KIT航空宇宙ニュース2022WK37

KIT航空宇宙ニュース

KIT航空宇宙ニュース2022WK37

海外のニュース

1.787、1年2カ月ぶり納入再開

ボーイングの2022年8月の引き渡しは35機で、22機だった前年同月を上回った。受注は30機で、53機だった前年同月を下回った。品質問題により引き渡しゼロが続いていた主力の787型機は、1年2カ月ぶりに納入を再開した。競合のエアバスは8月に39機(前年同月40機)を引き渡した。受注はゼロ(同102機)だった。引き渡しの内訳は737が28機(前年同月16機)、747がゼロ(ゼロ)、767が2機(4機)、777が3機(2機)、787が2機(ゼロ)だった。製造時の不具合が生じていた主力の787は、2021年6月以来1年2カ月ぶりに引き渡しを再開した。8月分の受注・納入リストに掲載されたのは、ルフトハンザ ドイツ航空向け初号機の787-9と、エールフランス-KLMグループの787-10の2機で、納入再開初号機となったアメリカン航空の787-8は記載がなかった。受注は737が13機(前年同月35機)、747がゼロ(ゼロ)、767が12機(ゼロ)、777がゼロ(11機)、787が5機(7機)だった。【Aviation Wire News】

Lufthansa 787-9 Take-Off

【Aviation Wire提供:787引渡し再開初号機となったルフトハンザ航空の787-9型機】

2.米ブルー・オリジンの宇宙船、無人飛行で打ち上げ失敗 – 脱出装置で無事回収

米国の宇宙企業ブルー・オリジンは2022年9月12日、「ニュー・シェパード」宇宙船の打ち上げに失敗した。実験装置を積んだ無人での飛行だったため、けが人は出ていない。また、脱出装置が機能したことから、カプセルと中の実験装置は無事に回収されている。運用段階に入ってからの打ち上げ失敗は初めて。原因は調査中としている。当面の飛行停止は避けられず、今後の同社による宇宙旅行ビジネスに影響を及ぼす可能性がある。ニュー・シェパード(New Shepard)は、Amazon創業者として知られる実業家のジェフ・ベゾス氏が立ち上げた宇宙企業ブルー・オリジンが運用する宇宙船である。高度100kmの宇宙空間に旅行者や実験装置を運び、回収することを目的としている。全長約18mの小型の宇宙船で、先端に人や実験装置を乗せる「クルー・カプセル」があり、その下にはロケット部分の「ブースター」がある。両者は打ち上げ後、上空で分離。宇宙空間に到達したのち降下し、ブースターはエンジンを逆噴射して着陸、カプセルはパラシュートで着陸する。カプセルもブースターも再使用が可能で、打ち上げコストの低減が図られている。今回までに22回の飛行が行われており、無人飛行で実績を積んだのち、2021年7月からは有人飛行も開始。チケットも販売され、商業運航が行われている。有人飛行はこれまでに6回行われ、ベゾス氏をはじめ、俳優のウィリアム・シャトナー氏など、32人が宇宙飛行を経験している。【マイナビニュース】

【Biglobニュース提供:脱出装置が働き脱出した実験装置を乗せた「ニュー・シェパード・カプセル】

3.スウェーデンの新興企業ハート社が30人乗りハイブリッド電動航空機ES-30の詳細を発表

Heart Aerospaceが発表したES-30 は、以前に提案されていたES-19の2倍以上の重さになり、メーカーの予備データによると、翼幅もほぼ3分の1伸びる。9月15日にスウェーデンのヨーテボリ近くにある同社のSave空港本社で開催された格納庫の日のイベントで発表された30席のES-30は、現在開発が進められている19人乗りのES-19に代わるハイブリッド電気地域航空機で、ヨーロッパのCS-23規制の8,618kg (19,000 ポンド)の重量制限による制約を受けなくなったCS-25 準拠のES-30は、その前身よりも大幅に質量が増加した。最大離陸重量は現在20~21トンの範囲にあり、そのうち5トンはバッテリーで、航空機の重量と寸法は、設計プロセスが進むにつれて変化する可能性がある。翼幅もES-19の23mから30.77m (101ft)に増加したが、ES-30の胴体の長さは22.7mで、小型の航空機より5.2m長くなる。追加の胴体の長さの多くは、より大きな手荷物コンパートメントと800kWクラスのターボ発電機2基を収容するために必要であり、216nm (400km)、または25人の乗客が乗っている場合は431海里まで航続距離を伸ばすことができる。ES-19 の幅1.46mからES-30の2.21m に拡張された胴体により、乗客のための追加のスペースが作成され、以前の1+1に対して2+1シート構成に切り替えることができる。30人乗りとしているが、Heart はES-30を高密度の34人乗り構成で提供可能で、前方キャビンで29インチ、後部キャビンで 30インチのピッチの座席を備えることができる。サービスエントリーは2028年に予定されている。【Flightglobal News】

【Heart Aerospace社提供:開発中の30人乗りハイブリッド電動航空機「ES-30」想像図】

日本のニュース

1.成田空港、全ターミナル集約へ C滑走路新設、需要増に備え

成田空港を運営する成田国際空港会社(NAA)は、現在3カ所ある旅客ターミナルを1カ所に集約する。場所や供用開始時期は未定。2029年3月末に予定する第3滑走路(C滑走路)の新設に合わせ、需要増加に備える。NAAの田村明比古社長が、9月14日に千葉県庁で開かれた県や周辺市町との意見交換会で構想を示した。具体案は年度内に取りまとめて公表する見通し。成田空港の旅客ターミナルは第1(T1)から第3(T3)まで3つあり、ターミナル間の移動には連絡バスなどを利用する。このうち最も新しいLCC専用のT3は2015年4月に供用を開始したが、日本航空などが入居する第2ターミナル(T2)は1992年12月から、全日本空輸が入居するT1は開港当初の1978年5月から使用している。開港から44年が経過し、一部では老朽化も目立ってきている。新設するC滑走路は3500メートルで、既存のB滑走路の南側に整備する。またB滑走路は、現在の2500メートルから1000メートル延伸し、3500メートルとする。これにより、年間発着回数が50万回に拡大。完成は2028年度末の2029年3月31日を予定している。【Aviation Wire News】

2.三井不動産、アジア最大級の宇宙ビジネスイベントを12月に東京・日本橋で開催

三井不動産は9月12日、2022年12月12日から16日にかけて、アジア最大級の宇宙ビジネスイベント「NIHONBASHI SPACE WEEK 2022」を開催することを発表した。2018年ころより、東京・日本橋エリアには、宇宙関連のスタートアップやアカデミアなどが拠点を構えはじめており、現在では、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と連携した宇宙領域における新産業創造促進の活動をはじめ、日々宇宙に関連する多彩なプロジェクトが推進されるなど、さまざまな宇宙ビジネスが活性化している状況にあるという。そうした中、三井不動産も日本橋にて宇宙関連領域のビジネス拡大プロジェクト「X-NIHONBASHI(クロス・ニホンバシ)」に取り組んでおり、今回のイベント「NIHONBASHI SPACE WEEK」もその活動の一環で、初開催となった2021年には述べ約6,000名が参加したという。2回目の開催となる今回は、期間・会場エリアともに拡大する形での開催を決定。前回も開催された宇宙ビジネス展示会「TOKYO SPACE BUSINESS EXHIBITION」については、開催会場を2会場へと拡大させるほか、出展区画数も海外からの出展を含め、前回比で2倍となる約40区画に増やす予定だという。また、国内外の有識者が登壇するキーノートスピーチや各種カンファレンスのほか、ビジネスコンテスト、海外とのビジネスマッチングなど各種イベントも開催する予定だとしている。NIHONBASHI SPACE WEEK 2022の主な会場は、日本橋三井ホール、室町三井ホール&カンファレンス、X-NIHONBASHI TOWER、宇宙ビジネス拠点X-NIHONBASHIなどとしており、参加申し込みなどについては、NIHONBASHI SPACE WEEKオフィシャルWebサイトにて2022年11月上旬より開始する予定だとしている。【マイナビニュース】

【Biglobeニュース提供】