KIT航空宇宙ニュース

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KIT航空宇宙ニュース2022WK05

海外のニュース

1.カタール航空、737 MAXを最大50機導入へ A321neo全機キャンセル

ボーイングは、カタール航空と737 MAXを最大50機導入する覚書(MoU)を締結したと発表した。カタール航空は発注済みのエアバスA321neoを50機すべてキャンセルする意向を示しており、発注予定の単通路機をボーイング機に置き換える。カタール航空は発注済みのA321neoについて、50機すべてキャンセルする意向を現地時間1月21日に発表。保有するA350の外観塗装が劣化する問題に関連した措置で、カタール航空は問題が解決するまで、エアバス機を新たに受領できないとしている。(Aviation Wire News)

(Fly Team提供:カタール航空が導入する737MAX-10型機)

2.ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡、目的地に到着 – 観測に向けた準備が本格化

米国航空宇宙局(NASA)などは2022年1月25日、昨年末に打ち上げたジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)が、観測を行う太陽・地球系のラグランジュ点L2を回る軌道に到着したと発表した。

JWSTは今後、約3か月かけて望遠鏡を調整。今春にも最初の画像を撮影する“ファースト・ライト”を行い、科学運用に入る予定となっている。太陽・地球系L2は、太陽と地球を直線で結んだ先の、地球の外側にある重力が安定している領域のことで、地球からは約150万km離れている。この場所は、JWSTと地球、そして太陽との位置関係がつねに同じで一直線に並ぶため、つねに望遠鏡を宇宙に向けつつ、太陽電池や通信機器を太陽と地球の方向に向けることができるという利点がある。また、赤外線宇宙望遠鏡であるJWSTにとって、ほんのわずかな熱(赤外線)もノイズ(雑音)となるが、この軌道は地球と月から遠く離れていることから、それらから放出される赤外線の影響を受けずに済み、さらに望遠鏡の光学系や科学機器を十分に冷やすこともできるなど、JWSTの運用に最適な条件が揃っている。(マイナビニュース)

(Yahooニュース提供:世界最大のジェームス・ウェブ望遠鏡)

3.GE Aviationがハイブリッド電気飛行試験のデモンストレーションプログラムでボーイングと提携

GE Aviationは、改良されたSaab340B航空機とCT7-9Bターボプロップエンジンを使用したハイブリッド電気推進システムの飛行試験をサポートするためにボーイングを選択した。ボーイングとその子会社であるオーロラフライトサイエンスは、GEアビエーションに飛行機の改造、システム統合、飛行試験サービスを提供する。その作業には、ナセルの製造、フライトデッキのインターフェイスの設計とソフトウェア、航空機レベルのパフォーマンス分析、およびシステム統合が含まれる。以前、NASAとGE Aviationは、メガワット(MW)クラスのハイブリッド電気推進システムを成熟させ、単通路航空機の飛行準備を実証するための新しい研究パートナーシップの立ち上げを発表した。2020年代半ばに地上試験と飛行試験を実施する予定です。NASAのElectrified Powertrain Flight Demonstration(EPFD)プロジェクトの一部であるこのプログラムは、NASA、GE Aviation、Boeing、および、その他のパートナーからの5年間の投資を含む合計2億6,000万ドルの取り組みです。(Flight Global News)

(GE Aviation提供:CT7-9Bターボプロップエンジンを改造した電動ハイブリットエンジン)

4.エアタクシー事業を開拓中の米国Wisk社が空域統合試験の第2フェーズへ移行

ボーイングが支援する電気エアタクシーの開発者であるWisk社は、型式証明認定可能な自律型「空飛ぶクルマ」eVTOL機「CORA」の最終設計に向けて取り組んでいる。今年の前半にニュージーランドで空域統合試験の第2フェーズを開始する。(Flightglobal News)

(Wisk社提供:Wiskが開発中の自律型eVTOL機「CORA」)

5.FAAが737MAXに対し5G電波の存在下での飛行要件を改訂

連邦航空局(FAA)は、5G干渉が発生する可能性のある空港でのボーイング737 MAX航空機の着陸要件を改訂する耐空性指令(AD)を発行した。FAAと無線会社の間の継続的なコラボレーションにより、FAAは、ボーイング737 MAXを含む米国の民間航空機の推定90%を、5G展開でのほとんどの視認性の低いアプローチでクリアすることができた。 このADは、FAAが航空機の電波高度計が5GCバンド環境で安全で信頼できると判断した空港への着陸には適用されずまた、5Gが展開されていない空港にも適用されない。 オートスロットル、対地接近警報装置、逆推力装置、空中衝突防止装置など、737 MAXの多くのシステムが電波高度計に依存しているため、FAAは、5G無線スペクトル干渉のリスクがある空港でのボーイング737 Maxの運用手順の改訂を命じており、特定のブレーキ機能および滑り止め機能が動作不能であると宣言された場合、そのような空港への737Maxサービスを禁止するADを発行している。(Flightglobal News)

(Flightglobal提供:FAAより飛行制限を受けている737MAX機)

日本のニュース

1.JAL、SDGs債で低燃費機材導入

日本航空は2月2日、SDGs債の一つである社債「トランジションボンド」を発行すると発表した。JALがSDGs債を発行するのは初めてで、脱炭素社会への移行を使途とするトランジションボンドを航空業界で発行するのは初だという。低燃費機材のエアバスA350型機やボーイング787型機への更新などに調達資金を充てる。オンラインで会見を開いた財務・経理本部長の菊山英樹専務は「現在の技術では電気飛行機や水素(燃料)飛行機は、航続距離などを含めてフィージビリティー(実現可能性)としては初期段階にあると考えている。将来の新技術の活用までの移行期間として、現在の技術における最新鋭機であるA350や787へ機材更新を進めることがトランジションに向けた重要な課題と受け止めている」と説明した。(Aviation Wire News)

(Aviation Wire提供:JALの最新鋭機A350型機)

2.JAL、ANA共に、2021年第3四半期の決算でキャッシュバーン解消を達成

日本航空が2月2日に発表した2021年4-12月期(22年3月期第3四半期累計)連結決算(IFRS)は、本業のもうけを示すEBIT(利払い・税引き前損益)が1833億2800万円の赤字(前年同期は2941億7900万円の赤字)だったものの、EBITに減価償却費を加えたEBITDA(利払い・税引き・償却前損益)は10-12月期(第3四半期単独)に黒字化を達成し、キャッシュバーン(現金流出)を解消した。全日本空輸を傘下に持つANAホールディングスも2月1日に発表した2021年4-12月期(22年3月期第3四半期)連結決算(日本基準)は、本業のもうけを示す営業損益が1158億1700万円の赤字(同3624億800万円の赤字)だったものの、10-12月期単独では8四半期ぶりに黒字転換して1億円の営業黒字となり、キャッシュバーンを解消した。(Aviation Wire News)