KIT航空宇宙ニュース2021WK47

AXAが13年ぶりに宇宙飛行士を募集。学歴や専門分野を不問とし、月面基地での活躍も視野に多様な人材を募集。採用人数は若干名で受付期間は12月20日から2022年3月4日まで
KIT航空宇宙ニュース

KIT航空宇宙ニュース2021WK47

海外のニュース

1.ボーイングが北東アジアの新造機需要を1360機と予測 

ボーイングは、日本と韓国、台湾からなる北東アジア地域での民間航空機の新造機需要が、2040年までの20年間に機数ベースで1360機、金額ベースでは3100億ドル(約35兆円)になると都内で発表した。アジア太平洋地域では1万7645機、3兆1000億ドルを見込む。アジア太平洋地域の需要は75%以上が737 MAXなどの単通路(ナローボディー)機で、1万7645機のうち1万3500機を占める。787など双通路(ワイドボディー)機は3800機となる見通し。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で旅客需要が大きく落ち込む中、貨物需要は好調な状態が続いている。貨物専用機の新造機と、旅客機から転換した改修貨物機を合わせた貨物機全体の需要は1160機となる見込み。アジア太平洋地域の貨物機数は、2040年までには北米並みになると予測している。また、北東アジアの1360機のうち、53%が単通路機の需要で720機、43%が双通路機の580機となり、残り4%が貨物機で50機、1%未満が90席以下のリージョナルジェット機で10機と予測している。コロナ前の2019年に発表した2038年までの20年予測は1420機で、このうち680機(全体の48%)が単通路機、590機(42%)が双通路機、100機(7%)が貨物機、50機(4%)がリージョナル機としていた。【Aviation Wire News】

【Aviation Wire提供】

2.仏ATR社がトキエアとSTOL型ATR42-600S導入検討で基本合意

仏ATRは、新潟空港を拠点に就航を目指す低コスト地域航空会社「TOKI AIR(トキエア)」とATR42-600S型機の導入について基本合意書(LoI)を締結したと開催中のドバイ航空ショーで発表した。短い滑走路でも離着陸できるSTOL(短距離離着陸)型で、正式契約を結ぶと日本の航空会社では初導入になる。ATR42-600Sは、日本の航空会社では3社が採用しているATR42-600(メーカー標準1クラス48席)の派生型で、40人の乗客を乗せて最短800メートルの滑走路を離着陸できる。顧客への初号機の引き渡しは2025年初頭を計画している。トキエアは、2機のATR72-600(同72席)のリース契約をアイルランドの航空機リース会社ノルディック・アビエーション・コントラクターと締結済みで、2022年の運航開始を目指している。新潟空港に加え、滑走路長が890メートルの佐渡空港にも乗り入れる予定で、ATR42-600Sは同空港にも就航できる。【Aviation Wire News】

【ATR社提供:開発中のATR42-600S型機】

3.エアバスとNTTドコモ、成層圏から地上へ電波送信 無人機「ゼファー」で実証実験

エアバスとNTTドコモは、高高度滞空ソーラー型無人機(HAPS)「ゼファー S(Zephyr S)」を活用し、高度約20キロメートルの成層圏から地上の受信アンテナへ電波を送信する実証実験に成功したと発表した。成層圏から地上にあるスマートフォンなどの端末への通信サービスを提供できるかどうかを実証し、今後両社は通信エリア化が困難な山間部や離島、海上などへのサービス提供を目指す。ゼファーは成層圏を飛行する無人機で、太陽光を利用したソーラー発電で駆動する。天気や既存の航空交通に妨げられることのない高度を飛行できることから、人工衛星と無人機、有人機の能力のギャップを補い、静止衛星と同様のサービスを提供できるという。今回の実証実験でゼファーは成層圏に18日間滞空した。実証実験では、スマートフォンの通信に使う2GHz帯の周波数を用いて、成層圏と地上間での電波の伝搬特性を測定した。ゼファーに搭載した無線機を成層圏から地上のアンテナに直接接続し、通信距離や気象などの条件下で、電波の減衰特性を分析した。このほか、低速だが長距離の通信が可能となる450MHz帯でも測定し、約140キロの長距離接続の伝搬測定にも成功した。エアバスは、2018年にゼファー Sを使い、成層圏で約26日間(25日13時間57分間)の飛行時間を達成し、給油なしで連続飛行した世界新記録を打ち出した。今回の伝搬試験では最高到達高度7万6100フィート(約2万3195メートル)を達成した。【Aviation Wire News】

【エアバス社提供:今回のゼファーを活用した成層圏と地上の通信実証実験概要図】

4.遠心力でロケットを打ち上げるSpin Launch

Spin Launchとは、ロケットロンチ企業。ロケットをカタパルト方式で打ち上げる計画の企業だ。カタパルト方式といっても、さまざまなタイプがあるが、Spin Launchでは、遠心力を使ってロケットを打ち上げる。下記イメージ図の斜めに設置された白色の大型の円筒の底面には、時計の長針のような黒い物体(Hyper Tether)があり回転する。この円筒内は真空状態になり、この長針は1分間に450回転するほど高速に回転する。そしてあるタイミングで右側に煙突のように飛び出したところ(Launch Tunnel)から、ロケットを出射する。このシステムをOrbital Acceleratorと呼ぶ。ロケットは2段式で打ち上がった後、ある高度で、まずロケット外側部分が分離し、内部だけになる。そして先端に取り付けられたペイロード、2段階目部分、1段階目部分が剥き出しとなった状態で高度を上げていく。このOrbital Acceleratorは電気によって駆動され他のロケットに比べ、燃料は4分の1に削減、コストは10分の1に削減、そして1日に複数回打ち上げることができるようになるという。最初の立ち上げは、2024年後半を予定しているという。そして2021年10月21日、米国のニューメキシコ州のSpace Port Americaに設置されたSpin LaunchのSuborbital Acceleratorから試験的にロケットが発射され、見事成功した。Spin Launchのロケットは、遠心力と電気で駆動するため、振動、音響の影響がない。一方で、強い遠心力が発生するためのその高Gに耐えうるよう衛星を設計しなければならない。【マイナビニュース】

【Yahooニュース提供:Orbital Acceleratorのイメージ図】

5.テクナム社が開発中のP-Volt電気航空機の仕様を開示

イタリアのテクナム(Tecnam)社は、開発中のP-Volt電気航空機の予想仕様を開示し、テクナムP2012トラベラー機の所有者が航空機をバッテリー電源に変換できるプログラムを開始した。テクナム社のP-Voltは、双発のLycomingTEO-540ピストンエンジンを搭載した11人乗りの旅客機であるP2012がベースになっている。機体は、電動パワートレインを供給しているロールスロイスと提携して開発を進めている。P-Voltは1,100kg(2,425lb)のバッテリーパックと2つの発電器を装備し、それぞれが320kW(429hp)を出力する。P2012のライカミングエンジンの出力はそれぞれ約370hp。バッテリーと推進システムで航続距離を85nm(157km)にしているが、テクナム社は2030年までにバッテリー技術の進歩によりその航続距離が145nmになると予想している。P-Voltは120kt(222km / h)で巡航し、最高速度は180kt。これらの数値は、P2012の航続距離950nm、173ktの巡航速度、および194ktの最高速度と比較される。テクナム社は、P2012のランプ重量3,700kgと比較して、P-Voltは4,086kgになるとしている。【Flightglobal News】

【テクナム社提供:テクナム社が開発中の11人乗り電動航空機P-Volt】

6.シンガポールとエアバスが航空での水素使用を研究

シンガポールはエアバスと協力して、持続可能な航空に関する広範な合意の一環として、航空機の運航における水素の使用を研究しているとシンガポールの航空規制当局が語った。この合意には、代替航空燃料の需要と生産供給、さらにはより環境に優しい航空への移行を支援するための経済状況と規制環境の調査が含まれている。最初のプロジェクトは、空港の水素供給ハブと、将来の水素を動力源とする航空機の運用をサポートするためのインフラストラクチャ要件の技術的実現可能性調査であり、2022年初頭に開始され、2年間実行される。これには、水素の生産、貯蔵、流通、航空機の地上サービス、ロジスティック機器、および給油システムが含まれる。【ロイター】

【エアバス提供:エアバス社が計画している水素燃料航空機想像図】

6.英国のRAFが世界初の合成燃料による飛行を実施

英国空軍(RAF)は、合成燃料のみを使用して初飛行を実施し、世界初であると国防省が述べた。今月初めにイングランド西部のグロスターシャーの飛行場でイカルスC42マイクロライト航空機を使い、短時間の飛行を行った。「石油から精製したものではない合成UL91燃料は、水から水素を抽出し、大気中の二酸化炭素から炭素を抽出することによって製造された」と、国防省は水曜日の声明で述べている。「風力や太陽光などの再生可能エネルギー源から生成された電気エネルギーを使用して、合成燃料を製造する。」同省は、飛行あたりの炭素を80〜90%節約し、将来的に高速ジェット機に動力を供給する合成燃料を使用するという空軍の目標を支援する可能性があると述べた。【Flightglobal News】

【Flightglobal提供:合成燃料で世界初の飛行を実施した英国空軍イカルスC42航空機】

日本のニュース

1.JAXA、宇宙飛行士13年ぶり募集 学歴・専門不問に

JAXA(宇宙航空研究開発機構)は、日本人宇宙飛行士の募集を始めた。13年ぶりの募集で、学歴や専門分野を不問とし、月面基地での活躍も視野に多様な人材を募る。採用人数は若干名で、受付期間は12月20日から2022年3月4日まで。2023年2月ごろ選抜結果を発表し、JAXA入社は同年4月、宇宙飛行士の認定は2025年3月ごろを予定している。応募資格は2022年3月末時点で、3年以上の実務経験があること、身長149.5センチから190.5センチまで、視力は矯正視力1.0以上など。修士号取得者は1年、博士号の場合は3年の実務経験とみなす。前回2008年の募集では、4年制大学以上の卒業など学歴や専門性を求めていたが、2020年1月から3月に募集したパブリックコメントで条件緩和を求める意見が多く、宇宙飛行士候補者に必要な能力は選抜試験で評価することにした。また、選考過程の透明性なども考慮する。選考は書類選抜後、2022年5月に英語力や一般教養、小論文、適性検査などの第0次選抜、7月ごろに一次医学検査やプレゼンテーションなどの第1次選抜、10月ごろに面接などの第2次選抜、2023年1月から2月ごろに運用技量試験なども実施する第3次選抜を実施する。【Aviation Wire News】

【JAXAウェブサイト提供】

2.JALとNEC、石垣島で顔認証使いPCR検査の陰性確認

日本航空と日本電気は、顔認証技術を活用してPCR検査の陰性結果を確認する実証実験を沖縄県石垣市で11月20日から実施する。出発前にNECが用意したサービス利用登録サイトで顔情報とPCR検査結果通知書を登録し、石垣空港の専用窓口で顔認証を実施すると、石垣市が提供する「あんしん島旅プレミアムパスポート」を受け取れる。また、八重山観光フェリーなどの顔認証対象店舗でも、特典を受けられる。対象は、JALが提供している自宅でできるPCR検査のサービス「JALあんしんPCRサポート」の利用者。期間は11月20日から2022年1月31日まで。両社は今回の実証実験の結果を基に、空港外でも顔認証技術でワクチン接種証明などを確認できるサービスの実用化を検討していくという。【Aviation Wire News】

【Yahooニュース提供:石垣島の顔認証技術でPCR検査陰性証明を確認する実証実験】