KIT航空宇宙ニュース2021WK36

海上自衛隊と航空自衛隊が22年度新入航空学生を募集
KIT航空宇宙ニュース

KIT航空宇宙ニュース2021WK36

海外のニュース

1. フィリピン航空が米連邦破産法11条申請 
フィリピン航空は、日本の民事再生法にあたる米連邦破産法11条(Chapter 11)の適用を現地時間9月3日付で申請した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響によるもので、4日の発表によると運航は継続し、航空券やマイルなどはすべて有効だという。アジアの航空会社ではもっとも古い1941年設立のフィリピン航空は、今年で創立80周年を迎えたフィリピンのフラッグキャリア。航空連合には加盟していないが、日本では全日本空輸と2014年からコードシェアを開始。2019年2月8日には、ANAを傘下に持つANAホールディングスとフィリピン航空の親会社であるPALホールディングスが資本・業務提携の契約を締結している。新型コロナ影響で、海外では航空会社の破産申請が相次いでいる。2020年はヴァージン・オーストラリア、タイ国際航空、コロンビアのアビアンカ航空、チリのラタム航空などが破産申請し再建を進めている。日本では、コロナ前から業績不振だったエアアジア・ジャパンが、今年2月に東京地方裁判所から破産手続き開始決定を受けた。【Aviation Wire News】

【Aviation Wire提供】

2.史上最大のロケット「スターシップ/スーパー・ヘヴィ」
全長120m、全備質量5000トン。史上最大・最強にして、史上初の完全再使用ロケットが、ついにその姿を現した。いまをときめくイーロン・マスク氏が、人類を火星に移住させる計画を発表してから約5年。2021年8月7日、それを実現するための巨大ロケット「スターシップ/スーパー・ヘヴィ」の試作機が発射台で組み上げられた。マスク氏は「数週間以内に軌道へ打ち上げる」と豪語。ロケットと宇宙船、そして発射台の準備が急ピッチで進んでいる。2016年9月、メキシコで開催された「国際宇宙会議2016」の壇上で「Making Humans a Multiplanetary Species(人類をいくつもの惑星へ播種する)」と題された講演を行い、彼は、人類が地球に住み続ける限り、戦争や伝染病、小惑星の衝突などによって、滅亡する危険があると指摘。だが、もしほかの惑星、天体にも人類が住めるようになれば、たとえ地球が滅びても、人類という種は生き続けることができるとした。そして、それを叶えるため、巨大なロケットと宇宙船からなる「惑星間輸送システム」を開発し、一度に100人規模の人間を火星に送り込み、そして40~100年かけて、火星に人口100万人以上の自立した文明を築く、と表明したのである。マスク氏にとって、この構想は降って湧いた出たものではなく、子どものころから暖め続けてきたものであり、宇宙企業スペースXを創設した最大の動機でもあった。スペースXはいま、再使用可能なロケット「ファルコン9」や、史上初の民間宇宙船「クルー・ドラゴン」の開発、運用で、世界の宇宙開発界隈で主役のような立ち位置にいるが、マスク氏にとっては通過点に過ぎない。【マイナビニュース】

【マイナビニュース提供:発射台で組み立てられる「スーパーヘヴィ」】

3.1日に複数回宇宙へ輸送できるDawn Aerospaceの輸送機
Dawn Aerospaceは、オランダのデルフトやニュージーランドのクライストチャーチを拠点に活動している宇宙ベンチャー。輸送機の開発以外にも、小型衛星用のスラスターの開発も手がけている。近年、ニュージーランドにおいて、輸送機の飛行に関する許可を取得。拠点をニュージーランドに移して活動している。彼らの開発している輸送機は「Mk-Ⅱ Aurora」という有翼型の輸送機。Mk-Ⅱ Auroraは高度100kmあたりまで1日複数回の飛行が可能で、機体の長さは4.8m、離陸時の質量280kg、ドライ重量は75kgという。マッハ3の飛行速度、最高高度110km、搭載ペイロードは4kgまでという仕様。機体の中央上面にハッチがある。3Uクラスの超小型衛星を搭載、輸送できる。Mk-II Auroraは、ペイロードの輸送のみならず、大気圏、中間層の調査、無重力環境下の実験、地球を観測するリモートセインシングなどにも活用することが可能という。【マイナビニュース】

【Yahooニュース提供:Dawn Aerospaceの「Mk-II Aurora」】

4.FAAはヴァージンギャラクティックの宇宙船を一時飛行停止処分
連邦航空局は木曜日にヴァージンギャラクティックを飛行停止にした。連邦規制当局は、創設者のリチャードブランソンを乗せた7月11日の宇宙飛行を調査した結果です。「ヴァージンギャラクティックは、FAAが最終的な事故調査報告を承認するか、事故に関連する問題が公共の安全に影響を与えないと判断するまで、SpaceShipを飛行に戻すことはない」とFAAはCNBCへの声明で述べている。FAAはヴァージンギャラクティックの上昇中、宇宙船のロケットエンジンが噴射されている間、ビークルが軌道から外れたために警告灯が点灯、警告灯は宇宙船が「航空交通管制の許可を逸脱」し、指定された空域の外を1分41秒間飛行したためであることを確認している。FAAはまた、ヴァージンギャラクティックの技術と安全文化を懸念している。【Flightglobal News】

【Virgin Gallactic社提供:母機を離れる宇宙船】

5.Embraer’s EveはオーストラリアでのUAM運航を2026年に始めるとしている
ブラジルのUAM(都市型空間移動体)メーカーであるEmbraer’s Eveは、オーストラリアでのUAMの運航を2026年に始めることを目標としている。エンブラエルのアーバンエアモビリティ事業であるイブは、オーストラリアのヘリコプター運航会社であるマイクロフライトと提携し、2026年に開始する予定の電気垂直離着陸(eVTOL)航空機開発事業を展開している。【Flightglobal News】

【Flightglobal News提供:エンブラエル・イブ社のeVTOL機「イブ」想像図】

6.NASAがeVTOL機メーカー Jobby社と一緒にエアタクシーの飛行試験を開始
NASAは、ジョビーアビエーションの高度なエアモビリティ(AAM)全国キャンペーンの一環として、ジョビーアビエーションの全電気式垂直離着陸(eVTOL)航空機で飛行試験を開始した。このテストは、9月10日金曜日まで、カリフォルニア州ビッグサーの近くにあるJoby’s Electric Flight Baseで実施される。NASAがキャンペーンの一環としてeVTOL航空機をテストするのはこれが初めて。将来的には、eVTOL航空機は、全国の都市や周辺地域の人々のエアタクシーとして機能し、人や物を移動するための別の輸送手段を提供する。NASAの目標は、将来の空域概念のモデリングとシミュレーションで使用するために、機体の性能と騒音データを収集することで、このテストは、現在の連邦航空局の規制と政策のギャップを特定し、AAM航空機を米国航空宇宙システムに組み込むために活用される。Joby 社のeVTOL 機は、6 つのモーターと6 つの垂直プロップを搭載し、1 人のパイロットで4 人の乗客を乗せ、最大174kt(322km/h)の速度で飛行し、1 回の充電で130nm(241km)以上の航続距離を持つもので、2023 年の認証取得を目指している。米国の都市空間移動を促進するためのこのマルチイベントキャンペーンは、数年にわたって複数の都市で行われる予定。【NASA News】

【NASA提供:Jobby AviationのeVTOL機】

日本のニュース

1. 海自と空自が航空学生募集 22年春入隊
防衛省は、海上自衛隊と航空自衛隊のパイロットなどを養成する航空学生を、9月9日まで募集している。入隊時期は2022年3月下旬から4月上旬。対象は海自が18歳以上23歳未満、空自は18歳以上21歳未満で、いずれも高卒者(見込み含む)または高専3年次修了者。試験科目は1次が筆記試験と適性検査、2次が航空身体検査と口述試験、適性検査、3次は海自が航空身体検査、空自が操縦適性検査及び医学適性検査となる。試験日程は1次が9月20日、2次が10月16日から21日の指定日、3次は海自が11月19日から12月15日の指定日、空自は11月13日から12月16日の指定日。最終合格発表は2022年1月18日となる。航空学生の場合、学びながら給与をもらえる。【Aviation Wire News】

【Yahooニュース提供】