KIT航空宇宙ニュース2021WK27

空飛ぶクルマ「AirCar 」訳35分の都市間飛行に成功
KIT航空宇宙ニュース

KIT航空宇宙ニュース2021WK27
海外のニュース
1. Eviation社が小型電動航空機アリスの設計を大幅に変更
Eviation Aircraft社は、バッテリー駆動の9人乗りのアリス航空機の設計を、2019年のパリ航空ショーでプロトタイプのアリスが発表されて以来、大幅に変更。3つの350kwモーターで航空機に動力を供給する当初の計画は廃止され、2つの650kwモーターを使用することになった。プロトタイプには、翼端と尾部に取り付けられたプッシャー型プロペラを備えたモーターがあったが、生産モデルには、後部胴体の横に牽引型のプロペラが取り付けられたモーターとなっている。又、プロトタイプのV字型の尾翼から、生産用ではT字型尾翼となっている。プロトタイプにあった尾部着陸装置が、既存三輪車構成に置き換えられた。
【Flightglobal News】

【Flightglobal提供:上が新設計のアリス航空機、下がオリジナル設計のアリス航空機】

2.空飛ぶクルマが空港間のテスト飛行に成功
プロトタイプの空飛ぶクルマが、スロバキアのニトラ国際空港とブラチスラバ空港間の約35分の飛行に成功。ハイブリッド車と航空機を組み合わせたAir Carは、BMWエンジンを搭載し、通常のガソリン燃料で作動。設計製造者のステファン・クレイン教授は、高さ8,200フィート(2,500m)で約1,000km(600マイル)を飛行可能で、これまでに40時間の飛行時間を記録したと述べた。車から航空機に変わるのに2分15秒必要で、翼は車の側面に沿って折りたたむ。クライン教授は、招待された記者が見守る中、空港到着時に滑走路から町にまっすぐにそれを運転して帰ったという。空中では、70km / hの巡航速度に達し、積載重量制限200kgで2人乗りが可能。垂直に離着陸することはできず、滑走路が必要。Air Carの製造会社であるKlein Vision社(スロバキア)によると、プロトタイプの開発には約2年かかり、投資額は「200万ユーロ未満」(約2億6千万円)で。【BBC News】

【BBC News提供:飛行中のAir Car】

3.米国ZeroAvia社はドルニエ228(19席)機で水素燃料電動航空機の飛行試験を計画
米国の新興企業であるZeroAvia社は、水素燃料電動航空機の開発の次の段階に入る。ドルニエ228を2機確保し、2023年に米国と英国で飛行試験を実施し、2024年に認証と商用提供を開始すると発表。ZeroAvia社は、水素ベースの航空機の理想的なプラットフォームとしてドルニエ228を選択した最初の企業ではなく、2020年8月、ドイツ航空宇宙センター(DLR)と MTUエアロエンジン社は、2026年にドルニエ228でテストされる水素燃料電池パワートレインを開発すると既に発表している。DLRは、出力が500kW以上の電気エンジンを開発中。ZeroAvia社の計画の次の段階は、50人以上の座席に動力を供給する2MWの電動パワーユニットの開発で、ZeroAvia社は、2030年までに、航続距離が約3.700kmの単通路100席旅客機用の水素燃料電動パワーユニットの開発を目指している。【AirInsight News】

【AirInsight News提供:水素燃料電動パワーユニットを搭載したドルニエ228想像図】

日本のニュース
1.三菱航空機2期連続最終赤字で債務超過5559億円
国産初のジェット旅客機「三菱スペースジェット(旧MRJ)」の開発を凍結している三菱航空機が7月1日に公表した第14期決算公告によると、2021年3月期通期の純損益は912億円の赤字(前期20年3月期は5269億円の赤字)と2期連続で最終赤字となった。また、負債が資産を上回る債務超過も2期連続となり、今年3月31日時点の債務超過の額は5559億円と、前年の4646億円から拡大した。親会社の三菱重工業は、2020年10月にスペースジェットの開発凍結を表明しており、国が機体の安全性を証明する「型式証明(TC)」の取得に必要な文書作成作業を除き、プロジェクトを3年間凍結している。6度の延期で2021年度以降としている納期も、現時点で新たなスケジュールは発表されていない。今年3月には、資本金を1350億円から99.6%減資し、5億円としている。【Aviation Wire News】

【Aviation Wire提供】

2.広島空港が新型コロナで3カ月遅れて民営化
これまで国が管理してきた広島空港が7月1日、民営化された。当初は今年4月からの民営化を予定していたが、新型コロナウイルスの影響により3カ月後ろ倒しとなった。広島空港を運営する広島国際空港会社(HIAP)は、三井不動産など16社のコンソーシアム(企業連合)が設立。設立日は2020年11月18日で、社長には三井不動産出身の中村康浩氏が就任した。HIAPは今年2月1日からターミナルビル施設と駐車場の運営を開始し、7月1日に滑走路などを含む空港運営事業を始めたことで民営化をスタートした。HIAPでは年間の旅客数について、2018年度の300万人(国内265万人、国際35万人)から30年後には586万人(国内350万人、国際236万人)に増加させる目標を立てている。民営化初日となった。出発初便となったのは日本航空の羽田行きJL252便でディズニー塗装機だった。【Aviation Wire News】

【Yahooニュース提供:広島空港を出発するJALディズニー塗装機】

3.ヤマハ発動機と新明和が小型機開発の共同研究
ヤマハ発動機と新明和工業は6月29日、次世代小型機の共同研究を行う契約を結んだと発表した。検証機を新明和が組み立て、ヤマハ発動機のエンジンを載せる。今回の共同研究では、ヤマハ発動機が航空機分野での小型エンジン技術の応用を検討し、新明和は飛行艇などの開発で培った設計製造技術を応用した小型機の概念設計、試作・試験、自動化技術の検証などを進める。共同研究を通じて、両社は次世代小型機の事業化の可能性を探る。【Aviation Wire News】

【Yahooニュース提供】

4.MOMO7号機打ち上げに成功 – 目標高度にはわずかに届かず
インターステラテクノロジズ(IST)は7月3日17時45分(日本時間)、観測ロケット「MOMO7号機(ねじのロケット)」の打ち上げを実施。約120秒のエンジンの燃焼を終え、その後も慣性飛行で目標高度である100kmに向けて上昇。速報値では目標高度にわずかに届かない高度99kmに到達したことを確認したという。同ロケットは当初、2020年7月19日に打ち上げを実施する予定であったが、打ち上げ時刻の直前、メインエンジンの点火に異常が確認され、シーケンスを自動停止する事態となっていた。その後、問題の解決を図り、2020年7月26日に改めて打ち上げを行おうとしたが、メインエンジンに着火する直前、点火器の温度上昇に異常が見つかり、再び自動停止となり、その問題解決を1年かけて実施、今回が3度目の打ち上げ挑戦となった。【マイナビニュース】

【マイナビニュース提供:打上げに成功したMOMO7号機】