KIT航空宇宙ニュース2021WK26

米国Relativity Space社が開発したロケットが造れる大型3Dプリンター「Stargate」
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KIT航空宇宙ニュース2021WK26

海外のニュース

1. 米国Relativity Space社が3Dプリンターで造る完全再使用ロケットを開発

3Dプリンターでロケットを造る宇宙ベンチャー「レラティヴィティ・スペース(Relativity Space)」は、新型ロケット「テランR (Terran R)」の開発計画を発表。機体は3Dプリンターで製造し、また機体すべてを再使用して繰り返し打ち上げられるようにすることで、大型の衛星を低コストで打ち上げられるとしている。初打ち上げは2024年を目指す。レラティヴィティ・スペースは2015年に設立された宇宙ベンチャーで、ロケットをまるごと3Dプリンターで製造することを特徴としている。同社は、「スターゲイト(Stargate)」と名付けた巨大な金属3Dプリンターを使い、人工知能、自律型ロボットと組み合わせることで、ロケットの約95%を自動で“印刷”。これにより、部品数を従来のロケットの約100分の1にするとともに、製造にかかる人員や工具も大幅に減らし、信頼性や品質の向上、低コスト化を図っている。また、製造にかかる時間も従来の約10分の1にまで短縮。同社は「原材料の状態から打ち上げができるまで、わずか60日しかかからない」と謳う。同社は現在、「テラン1(Terran 1)」と名付けた小型ロケットの開発を行っており、2021年中の初打ち上げを予定している。テラン1は、高度185kmの地球低軌道に1.25t、高度500kmの太陽同期軌道に0.9tの打ち上げ能力をもち、アリアンスペースの「ヴェガ」やインドの「PSLV」、日本の「イプシロン」などに近い。しかし、打ち上げ価格は、ヴェガが約4000万ドル、PSLVが約2800万ドルとされるのに対し、テラン1は1200万ドルという、きわめて安価な価格を提示している。市場からの期待も高く、まだ一度も打ち上げられていないにもかかわらず、すでに米国航空宇宙局(NASA)や米国防総省、民間企業から9件の打ち上げ契約を受注している。【マイナビニュース】

【Space News提供:Relativity Space社が開発した3Dプリンター「Stargate」】

 

2.ブラジルのエンブラエル社は新たなターボプロップ機を開発

エンブラエルは、新しいターボプロップ航空機プロジェクトの詳細をアビエーションウィークに発表した。70〜90席クラスで競合他社のATR機に対抗し、ニッチ市場を埋めることが期待されている。マーケティング担当副社長のロドリゴ・シルバ氏によると、飛行機メーカーは2022年初頭にプログラムを開始し、2027年にサービスを開始する予定。同社は、70席用と90人用の2つのバリエーションのシリーズを発売することを目指している。最大航続距離は1,850 km。同氏は、乗客により多くの快適さを提供することに加え、コストを削減するために、新ターボプロップ機は、同社のE2シリーズと同様のキャビンになると語った。しかし、新ターボプロップ機は、著しく湾曲したドアに加え、ジェット機よりも貨物室が小さいように見え、断面積がE2シリーズより小さい。【Flightglobal News】

【Air Data News提供:Embraer社が開発する新ターボプロップ機2機種の想像図】

 

日本のニュース

1. JALが帰着後も国内線PCR検査を出発前とセットで22年1月まで有料で提供

日本航空は、国内線の出発前に提供しているPCR検査について、帰着後にも受けられるようにすると発表した。28日午後3時から受け付ける。検査の申込は12月26日までで、対象搭乗期間は2022年1月10日まで。出発7日前までに専用サイトから申し込むと、唾液によるPCR検査のキットが2セット郵送される。自宅などで採取し、出発時は2日前まで、帰着後は早期に返送すると、電子メールで結果が通知される。出発前と帰着後の検査料金は、セットで3960円。5000マイルでも利用できる。地方から大都市圏へ移動する利用客への提供を見込む。出発前の料金は変更なく、1980円か2500マイルとなる。帰着後のみの申し込みは不可。JALのPCR検査は、今年3月から提供。同社のマイル制度「JALマイレージバンク(JMB)」会員のほか、非会員も利用できる。JALによると、これまで3万人以上が利用したという。【Aviation Wire News】

【Yahooニュース提供:JALが有料で提供するPCR検査キット】

 

2.五輪開催で成田空港が7月1日にターミナル全面再開1年2カ月ぶり

成田空港を運営する成田国際空港会社(NAA)は、閉鎖している一部のターミナル施設を7月1日に再開すると発表。再開するのは閉鎖が続いていた第1ターミナル(T1)と第2ターミナル(T2)のサテライト計3カ所で、2020年4月の閉鎖以来1年2カ月ぶりの全面再開となる。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響によりいずれも2020年4月20日午前0時から閉鎖が続いており、再開により開催が予定されている東京五輪・パラリンピックの選手団などの受け入れ態勢を強化する。【Aviation Wire News】

【Yahooニュース提供:前面再開される成田空港】