に進むことが期待されている。インジェニュイティはNASAジェット推進研究所(JPL)が開発した小型の無人ヘリコプターで、インジェニュイティとは「創意工夫」や「発明の才」といった意味をもつ。機体はソフトボールほどの大きさで、質量は約1.8kg。太陽電池とバッテリーでモーターを回して飛行する。【マイナビニュース】

【NASA提供】

2.韓国の新型国産ロケット「ヌリ号」の試験が完了、10月に打ち上げに挑戦へ
韓国の宇宙機関・韓国航空宇宙研究院(KARI)は、開発中の新型ロケット「ヌリ号」の第1段機体の、「最終総合燃焼試験」に成功したと発表した。第1段エンジンを、実際の打ち上げと同じ127秒間にわたって燃焼させる試験で、この成功により開発が完了。第2段、第3段などの試験はすでに完了済みで、このあと各段を組み立て、今年10月にも試験打ち上げに挑む。ヌリ号は韓国の新型国産ロケットで、KARIを中心に、韓国航空宇宙産業やハンファ・エアロスペースなどの民間企業が協力して開発。韓国はかつて、ロシアと共同で「ナロ号」というロケットを開発したが、2009年から2013年にかけて3機が打ち上げられたのみで事業が終了。現在、韓国は衛星打ち上げ用ロケットを保有していない。そのため、ヌリ号が完成すれば、韓国は自国の衛星を自律的に打ち上げられる能力を手にできる。【マイナビニュース】

【韓国航空宇宙研究院KARI提供:韓国国産ロケット「ヌリ号」の想像図】

3.エアバスが高度な超電導および極低温実験用パワートレインデモンストレーターを発表
エアバスは、航空機の電気推進システムの性能に対する超電導材料と極低温の影響を調査するために、「高度な超電導および極低温実験パワートレインデモンストレーター」(ASCEND)を発売した。超電導材料の導入により、電気抵抗を下げることができる。つまり、電流はエネルギーを失うことなく電力を供給することができる。 極低温(摂氏-253度)で液体水素と組み合わせると、電気推進システム全体の性能を大幅に向上させるために、電気システムを冷却することができる。つまり、超電導材料の導入により、電気抵抗を下げることができ、電流はエネルギーを失うことなく電力を供給することができるが、 極低温(摂氏-253度)で液体水素と組み合わせると、電気推進システム全体の性能が大幅に向上し、電気システムを冷却することができる。ASCENDは、数百キロワットから数メガワットのアプリケーションまで、液体水素を搭載した場合と搭載しない場合の電気アーキテクチャを評価する。【e-Turbo News】

【Airbus提供】

4.地域航空を脱炭素化する方法として水素燃料電池が進歩
水素推進のパイオニアである英国Zero-Avia社は、50席以上のリージョナル航空機用のパワートレインの開発を開始するための資金と、9機を改造する英国のプロジェクトを確保した。水素燃料電池は、短距離商用航空を脱炭素化するオプションとして、ハイブリッド電気推進システムに挑戦している。【Aviation Week News】

【Cranfield Aerospace Solutions提供:翼の下に超軽量水素タンクを設置したIslander燃料電池デモンストレーター機】

日本のニュース
1.スカイマーク22年春にも再上場申請へ
スカイマークが昨年4月に取り下げた再上場に向けた手続きを、早ければ2022年春にも再開する。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で旅客需要の大幅減が続く中、今夏の回復状況を見て再上場の時期を判断する。スカイマークは2015年1月28日に経営破綻し、同年2月27日で上場廃止。民事再生手続きは2016年3月28日に終結し、2019年10月25日に東京証券取引所へ上場申請していたが、新型コロナの影響で需要が大きく冷え込んだことから、2020年4月15日に東証への上場申請を取り下げたと発表していた。
【Aviation Wire News】

【Aviation Wire提供】

2.ANAと豊田自動織機が羽田空港で新型自動運転トラクターの実証実験実施
全日本空輸と豊田自動織機は3月30日、羽田空港で自動運転の電動トーイングトラクターの実用化に向けた実証実験を報道関係者に公開。貨物の搭降載などを担うグランドハンドリングの人材が少子高齢化などで全国的に不足する中、省力化に向けた検証を進め、今年10月に実際の運航便での試験運用、2025年には無人運転の実用化を目指す。トーイングトラクターは、貨物コンテナを乗せた「ドーリー」と呼ばれる台車などを空港内で牽引(けんいん)する車両。今回の自動運転の区分は、運転席に運転者が座り緊急時などに運転者が操作できる「自動運転レベル3」で、羽田空港の西貨物上屋から407番スポット(駐機場)を経て西貨物上屋に戻る1週約3キロのコースを、最大時速15キロで走行した。今回は実運用と同じ6両のドーリーを牽引し、橋やトンネルなど空港内の坂道も走行できる新開発のトーイングトラクターを初めて使用した。【Aviation Wire News】

【Aviation Wire提供:実証実験中の自動運転トラクター】