KIT航空宇宙ニュース2022WK15

ユニークなデザインの米国Odys社の地域航空用ハイブリッドVTOL機
KIT航空宇宙ニュース

KIT航空宇宙ニュース2022WK15

海外のニュース

1. インドネシアのJetチャーター会社が中国のEHang社のeVTOL機を100機発注

Indonesian private jet charter firm Prestige Aviation は、 中国で開発されたPassenger grade

electric vertical take-off and landing(eVTOL) aircraft EHang EH216 を(100)機の事前発注に署名した。EHang 社のEH216 にコミットしている他のアジアのオペレーターには、マレーシアのAerotree Flight Services や、日本のAirX が含まれている。【Flightglobal】

【Flightglobal提供:EHang社のeVTOL機】

2.FAAが長期保管後の飛行中のターボファンの故障について警告

米国連邦航空局(FAA)は、2種類のターボファンの検査を要求しており、航空機の長期保管によって引き起こされる腐食は、飛行中のエンジンの故障を引き起こす可能性があると述べている。この問題は、パンデミック時にジェット機が数か月間保管されてる場合に発生する可能性があり、規制上の問題もあるとしている。FAAは今週、ボーイング777にエンジン用プラットアンドホイットニー社製PW4000エンジンと、ボンバルディアCRJおよびエンブラエルE-ジェットにエンジン用GEアビエーション社製CF34の潜在的な腐食に対処するAD(耐空性改善通報)を発行した。4月11日付けADで、FAAは、長期保管から出たばかりのジェット機でのCF34の故障(デュアルエンジンの故障を含む)について次のように警告している。「屋外に250日以上駐車された飛行機に取り付けられたエンジンは、過度の腐食が蓄積するリスクがある」。ADは、2021年8月11日に「飛行中のエンジン停止を経験した」CRJ1000を含む、CRJに関連するいくつかの飛行中のCF34の問題を引用している。【Flightglobal News】

【Flightglobal提供:CRJ1000型機】

3.Odys Aviationは、リージョナルジェット機の代わりとして独自のVTOLを売り込む

数十の優れたエアモビリティ機のアイデアがある中で、潜在的な航空革命を目指す米国カリフォルニア州ロングビーチ市にある新興企業Odys Aviationが注目を集めている。Lilium、Archer Aviation、Joby Aviation、Embraer、Wisk Aeroによって開発されている全電気設計のように、短距離垂直離着陸(VTOL)車の代替として、Odys社は高高度で飛行し、何マイルも離れた地域に輸送することができる。同社のアイデアは他の空飛ぶ自動車ではなく、ハイブリッド電気航空機で、長距離飛行が可能な代替手段となる。Odysの創設者兼最高執行責任者であるJames Dorrisは、4月7日にFlightglobalに次のように語った。「地域航空での二酸化炭素排出を大幅に抑え、さらに、ドアツードアでの旅行時間を現在の半分に短縮することが可能」。同社のウェブサイトでは、そのアイデアに関する詳細をほとんど明らかにしていないが、小さなキャビン(9席)と16個のプロペラを備えた斬新で未来的な翼のデザインを示している。プロペラは、ArcherやJobyのeVTOLのようにTiltしない。「Tiltメカニズムにはいくつかの良い利点があるが、いくつかの潜在的な問題があるため、主に高揚力フラップにより垂直離陸および接地システムを可能とした。」とDorrisは述べている。【Flightglobal News】

【Odys Aviation提供:開発中のハイブリッドVTOL機の想像図】

日本のニュース

1. AIRBUS と川崎重工、日本における水素の利用促進調査で協力

エアバスと川崎重工は4月12日、水素を燃料とした航空機の実現に向けて、水素の生産から空港への輸送、航空機への補給までさまざまな段階における水素サプライチェーンの構築の調査を含めた協働を開始することを発表し、覚書を締結した。両者が行う予定の調査は、日本で水素サプライチェーン構築をするために必要な要素などを明らかにする目的で行うという。また、航空機の水素利用に必要な政策提言と課題への取り組みに向けたロードマップを共同で作成し、航空業界における水素のインフラ整備を先導するといい、特に空港を水素供給の拠点とすることに力を入れていくとしている。【マイナビニュース】

【川崎重工提供:覚書を締結した西村川崎重工執行役員(左)とジヌー/エアバスジャパン社長】

2. 三菱スペースジェット、米開発拠点閉鎖 3号機は解体済み

国産初のジェット旅客機「三菱スペースジェット(旧MRJ)」の開発を担う三菱航空機が、米ワシントン州にある米国の飛行試験拠点「モーゼスレイク・フライトテスト・センター(MFC)」を3月末で閉鎖した。米国で試験を行っていた4機の飛行試験機のうち、3号機の日本国籍機としての登録は3月で抹消され、機体は解体された。スペースジェットの抹消は初めて。スペースジェット関連の海外拠点はMFCのほか、ワシントン州シアトル近郊のレントンにある米国法人の本社と、カナダのモントリオールにある開発拠点の北米3カ所。今回のMFC閉鎖で海外拠点をすべて手じまいした。MFCにある飛行試験機のうち、3号機は3月14日付で「航空の用に供さないため」として三菱航空機が国交省に「抹消登録」を届け出て、17日に抹消された。スペースジェットの抹消は初めてで、残り3機の飛行試験機や国内にある機体の扱いは検討中だという。【Aviation Wire News】

【Aviation Wire 提供:ANAの塗装がなされた「MSJ」3号機】

3.  JAL、ハワイツアー再開 4/24出発から

日本航空グループ旅行会社のジャルパックは4月12日、ハワイツアーを24日出発分から再開すると発表した。外務省が1日に各国の感染症危険情報レベルを引き下げ、米国は従来のレベル3からレベル2に下がったため。ジャルパックによると、JATA(日本旅行業協会)が3日から7日にハワイへ視察団を派遣し、ハワイ州知事や観光関連団体などと会談。現地の観光客受け入れ体制を確認したという。 現在ハワイ州の感染状況は落ち着いており、ツアー参加者の安全を確保する上で対策を講じられるとして再開を決めた。24日出発分から再開するのは、航空券と宿泊がセットになった「ダイナミックパッケージ」。27日からはJALのマイル制度「JALマイレージバンク(JMB)」会員向けツアー「JMBツアー」のうち、7月1日以降に出発するハワイツアーの販売を再開する。【Aviation Wire News】