KIT航空宇宙ニュース2021WK49

ジェイエアとJALが合同でパイロットのインターンシップ募集
お知らせ

KIT航空宇宙ニュース2021WK49

海外のニュース

1.FAAが構造接合部の亀裂について787の検査を要求

米国連邦航空局は、米国の航空会社にボーイング787の構造的接合部の亀裂の可能性を検査するよう要求。当局は5月に検査を提案し、12月3日に2つの耐空性改善命令(AD)を発行し、検査を指示した。当該ADは、「特定の構造ジョイントの組み立て中にシミング要件が満たされないという報告によって促され、疲労強度が低下する可能性がある」とし、一部の構造ジョイントに亀裂が発生したと述べている。「疲労亀裂は一次構造を弱める可能性があるため、限界荷重に耐えることができない」とも付け加えている。この2つのADは36日後に発効し、米国で登録された79機の787に適用される。就航中および保管中の787の総数は114機。ボーイングによる787の納入は、正確な公差を満たしていない胴体セクション間のギャップやスキンの平坦性に関連する問題など、品質と生産の問題のために停止されたままで、ボーイングは787プログラムの幅広い品質レビューを開始したと述べている。【Flightglobal News】

【ボーイング提供:製造中の787型機】

2.エアバスが既存のCFMエンジンの水素駆動テストを計画

エアバスは、ゼロエミッション飛行の技術を達成するため、標準のジェット燃料ではなく水素を燃焼するように改造された既存のCFM社製Leap1-AエンジンでA319neoを試験飛行させる計画を準備している。【Flightglobal News】

【Airbus提供:A319neo型機】

3.Archer Aviation社がeVTOL機の試験飛行に必要なFAAの特別耐空証明を取得

Archer Aviation社は、電動垂直離着陸(eVTOL)機のデモンストレーター機を対象とする特別耐空証明を連邦航空局(「FAA」)から受け取ったと発表した。当該特別耐空証明は、Archer Aviation社がそのeVTOL機の飛行試験を開始することを許可するものです。Archer Aviation社のeVTOLデモンストレーター機のFAAによる検査は、メーカーが最初の飛行の最終準備と広範な安全性テストを行っている同社のカリフォルニア飛行試験施設で行われた。正式な検査の一環として、FAAは、航空機が主管庁の安全基準に準拠していることを確認するために、包括的なレビューを実施。その検査に続いて、FAAはArcher Aviation社にその特別耐空証明を発行した。これによって同社はeVTOLデモンストレーター機のホバリングテスト飛行を開始することができる。【Flightglobal News】

【Archer Aviation 提供:FAA特別耐空証明を取得したArcher AviationのeVTOL機】

4. Ascendance Flight Technologiesがハイブリッド電気航空機の設計を発表

Ascendance Flight Technologiesは、ハイブリッド技術と分散推進の長所に基づいて、持続可能な空の旅のソリューションを開発している。3年間の研究開発の後、このフランスの新興企業は、新しい最先端の持続可能で脱炭素化された5人乗りの垂直離着陸機であるATEAの設計を発表した。400 kmの航続距離と炭素排出量を80%削減、騒音も1/4に削減し、都市周辺地域および地域内で運用するように考案されたATEAは、洗練された大胆な設計と前例のない「ファンインウィング」テクノロジーを融合し、最適化されたエンジン構成となっている。生産は2025年に予定されている。【Flightglobal News】

【Ascendance Flight Technologies社提供:5人乗りeVTOL機「ATEA」想像図】

日本のニュース

1.ANAとセブンイレブン、住宅地でドローン配送実験 AIが積み方指示

全日本空輸を傘下に持つANAホールディングスとコンビニ大手のセブン-イレブン・ジャパン、ドローンを開発するACSLの3社は、ドローンを活用した配送の実用化に向けた実証実験を東京都西多摩郡の日の出町で11月29日から12月19日まで実施している。セブンイレブンの「ネットコンビニ」で注文された商品を、町内の店舗から住宅地上空を通過して公園などへドローンで運ぶ。報道関係者向けに実験を公開した2日は、店舗から直線距離で1.4km離れた公園まで、おでんなどの食料品を運んだ。住宅地を飛ぶ実験を重ねることで、ドローン物流の実用化を目指す。政府は2022年度に「レベル4」と呼ばれるドローンの有人地帯での目視外飛行の実現を目指しており、3社は住宅地を含む郊外での配送実験の実施を決め、東京都の「ドローンを活用した物流サービス等のビジネスモデル構築に関するプロジェクト」に採択された。今回の実験では有人地帯に監視員を置くが、レベル4では不要になる。【Aviation Wire News】

【Aviation Wire提供:ドローンに宅配荷物を搭載する日の出町のセブンイレブンスタッフ】

2.ANA系avatarin、オミクロン株影響でドバイ万博のアバター体験延期 

ANAホールディングス(ANAHDが出資するavatarin(アバターイン、東京・中央区)は12月2日、ドバイ万博(Expo 2020 Dubai)で予定していた遠隔操作ロボットを使った瞬間移動サービス「avatarin(アバターイン)」体験について、延期すると発表した。新型コロナの変異ウイルス「オミクロン株」の影響を考慮したもので、延期後の日程は後日発表する。当初は現地時間12月9日から15日まで、ドバイ万博日本館Scene3に遠隔操作ロボット「newme(ニューミー)」を設置。newmeを海外に設置するのは初で、館内を歩き回り遠隔から見学する予定だった。日本館は日本政府が出展し、ANAHDが協賛。Scene3ではミニチュア作品作家の田中達也氏が制作した128点を展示している。【Aviation Wire News】

【Yahooニュース提供:ドバイ万博で展示される田中達也氏もミニチュア作品】

3.JAL、空港・機内清掃に花王の知見 衛生状態を数値化、マニュアル改良

日本航空は、空港や機内の清掃マニュアルを花王(4452)の知見を取り入れて改良し、12月1日から運用を開始した。花王は医療施設などにも感染症対策ソリューションを提供しており、衛生状態を数値化し改良した。改良した清掃マニュアルは、生き物を含む多くの有機物に含まれる「ATP」(アデノシン三リン酸)を汚れの指標とし、衛生状態を数値化。病院や食品工場などで使用されている「ATPふき取り検査」を取り入れ、これまでの清掃・消毒作業の効果のさらなる高度化を狙う。空港では、カウンターやベビーカーなど利用客が触れる場所を中心に衛生状態を数値化。清掃エリアを汚れを見落としやすい部分にも拡大するほか、洗浄と除菌が同時にできる花王の「医療施設用クリンキーパー」を導入し、国内の全空港を対象に衛生管理の徹底を図る。【Aviation Wire News】

【Aviation Wire提供:防護服をきて機内のトイレ内を清掃するJAL客室乗務員】

3.JALとジェイエア、パイロットのインターン募集

日本航空とグループ会社のジェイエアは12月1日、パイロットのインターンシップの募集を開始した。期間は2022年1月27日から2月8日までのうち2日間で、両社合同で開催する。対象は4年制大学または大学院、高等専門学校(専攻科)に在籍する学生で、パイロットの仕事や文化についてオンラインで学ぶ。説明会を12月3日と10日、15日にオンラインで開く。エントリーはJALのインターンシップサイトからで、応募は説明会が14日まで、インターンシップは1月10日まで受け付ける。選考方法はウェブでの書類選考と面接を予定している。今回のイベントは今後の採用とは関係ないという。【Aviation Wire News】

【Aviation Wire提供:A350型機のコックピット】

4.日産、JAXAと開発を進める月面ローバの試作機を公開

日産自動車は12月2日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で研究開発を進めている月面ローバの試作機を公開した。月探査に必要となる探査ローバだが、月面はレゴリスと呼ばれる細かな砂で覆われ、さらに起伏に富んだ場所が多く、昼夜の寒暖差も激しいといった過酷な環境であり、そうした諸条件に対応する高い走破性、高効率な走行性能などが求められることとなる。日産は2020年1月よりJAXA宇宙探査イノベーションハブで進められている共同研究に参画。電気自動車開発で培ってきたモーター制御技術や、電動駆動4輪制御技術「e-4ORCE」を応用する形で、月面ローバの駆動力制御に関する研究をJAXAとともに進めている。この共同研究ではe-4ORCEを進化させ、砂地などの過酷な環境下での走行性能を高める技術開発が進められているという。具体的には、路面状況に応じてタイヤの空転量を最小限に抑え、さまざまな路面環境において走行性能を高める駆動力制御を研究・開発しているという。タイヤの空転量を最小限に抑えることは、砂地でのスタックを回避できるだけではなく、空転によるエネルギーロスを最小化することにもつながり、結果として走行エネルギーを効率化することにもつながることから、日産では、こうした技術開発が、月面で走るローバだけでなく、地上で走るクルマの走行性能の向上にもつながるとしている。【マイナビニュース】

【日産提供:日産がJAXAと共同研究中の月面ローバ試作機】