KIT航空宇宙ニュース2023WK19

ドイツの「iFデザインアワード2023」を受賞した日本のSkyDrive社が開発中のeVTOL機「SD-05」
KIT航空宇宙ニュース

KIT航空宇宙ニュース2023WK19

海外のニュース

1. ニュージーランド航空、3段ベッドを787エコノミー世界初導入 24年に北米路線

ニュージーランド航空は、世界初となる睡眠ポッド「スカイネスト」を2024年9月から導入する。ボーイング787-9型機のエコノミークラスに備える3段ベッドで、片道14時間から17時間を超えるオークランド-ニューヨーク線とシカゴ線の超長距離2路線に導入する。スカイネストは、プレミアムエコノミーとエコノミーの間に設置。6室用意する各ポッドには個人用USBコンセントや換気口を備えるほか、乱気流時にシートベルトサインが点灯した場合でもシートベルトを締めてポッドに留まれるようにする。予約方法や価格などの詳細は未定。現段階では4時間で約400-600ドル程度を見込む。北米路線への投入について、同社は「北米は長距離路線で、快適な睡眠を重視するプレミアム層が多い。スカイネストには最適な市場」と説明している。ニュージーランド航空はこれまでに、エコノミークラスの横一列が平らなソファになるシート「スカイカウチ」を開発するなど、多様なシートを提供している。【Aviation wire news】

【Aviation Wire提供:ニュージーランド航空が発表した3段ベット「Skynest」】

日本のニュース

1. 航空大学校、24年度学生募集 6/12まで

国内唯一の公的パイロット訓練機関である国の航空大学校は5月12日、2024年度(令和6年度)の学生募集要項を公表した。出願期限は6月12日で、試験は7月30日から始まる。定員は飛行機操縦科108人で、入学時期は2025年2月を予定。入学時期以降、おおむね3カ月ごと4回に分かれて授業を始める見込み。出願資格は、1999年4月2日から2004年4月1日までに生まれで身長158センチ以上であることに加え、4年制大学に2年以上在学し62単位以上取得、短大または高専を卒業、専修学校の専門課程を修了して専門士または高度専門士を取得、のいずれかに該当すること。また、2024年3月末までにこれらの学校を卒業・修了見込みである人と、これらの学校の卒業生と同等以上の学力を有すると航空大学校の理事長が認めた人も対象になる。過去に航大を受験し、第二次試験身体検査B(脳波検査)で不合格になった人は出願ができない。出願方法は、入学検定料を納入後、所定の封筒で出願書類を5月22日から6月12日までに郵送または持参。郵送の場合は6月12日の消印まで有効となる。試験科目は、第一次試験が英語(筆記、リスニング)、総合(筆記)、第二次試験が身体検査A(心理適性検査を含む)、身体検査B(脳波検査)、第三次試験が面接試験及び飛行訓練装置による操縦適性検査。試験会場は第一次が東京都、大阪市、札幌市、岩沼市、福岡市、宮崎市、第二次は航大のウェブサイトに掲載、第三次は宮崎市となる。試験日程は、第一次が7月30日、第二次は身体検査Aが9月16日から24日までの間で学校が指定する日、身体検査Bは12月9日から11日までの指定日、第三次は2024年1月23日から2月6日までの指定日。合格者発表は、第一次が8月18日、第二次が12月28日、最終が2月16日で、発表時刻はいずれも午前10時。合格者の受験番号を航大のウェブサイトに掲載するとともに、合格者には合格通知書を本人あてに送付する。入学料は28万2000円、授業料は宮崎学科課程が66万8000円、帯広フライト課程が80万2000円、宮崎フライト課程が80万2000円、仙台フライト課程が93万6000円、寄宿料が月額1500円で、光熱水料、食費などは実費となる。このほかにも、国家試験受験費用や転居費用などがかかる。【Aviation wire news】

【Yahooニュース提供】

2.  スターフライヤー、CA採用 地上係員・総合職も、24年4月入社

スターフライヤーは5月10日、2024年4月入社の総合職(事務・技術・地上係員)と客室乗務員職(CA)の新規採用を決定したと発表した。詳細は同社の採用サイトで、5月中旬に公表する。総合職の事務・技術は5人程度、地上係員は10人程度、客室乗務員は15人程度を採用する。入社時期は総合職がいずれも4月1日、客室乗務員は4月以降で会社の指定する時期を予定している。【Aviation wire news】

3. SkyDrive、空飛ぶクルマSD-05がiFデザインアワード受賞 大阪万博で運航目指す

日本で「空飛ぶクルマ」と呼ばれるeVTOL(電動垂直離着陸機)や、物流ドローンを開発するSkyDrive(スカイドライブ)は5月12日、同社初の商用eVTOL「SD-05」が、世界三大デザイン賞の一つであるドイツの「iFデザインアワード2023」を受賞したと発表した。SkyDriveは2025年に開催される大阪・関西万博の運航事業者の1社に選ばれており、会場での運航実現を目指している。SD-05は、パイロット1人と乗客1人の計2人乗りの小型機で、最大巡航速度は約100キロ、実運用航続距離は5-10キロとなる見込みで、駆動方式は12基のモーター・プロペラ。2025年に開かれる大阪万博での運航を計画しており、都市部の渋滞解消や過疎地での交通手段の確保、救急医療など、さまざまな個人のニーズに応えることを目指している。SkyDriveの福澤知浩CEOは「世界で最も軽量コンパクトなサイズ」と説明している。同社によると、今回の受賞では、コンセプトの「The most accessible Flying Car」と、競合と一線を画す個性的でエレガントなデザインが評価されたという。iFデザインアワードは、工業デザインの振興を目的に1953年に設立された国際的なデザイン賞のひとつ。世界のトップクラスのデザイナーや企業のデザイン責任者など専門家133人が審査にあたった。【Aviation wire news】

【Yahooニュース提供:iFデザインアワードヲ受賞したSkyDrive社の「SD-05」】

4. JAL、“空飛ぶクルマ”米Wiskと提携 国内実装目指す

日本航空は5月10日、パイロット(操縦者)が乗らなくても飛行できる装置を持つ「無操縦者航空機」について、「空飛ぶクルマ」と呼ばれるeVTOL(電動垂直離着陸機)を開発する米ウィスクエアロ(Wisk Aero)と、整備管理など制度確立を検討する基本合意書を締結したと発表した。両社で連携し、無操縦者航空機の日本国内での社会実装を目指す。今回の基本合意では日本国内での実証飛行の準備のほか、運航への制度体制の検討を進める。また、国土交通省航空局(JCAB)からの認証取得でも連携・協力する。制度設計や整備は、JALが100%出資する整備会社JALエンジニアリング(JALEC)が進める。Wiskは、ボーイングとeVTOLを手掛ける米キティホークがカリフォルニア州に設立した合弁会社。2017年に米国で初めて旅客用に設計された自律飛行型のeVTOLの飛行に成功した。【Aviation wire news】

【Yahooニュース提供:Wisk Aero社が開発中のeVTOL機】

5. JTA、業務企画職・整備士採用 23年度入社

日本トランスオーシャン航空(JTA/NU)は5月8日、業務企画職(事務系、技術系)と整備職のキャリア採用を始めると発表した。2023年度入社で、応募締切は6月4日午後5時。5月下旬にオンラインでの会社説明会を予定する。業務企画職の応募資格は、今年3月までに4年制大学、大学院、高等専門学校専攻科を卒業・修了している人で、3年以上の就業経験がある人。若干名を募集する。入社時期は9月1日以降の会社が指定する時期で、一次選考(書類・録画)、二次選考(面接・適性検査)、三次・四次選考(いずれも面接)で選考する。整備士の応募資格は、今年3月までに高校以上を卒業・修了している人で、一等航空整備士資格保有者。若干名を募集する。入社時期は9月1日以降の会社が指定する時期で、一次選考(書類)、二次選考(面接・適性検査)、三次選考(面接)、四次選考(面接)で選考する。【Aviation wire news】

6. 千葉工大、新型観測ハイブリッドロケット試作機の洋上打ち上げを実施

千葉工業大学(千葉工大)は、2023年3月8日に、全長6m・直径330mm・乾燥重量120kg・ペイロード重量10kg・到達高度約20km(最終目標高度100km)という、同大学製の新型観測ロケット「C1」試作機の洋上発射実験に成功したことを発表した。同成果は、千葉工大 惑星探査研究センターの和田豊非常勤主席研究員(同・大学 工学部 機械電子創成工学科 教授兼任)らの研究チームによるもの。C1ロケットの設計と製造は、同大学の機械電子創成工学専攻に所属する学生らが担当。また燃料には千葉工大、型善、宇宙航空研究開発機構(JAXA)によって共同開発されたハイブリッドロケット用燃料である低融点熱可塑性樹脂が用いられ、酸化剤には亜酸化窒素が採用されている。その結果、最大推力8kN、平均推力6kN、燃焼時間37秒という性能を有する。ちなみに亜酸化窒素を用いたハイブリッドロケットとしては、国内最大の大きさだとしている。【マイナビニュース】

【千葉大学提供:C1ロケットの3D図】