KIT航空宇宙ニュース2022WK18

ボーイング社は本社を現在のシカゴからワシントンDCに近いバージニア州アーリントン市へ移転予定
KIT航空宇宙ニュース

KIT航空宇宙ニュース2022WK18

海外のニュース

1. ボーイング、ワシントンDC近郊に本社移転へ 政府と連携強化

ボーイングは現地時間5月5日、本社を首都ワシントンDC近郊の米バージニア州アーリントンへ移転すると発表した。現在のシカゴ(イリノイ州)から政府機関が集まる首都近郊に移ることで、米国運輸省(DOT)や米国連邦航空局(FAA)など、ステークホルダー(利害関係者)や顧客との連携強化を見込む。アーリントンには現在、防衛・宇宙・セキュリティ(BDS)部門がある。本社機能を集約するほか、研究技術拠点の設立も予定する。設立する研究技術拠点では、サイバーセキュリティや量子科学、ソフトウェアなどに重点を置き開発を進める。ポトマック川を挟みワシントンDCの西対岸に位置するアーリントンには、米国防総省本部「ペンタゴン」やアーリントン国立墓地などがあることでも知られている。【Aviation Wire News】

(Boeing Photo)

【Aviation Wire提供:ボーイング本社移転先のバージニア州アーリントン市】

2.11時間飛べるA321XLR、2024年就航へ 初号機がロールアウト

エアバスは、開発が進む小型機A321XLRの就航時期を当初予定していた2023年末から2024年初頭に延期した。初飛行は今年4-6月期を計画しており、独ハンブルクの塗装工場をロールアウトした。最大11時間飛行できる。 A321XLRは、A321neoの航続距離を延長した超長距離型で2019年6月にローンチ。XLR(Xtra Long Range)は「超長距離」を意味し、燃料タンクを増設することで単通路機では世界最長の航続距離4700海里(約8704キロ)を実現し、最大11時間飛行できる。エアバスによると、東京を起点とした場合、シドニーやデリーなどへ直行便を運航できるという。最大離陸重量(MTOW)は101トン。メーカー標準座席数は2クラス180-220席、1クラスの場合は最大244席設定できる。座席当たりの燃費は、旧世代機と比べて30%改善される。【Aviation Wire News】

【Yahooニュース提供:ロールアウトしたエアバスA321XLR型機】

3. 英国の航空会社Easy Jetと航空機部品メーカーGKNが水素飛行実現のために協力

Easy Jetは、GKN Aerospaceと協力して、ゼロカーボンエミッション技術の採用により航空の炭素排出量を削減すると発表した。Easy Jetは、航空会社の脱炭素化への一環として、飛行デモンストレーション調査を含む、GKN Aerospaceの水素燃焼(H2JET)および水素燃料電池(H2GEAR)技術の開発をサポートする。とりわけ、Easy Jetは運用要件と経済性に関する評価を提供する。H2GEARは、GKN Aerospaceが主導する画期的な英国政府のコラボレーションプログラムであり、より大型の航空機にスケールアップできるサブリージョナル航空機用の液体水素推進システムの開発を目的としている。液体水素は、燃料電池システム内で電気に変換され、航空機に効率的に電力を供給し、炭素排出を無くし、新世代のクリーンな空の旅を実現する。H2GEARプログラムは、GKN Aerospaceとその協力会社が獲得した英国政府による2700万ポンドのATI資金によって支援されている。H2JETは、中距離民間航空機のガスタービンベースの水素推進のための主要なサブシステムの開発を推進するために、GKN Aerospaceが主導するスウェーデンとの共同2年間プログラムです。【Aerospace News】

【GKN Aerospace提供:GKN Aerospace社が開発中の水素推進リージョナル航空機「H2JET」】

日本のニュース

1. JAL、23年3月期は黒字450億円予想、ANAも、23年3月期は黒字転換へ

日本航空は5月6日、2022年3月期通期連結決算(IFRS)の最終損益が1775億5100万円の赤字(21年3月期は2866億9300万円の赤字)になったと発表した。2021年3月期に続き2期連続の最終赤字となったが、赤字幅は約1091億円圧縮した。今期(23年3月期)の通期連結業績予想は、450億円の最終黒字を見込む。JALの赤坂祐二社長は「こういう状況ではあるが、2期連続(赤字)の結果は極めて重く受けて止めている。不退転の決意で今期の黒字化を達成したい」と、3期ぶりの通期黒字化への決意を語った。全日本空輸を傘下に持つANAホールディングスも4月28日、2022年3月期通期(日本基準)の連結最終損益は1436億2800万円の赤字(21年3月期は4046億2400万円の赤字)になったと発表した。2021年3月期に続き2期連続の最終赤字となり、期初に想定した黒字化はオミクロン株による感染拡大などで未達となったが、赤字幅は約2610億円圧縮した。今期(23年3月期)の通期連結業績予想は、純損益が210億円の黒字を見込む。【Aviation Wire News】