KIT航空宇宙ニュース2022WK02

エンジンテスト準備中のBoom社が開発中の超音速機デモ機
KIT航空宇宙ニュース

KIT航空宇宙ニュース2022WK02

海外のニュース

1.ボーイング2021年受注、エアバス超え 納入7割が737MAX

ボーイングは現地時間1月11日、2021年の民間機の年間納入機数が、前年比183機増の340機だったと発表した。新型コロナ前の2019年は380機で、コロナ前と比較するとやや下回ったものの、737 MAXの納入を2020年12月に再開したことが奏功した。総受注からキャンセルを差し引いた「純(ネット)受注」は535機(前年は1026機のマイナス)。受注残は747機減の4250機となった。競合のエアバスは納入が611機(前年比45機増)、純受注は507機(同239機増)で、納入数は3年連続でエアバスを下回ったものの、純受注はボーイングが上回った。機種別で見ると、737は納入が263機(前年比220機増)で純受注が395機(前年は1034機のマイナス)、747は納入が7機(2機増)で純受注が5機(4機のマイナス)、767は納入が32機(2機増)で純受注が65機(54機増)、777は納入が24機(2機減)で純受注が103機(1機のマイナス)、787は納入が14機(39機減)で純受注が33機のマイナス2機(2機のプラス)となった。737の引き渡しは、263機中245機が737 MAXだった。2度の墜落事故を起こした737 MAXは、2020年11月にFAA(米国連邦航空局)が運航再開を認めたことから、翌12月から納入を再開。2021年納入数の72%が737 MAXとなった。【Aviation Wire News】

【Yahooニュース提供:ボーイング737MAX】

2.超音速機を開発中のBoom社がXB-1デモンストレーターのGEエンジンのテストを開始

超音速航空機の開発者であるブームは、XB-1デモンストレーター航空機に動力を供給するエンジンのテストを開始した。「チームはエンジンテストを通じて、ストールの影響(独特なエンジン・コンフィギュレーションによる)、油圧ポンプや発電機などに電力を供給するエンジンのアクセサリギアボックスの性能まで、すべてが設計どおりに機能することを確認している」と述べている。「これにより、飛行制御やアビオニクスなど、航空機の他のすべてのシステムのチェックが可能となる。テスト中、航空機は強化アンカーを備えた大きなエプロンにつながれ、3つのエンジンのそれぞれがアイドル状態でテストされ、続いて3つすべてがアイドル状態でテストされ、その後さまざまな出力設定でテストされる。Boom社はXB-1デモンストレーターテストキャンペーンをカリフォルニア州モハベに移すと付け加えた。そこでは、タクシーテストを実施する予定であり、その試験で航空機は135kt(245km / h)に到達する可能性が高く、続いて飛行テストが行​​われる予定です。航空機は約185ktで離陸するとブームは述べている。Boom社は2020年10月にデモンストレーターを展開し、当初は航空機が2021年に初飛行を完了することを計画していた。【Flightglobal News】

【Boom社提供:エンジン試験を行うデンバー近くのセンテニアル空港のXB-1デモンストレータ】

3.FAAは、5Gに対応し、1月19日から100を超える米国の空港での自動着陸を禁止する

米国連邦航空局は、いわゆる5G携帯電話伝送の計画された開始に対応し、1月19日から米国の空港での一部の計器着陸操作を禁止した。1月13日FAAは、飛行機の操縦者が主要な大都市圏の空港とともに、アメリカ全土の空港で自動着陸やさまざまな電波高度計ベースのコンピューター化された飛行操作を行うことを禁止する、パイロット向けの通知(NOTAM)を発行した。【Flightglobal News】

【Flightglobal提供】

日本のニュース

1. 2021年の空港別定時出発率、羽田や伊丹など日本勢が首位独占 英Cirium調査

航空分野の情報を提供する英国の「シリウム(Cirium)」が公表した、2021年の空港別の定時出発率によると、発着規模が最も大きい「グローバル」部門で羽田空港が首位となった。グローバルを含め、全4カテゴリーの首位は日本の空港が独占した。空港別のデータでは、発着便の多い順に「ラージ(大規模)」「ミディアム(中規模)」「スモール(小規模)」と分類。定刻に対して15分未満の遅延を「定時出発」と定義している。各空港とも予定されていた便に対し、月間の実運航の発着データが80%以上取得できたものを対象とする。また大規模部門のうち、運航便数が上位10%で、アジアや欧州、北米など3地域以上に運航する空港を、発着規模が最も大きい「グローバル」部門とした。今回の年間調査では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響による旅客減を考慮し、2021年は6月から12月までの運航実績を対象にした。大規模空港の「ラージ」部門は、伊丹空港が首位を獲得。中規模空港の「ミディアム」部門では、関西空港が首位を獲得。小規模空港の「スモール」部門では、松山空港が首位を獲得。【Aviation Wire News】

【Yahooニュース提供:グローバル部門で2021年定時発着率首位となった羽田空港】

2.JAXA、月面活動に向けた測位・通信技術開発に関する検討の委託先を選定

アークエッジ・スペース、AAI-GNSS技術士事務所、清原光学、KDDI、KDDI総合研究所、三菱プレシジョンの6者は1月11日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の公募型企画競争「月面活動に向けた測位・通信技術開発』に関する検討」の委託先に選定されたことを発表した。また、今回の6者に東京大学(大学院工学系研究科)を加えた7者でコンソーシアムを組成することも併せて発表された。2022年1月初旬から同年3月25日のスケジュールで、月探査における基盤となる測位・通信システムの総合アーキテクチャおよび月測位衛星システムや、月-地球間の超長距離通信システムなどについて、その開発計画を検討するとしている。現在、米国を中心に、日本も参加する国際宇宙探査計画「アルテミス計画」が進行中で、その第一歩として月の探査・開発が進められる予定となっている。2025年に、アポロ計画以来となる、有人月面探査が行われる予定であり、それ以降も年に1回程度の探査が予定されており、2020年代後半には恒久的な月面基地の建設も予定されている。また、2030年代以降は、月面有人探査のために建設される月周回有人拠点「ゲートウェイ」などを足がかりにして、有人火星探査も行われる計画となっている。【マイナビニュース】

【JAXA提供】