KIT航空宇宙ニュース2022WK51

KIT航空宇宙ニュース

KIT航空宇宙ニュース2022WK51

これが本年最後のKIT航空宇宙ニュースです。皆さん今年一年ご購読ありがとうございました。良いお年をお迎えください。
交通機械 小林

海外のニュース

1.中国COMAC、ARJ21をインドネシア社へ海外初納入 

中国のCOMAC(中国商用飛機有限責任公司)は、リージョナルジェット機「ARJ21」を海外の航空会社に初納入したと現地時間12月18日に発表した。海外向け初号機はインドネシアのトランスヌサが導入した。ARJ21は座席数78-90席のジェット旅客機で、トランスヌサのARJ21には1クラス95席を設定する。航続距離は2225-3700キロメートル。2016年に納入が始まり、四川省に拠点を置く成都航空のほか、2020年には中国国際航空(エアチャイナ)と中国東方航空、中国南方航空の大手3社にも引き渡した。トランスヌサは2005年に設立。インドネシア東部・ティモール島のクパンを拠点に国内線を運航していたが、2021年12月にLCCへ事業転換した。今年10月からは、ジャカルタを拠点にバリとジョグジャカルタの2都市へ乗り入れ、機材はエアバスA320ceo(1クラス174席)を2機、A320neo(同168席)を1機保有している。COMACは開発を進めていた小型機C919型機を、12月9日に最初の顧客である中国東方航空へ引き渡した。【Aviation Wire News】

【Yahooニュース提供:インドネシアのトランスヌサに納入されたARJ21型機】

2.欧州の「ヴェガC」ロケット、打ち上げに失敗 – 相次ぐ失敗で信頼性に疑問符

欧州のロケット運用会社アリアンスペースは2022年12月21日(日本時間)、小型ロケット「ヴェガC」の打ち上げに失敗した。ヴェガCの打ち上げはこれが2機目で、今回が初の実運用かつ商業打ち上げだった。先代の「ヴェガ」ロケットから数え、衛星打ち上げの失敗は21機中3機目となり、欧州の宇宙輸送の信頼性、自立性に大きな疑問符がついた。ヴェガCロケットVV22号機は、日本時間12月21日10時47分(ギアナ現地時間20日22時47分)、南米仏領ギアナにあるギアナ宇宙センターから離昇した。1段目の燃焼は正常だったものの、2段目の固体ロケットモーター「ゼフィーロ40(Zefiro-40)」の燃焼中に異常が発生。ロケットは予定していた飛行経路から徐々に外れていった。その後の2段目と3段目の分離、3段目モーターへの点火、フェアリングの分離などは行われたものの、やがて標準的な手順に従い、飛行を中断する信号が送られ、打ち上げは失敗に終わった。搭載していた、エアバス・ディフェンス&スペースの地球観測衛星「プレアデス・ネオ5」と「同6」は、ロケットとともに大西洋上で大気圏に再突入し失われた。なお、人や地上への損害はなかったという。【マイナビニュース】

【Yahooニュース提供:打ち上げに失敗した欧州の「ヴェガC」ロケット】

3.ZeroAviaは英国CAAより燃料電池駆動のDo228の飛行許可を取得したが、初飛行は2023 年にずれ込んだ

ZeroAvia社は、英国の民間航空局 ( CAA ) から Dornier 228 を飛行させる許可を与えられたことを発表した。同社は現在、保有する2つのDo228 を所有している。1つはイギリスのケンブルに拠点を置き、もう1つはカリフォルニア州ホリスターにありる。全体として、英国政府は、水素燃料電池パワートレインの開発を目指す HyFlyer II プログラムを支援している。特に、ZeroAvia社は、2024年に英国とオランダの間で自社の機器を使用した最初の商用水素電気飛行を目標にしていて、すでに大きなブレークスルーがあった。たとえば、改造された Piper Mクラスは、2020年9月に世界初の水素電気旅客飛行を完了している。ZeroAvia社は急速に拡大しており、わずか数年で 6人乗りのプロジェクトから 19人乗りに発展している。10月には、ZeroAvia社が水素燃料電池の開発者であるHyPoint社を買収したことを発表した。HyPoint社の燃料電池は主要な高温高分子電解質膜 (HTPEM) 燃料電池装置であり、英国で強力な存在感を維持しているため、この動きは、同国でのZeroAvia社の規模拡大の表れである。【Flightglobal News】

【Flightglobal提供:ZeroAvia社の水素燃料電池推進装置へ改造されたDo228型機】

4.Raytheonは、DeHavilland Canada社のDash 8で電動ハイブリッドエンジンのテストを完了

Raytheonは、De Havilland Canada Dash 8デモンストレーター機に搭載される新しいハイブリッド電気エンジンの最初のテストに成功したと発表した。Raytheonによると、通常のPratt & Whitneyのジェットエンジンと、コリンズ・エアロスペースが開発した1 MWの電気モーターを組み合わせたこのエンジンは、CO2排出量を30%削減することができる。このエンジンは、カナダのケベックにある Pratt & Whitneyの施設でテストされた。このエンジンをDash​​ 8-100型航空機に搭載し、2024年に最初の試験飛行を行う予定です。【Flightglobal News】

【Pratt&Whitney提供:電動ハイブリッドエンジンを搭載したDash8-100型機】

日本のニュース

1.空自、無人偵察機グローバルホーク初飛行

防衛省は12月21日、航空自衛隊の無人偵察機RQ-4B「グローバルホーク」の初飛行を実施した。遠隔地での情報収集をはじめ、警戒監視や偵察能力の強化につなげる。空自向けRQ-4Bの初号機は、今年3月12日に三沢基地へ到着。カリフォルニア州からのフェリーフライトは18.7時間かかった。空自は三沢基地に3機のRQ-4Bを配備する見込み。初飛行に先立つ15日に、三沢基地では偵察航空隊を新編。航空総隊司令官から偵察航空隊司令に隊旗が授与された。グローバルホークはISR(情報収集・警戒監視・偵察)用途の無人機で、ノースロップ・グラマンによるとオンデマンド・データをほぼリアルタイムに24時間配信し続けられる、唯一の高高度長時間滞空型無人機(UAV)で、脅威の監視のほか昼夜を問わず人道支援や災害対応にも活用できるとしている。大きさは全長約15m、全幅約40m、全高約5mで、機体重量は約14.6トン。約36時間飛行でき、最大巡航速度は約570km/h、最大高度は6万フィート、ペイロードは約1360kgとなる。【Aviation Wire News】

【Aviation Wire提供:三沢基地に到着した無人偵察機「グローバルホーク」】

2.ZIPAIR、経験不問でCA募集 23年度入社

日本航空傘下のZIPAIR(ジップエア、TZP/ZG)は12月20日、2023年度入社の客室乗務員の採用を始めたと発表した。入社は2023年4月以降の会社が指定する時期となる。客室業務のほか、地上旅客係員の業務やサービス企画なども業務内容に含まれる。募集職種は「Z_ONE」と社内で呼んでいる職種限定雇用で、採用予定人数は120人程度。訓練期間中は契約社員で、審査に合格後は正社員となる。入社後は乗務経験の有無や経験年数に応じて、客室業務か空港旅客サービス業務から始める。一定期間を過ぎてからは、全員が客室、空港旅客業務に従事しつつ、一部の人はサービス企画などにも携わる。応募資格は、 3月末時点で専門学校、高専、短大、4年制大学、大学院をすでに卒業・修了している人か、卒業・修了見込みの人。心身ともに健康であることや、スタンバイ勤務時に出社指示があった場合、成田空港へ90分以内に出社できること、日本語が母国語ではない場合は日本語能力試験(JLPT)のN1、またはビジネスレベルの日本語会話や読み書きが可能であることなどが条件となる。客室乗務員としての経験は不問で、TOEIC 600点以上の英語力が望ましいとしている。エントリーシートは12月26日以降、ZIPAIRのマイページから入力可能。ウェブ提出は1月10日午後1時まで。また、Web適性検査はパソコン環境のみで、スマートフォンやタブレットでは受けられない。エントリー後のスケジュールは順次案内するという。【Aviation Wire News】

3.JAL、医療AIでエンジン整備 クレスコと共同開発、精密検査と不具合予測

日本航空とクレスコは12月20日、AI(人工知能)で医療の質向上を目指す「医療AI」を活用した「航空機エンジン内部検査ツール」を開発すると発表した。クレスコが医療分野で培った画像認識技術などを整備作業に転用することで、より精密な検査と、不具合を予測し事前に処置する「予測整備」への活用を目指す。開発した検査ツールで、エンジン内部にあるタービンブレードを検査する。クレスコの画像認識技術や、コンピューターがデータからパターンやルールを見つける「機械学習」を組み込んだツールで、タービンブレードの詳細な検査記録をデータベース化し、従来の工業用内視鏡を用いたものよりも精密な検査が期待できる。また検査ツールを活用し、熟練整備士の知見や内視鏡操作技術を若手へ継承する。JALとクレスコの両社は東京・天王洲のJAL本社近くにある研究拠点「JALイノベーションラボ(JAL Innovation Lab)」で、2019年4月からツールを共同研究。試作品で検証し、機能と将来的な活用を評価できたことで今回の開発決定につながった。【Aviation Wire News】

【JAL提供:JALとクレストが開発する医療用AIを活用したエンジン内部内視鏡検査】

4.AstroXと千葉工大、方位角制御された気球からのロケット空中発射試験に成功

AstroXと千葉工業大学(千葉工大)は12月21日、山口県宇部市の宇部協立産業が所有する採石場敷地内において、方位角制御を用いた気球からのモデルロケット空中発射試験を12月10日に実施し、成功したことを共同で発表した。現在、宇宙産業が世界的に急成長しており、世界の市場規模は、現在の約40兆円から2040年には約120~160兆円になるという予測もあるほどだ。中でも、衛星を活用したサービスの拡大により、人工衛星への需要が大きく伸びている。日本国内だけでも複数の企業が小型SAR(合成開口レーダー)衛星を複数打ち上げて画像解析サービスなどを手がけており、各社とも今後さらに打ち上げ数を増加し、数十基によるコンステレーションが計画されるなど、小型衛星の打ち上げに対する需要は急増している。しかし現在、日本国内では人工衛星を宇宙に運ぶロケットが不足しており、国内の小型衛星の大半が海外のロケットで打ち上げを行っている。この打ち上げ能力不足が日本の宇宙産業の大きな課題だという。このような課題を解決して日本の宇宙産業を一大産業に発展させられるよう、AstroXと千葉工大が研究開発を行っているのが、気球で成層圏までロケットを放球しそこからロケットの空中発射を行う「ロックーン方式」で衛星の軌道投入を行う高頻度・低価格での打ち上げサービスだ。今回実施された試験は、その第一歩となるモデルロケットの空中発射実験であり、方位角制御を用いた気球からのロケット空中発射は、世界初の試みだったとしている。具体的な試験目的には、放球中の非係留気球にて姿勢制御を行った上で空中発射できるかどうかの確認がある。今回は吊り下げ条件などを変更して3機の打ち上げが実施され、3機とも成功したとのことだ。両者は今後、今回の試験で得られた成果をもとに、サービスの大型化や高高度化を図るとしている。【マイナビニュース】

【マイナビニュース提供:気球を利用したロケット発射の想像図】