KIT航空宇宙ニュース2022WK50

日本独自の民間宇宙ステーション(CSSJ)建造計画をDigitalBlast社が発表
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KIT航空宇宙ニュース2022WK50

海外のニュース

1.中国COMAC、C919を中国東方航空へ初納入

中国のCOMAC(中国商用飛機有限責任公司)は現地時間12月9日、小型機C919型機の初号機(登録記号B-919A)を、最初の顧客である中国東方航空へ引き渡した。今後は中国の航空当局CAAC(中国民用航空局)による運航資格の補完や、就航開始に向けた準備を経て商業運航を始める。座席数は2クラス164席で、ビジネスクラス8席、エコノミークラス156席。初号機のB-919Aは9日の納入式典後、上海浦東国際空港から上海虹橋国際空港までMU919便としてフェリーされた。C919は、ボーイング737型機やエアバスA320型機の機体サイズに相当する単通路機で、メーカー標準座席数は2クラス158席で最大1クラス192席、航続距離は標準型が4075キロ、航続距離延長型では5555キロ。2015年11月2日にロールアウトし、2017年5月5日に初飛行した。安全性を当局が証明する型式証明は、CAACから今年9月29日に取得した。エンジンは、CFMインターナショナル製新型エンジン「LEAP-1C」を搭載。LEAPシリーズは単通路旅客機向け次世代エンジンで、C919向けのLEAP-1Cのほか、エアバスA320neoファミリーで選択できるLEAP-1Aと、ボーイング737 MAXに独占供給するLEAP-1Bの3モデルがある。【Aviation Wire News】

【Aviation Wire提供:COMAC919初号機の中国東方航空への引渡し式】

2.NASAの「オリオン」宇宙船、月からの帰還に成功 – 人類の月再訪への第一歩

米国航空宇宙局(NASA)の新型宇宙船「オリオン(オライオン)」が2022年12月12日、月への無人試験飛行ミッション「アルテミスI」を終え、地球への帰還に成功した。アポロ計画以来、半世紀ぶりの有人月探査の実現、そして将来の有人火星探査に向けた足がかりになることを目指す「アルテミス」計画は、この成功で大きな一歩を踏み出した。「アルテミス(Artemis)」計画は米国を中心に、欧州や日本、カナダが共同で進めている国際有人月探査計画である。「アルテミスI (Artemis I)」はその最初のミッションとして、新開発の巨大月ロケット「スペース・ローンチ・システム(SLS)」と有人宇宙船「オリオン(Orion)」を無人で打ち上げ、性能や能力の試験や検証を行うことを目的としている。オリオンを搭載したSLSは、日本時間11月16日15時47分44秒(米東部標準時同日1時47分44秒)、フロリダ州にあるNASAケネディ宇宙センターから打ち上げられた。【マイナビニュース】

【NASA提供:月から帰還し、地球に帰還したオリオン宇宙船】

日本のニュース

1.ORC、ATR42初受領 新デザインで23年7月就航へ

仏ATRは現地時間12月16日、オリエンタルエアブリッジにターボプロップ(プロペラ)機ATR42-600型機の初号機を引き渡したと発表した。11月7日の当紙既報の通りロゴが刷新され、機体の塗装も新デザインを採用した。長崎離島路線用の機材として、2023年7月に就航する見通し。ATR42は長崎に到着後、訓練を実施して就航に備える。座席数は1クラス48席で、2機のATR42を順次受領し、現行のボンバルディア(現デ・ハビランド・カナダ)DHC-8-Q200型機を更新していく。当初は12月5日に長崎へ到着する予定だった。ORCのTwitterによると、長崎には21日に到着する見通しだという。新機材導入に合わせ、新しいロゴマークを制定。「空」「海」「島」をビジュアルイメージとし、空を水色、海を青色、島を緑色で表現した。英文ロゴタイプは「安全安心な高い信頼性を感じさせる企業イメージを表現」するため、安定感のあるボールド系にしたという。機体デザインは「飛翔する海鳥」がコンセプト。五島灘を大きく羽を広げて悠々と飛ぶ海鳥をイメージし、白い機体の前方と後方にラインを配した。新ロゴはATR就航に先立ち、2023年3月1日から導入する。【Aviation Wire News】

【Aviation Wire提供:ORCのATR42-600型機初号機】

2.大分空港から宇宙往還機、JALのノウハウ活用 アジア拠点具体化へプロジェクト参画

日本航空は12月12日、大分県ら3者が大分空港で進めている宇宙往還機の活用を検討するパートナーシップに参画すると発表した。県と兼松、商用宇宙ステーションなどを開発する米Sierra Space(シエラ・スペース、本社・コロラド州)の3者によるパートナーシップに、JALが持つの航空輸送事業のノウハウを活用することで、宇宙往還機にアジア拠点化を具体化させる。Sierra Spaceは無人の宇宙往還機「Dream Chaser」を開発し、2023年には国際宇宙ステーション(ISS)への補給ミッションを米国で開始に向け準備を進めている。また2026年以降をめどに、有人機のミッションも計画している。Dream Chaserはアジア拠点として大分空港の活用を目指し、Sierra Spaceの代理店を務める兼松を含めた3者のパートナーシップで安全性や環境面、経済波及効果などの検討を進めている。JALの参画により、Dream Chaserの日本国内での事業開発や、JALが国内線を就航している大分空港での運用支援などを進めていく。大分県は、航空機による人工衛星の打ち上げを手掛ける米ヴァージン・オービット(カリフォルニア州)と連携し、大分空港からの人工衛星打ち上げプロジェクトを進めている。ヴァージン・オービットはANAホールディングスと、日本国内での航空機を利用した人工衛星打ち上げ事業の展開に向けて基本合意書を締結するなど、宇宙関連の動きが活発化している。【Aviation Wire News】

【Aviation Wire提供:Sierra Space社が開発中の無人の宇宙往還機「Dream Chaser」】

3.政投銀、空飛ぶクルマ産業のウェビナー 1/18開催

日本政策投資銀行(DBJ)は、「空飛ぶクルマ」と呼ばれるeVTOL(電動垂直離着陸)機をテーマにしたウェビナー形式のDBJ iHub オンラインシンポジウム「ものづくりとしての空飛ぶクルマ 第2弾  空飛ぶクルマの産業創造」を2023年1月18日に開催する。政府の取り組みの現状や、国内外の空飛ぶクルマを手掛けるメーカーからが最新の話題を披露する。DBJや経済産業省、関東経済産業局で空飛ぶクルマに関わる部署の責任者や担当者が登壇するほか、機体メーカーやサプライヤーのトップなどが講演する。機体メーカーからはSkyDriveの福澤知浩CEO(最高経営責任者)やBETA Technologies、EVE Air Mobility、Vertical Aerospace、Leonardoの幹部や担当者が、サプライヤーからはロールス・ロイスジャパンの神永晋社長、AeroEdge(エアロエッジ)の森西淳社長が登壇を予定している。参加費は無料で1月18日午後3時から午後5時30分まで。ビデオ会議システム「Zoom」を使ったウェビナーで、事前登録が必要。【Aviation Wire News】

【Yahooニュース提供】

4. ispaceの月面ランダーは正常に飛行開始、日本初・民間初の着陸に向け前進

ispaceは12月11日16時38分(日本時間)、米国フロリダ州より同社初となる打ち上げを実施。Falcon 9ロケットに搭載された「HAKUTO-R」ミッション1ランダーは、打ち上げの約47分後、正常に分離、所定の軌道に投入された。ランダーの状態は正常。順調に飛行すれば、今後、2023年4月末には、民間初となる月面着陸に挑む予定だ。同社のミッション1ランダーは当初、11月28日の打ち上げを予定していたが、ロケット側の問題により、延期されていた。仕切り直しとなったこの日の打ち上げは、順調にカウントダウンが進行。エンジンに点火すると、ロケットは暗闇の中、飛翔を開始した。【マイナビニュース】

【ispace提供:ミッション1計画概要】

5.DigitalBlast、日本初の民間宇宙ステーション構築計画を発表

DigitalBlastは12月12日、日本としては初の民間主導による宇宙ステーション構築を目指す「民間宇宙ステーション(CSS)構想」を立ち上げることを発表した。2022年12月時点、宇宙航空研究開発機構(NASA)の若田光一宇宙飛行士が滞在している国際宇宙ステーション(ISS)は老朽化が進み、その継続についての議論が進められている。現時点では、日本政府としては2030年まで運用を延長することを支持しているが、それ以降については運用終了予定となっている。こうしたISS退役後、宇宙の活用に向け、すでに海外では民間による宇宙ステーション建設に向け、複数の企業が動き出しているが、日本からはそうした動きはこれまで表立っては見られていなかった。今回、同社ではISSの「きぼう」日本実験棟(JEM)における開発・運用実績などの技術・知見を生かし、地球低軌道(LDO)経済圏と惑星間経済圏の創出と融合を目指し、CSS構想を立ち上げるに至ったと説明している。同構想のゴールは、日本国内の民間主導で宇宙ステーションを構築することとしており、同社がその主導的な役割を担い、協力企業とともに2030年までに1つ目のモジュールの打ち上げを目指すとしている。この宇宙ステーションでは、宇宙実験サービスや通信インフラなどの企業・研究機関・官公庁向けのサービスに加え、スポーツや映像・動画配信など宇宙空間を活用したエンタメとして一般消費者向けのサービスも展開する予定だとしている。【マイナビニュース】

【Digital Blast社提供:DigitalBlastが計画している宇宙ステーション(CSS)のイメージ】