KIT航空宇宙ニュース2023WK20

千葉大が宇宙環境での園芸植物栽培研究に向けた「宇宙園芸センター 」を開所
KIT航空宇宙ニュース

KIT航空宇宙ニュース2023WK20

海外のニュース

1. 米宇宙ベンチャー「Vast」、世界初の商業宇宙ステーション打ち上げを計画

米国のスタートアップ企業「Vast Space(ヴァースト・スペース)」は2023年5月10日、世界初となる商業宇宙ステーション「Haven-1(ヘイブン1)」を、2025年8月以降に打ち上げる計画を発表した。打ち上げにはスペースXの「ファルコン9」ロケットを使うほか、人や物資の輸送にも同社のロケットや宇宙船を使う。将来的には、回転して人工重力を発生させる大型の宇宙ステーションも打ち上げるという。Vast Spaceはカリフォルニア州に拠点を置く宇宙企業で、2021年に創設された。創設者は、ビットコインやその送金サービスで有名となったジェド・マケーレブ(Jed McCaleb)氏で、同社のCEOも務める。同社は、「人類を太陽系全体に拡大すること」を目指し、回転して人工重力を発生させることができる有人宇宙ステーションを開発して、人々が無重力の悪影響を受けることなく宇宙で長期間生活したり、仕事をしたりできるようにするという目標を掲げている。そして、その第一歩として、同社は「Haven-1」という小型の宇宙ステーションを開発している。Haven-1は全長10.1m、直径3.8mで、質量は14t。4人が、最大30日間滞在し続けることができる。太陽電池による1000Wの電力生成や24時間の連続通信、生命維持システムなど、単独で運用するために必要な機能をすべて備えている。【マイナビニュース】

【Vast社提供;2025年以降に打ち上げられる予定の商業宇宙ステーション「Haven-1」の想像図】

2.米国政府がエアタクシーを「国家戦略」として位置づけて意見を収集

米国政府は、地域および都市内での小型電動航空機の広範な運航を含む可能性のある将来に備えるため、情報収集の取り組みを開始した。運輸省(DOT)は5月16日、「高度な航空モビリティ(AAM)に関する国家戦略」策定について一般の意見を求める文書を発表した。5月11日付けの DOT の通知によれば、「AAMの急速な出現は、すでにすべての連邦省庁の既存の規制と慣行に挑戦している」と述べ、「DOT と [連邦航空局] は、AAM 運用を安全に可能にする運用の規制概念を開発し、一般に伝達することに取り組んでいる」とのべている。AAM は、地方路線を運行することを目的とした小型の全電動航空機と、都市型エア タクシーとして想定されている垂直離着陸 (eVTOL) 設計であるエア タクシーで構成される概念的な未来の輸送システムです。DOT の取り組みは、2024年までに AAM戦略を策定することを義務付ける2022年の議会の命令に基づくもの。DOTは60日間にわたり、特に「安全上の課題」とそのような航空機の一般の受け入れに関連するコメントを収集している。初期の業界を「可能にする」ために一般の人々と最適なコミュニケーションを図る方法を特定しようとしている。【Flightglobal News】

【Archure Aviation提供:開発中のArchure AviationのeVTOL機「Midnight」】

3.ロールス・ロイス、最新UltraFan実証機の初試験成功

ロールス・ロイスは現地時間5月18日、次世代の低燃費・低騒音エンジン「UltraFan」の技術実証機の初試験に成功したと発表した。燃料は代替航空燃料「SAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料、サフ)」を100%使用した。ロールス・ロイスが新型エンジン・アーキテクチャの実証実験を実施するのは54年ぶり。現行のエアバスA350型機向けエンジンTrent XWB(トレントXWB)と比べて効率が10%向上するという。今回の試験は、同社の最先端のエンジン試験施設「テストベッド80」で実施した。実証機の試験で、短期的にはUltraFanの開発プログラムから現行のTrentエンジンに技術をフィードバックし、信頼性や効率性の向上を図る。長期的には、推力2万5000-11万ポンドのエンジンに展開できるUltraFanの技術が、2030年代に登場する新しいナローボディ機やワイドボディ機のエンジンとして採用されることを目指す。【Aviation wire news】

【Aviation Wire提供:試運転施設に取付けられた「UltraFan」エンジン】

4.スイスAero Volga 社の後継車は19人乗りの全電動水陸両用機を目指す

ジョージ・アラフィノフ氏の父親は、ソ連崩壊後のロシアで数少ない成功した航空新興企業の1つを設立し、8 人乗りの水陸両用機エアロ ヴォルガ LA-8 を生産した。現在、ジョージ・アラフィノフ氏は、2026年までに水上飛行機を飛行させることを目標に、スイスで19席の電動後継機を開発している。アラフィノフ氏は、浮き船体と各高翼に5つの電気モーター駆動のプロペラを備えた全複合材料のJekta PHA-ZE (旅客水陸両用航空機 – ゼロエミッション) 100 が、スイス湖畔沿岸地域と地域の接続ニーズに対して持続可能なソリューションを提供すると述べている。彼は、スイス南西部のパイェルヌ空港にあるエアロポール2航空宇宙クラスターに会社を設立し、そこに27,000平方メートル (290,000平方フィート) の施設を建設している。法律やその他のサポート・サービスを提供するだけでなく、この町は2つの湖の間にあり、飛行艇のテストに最適。アラフィノフ氏は、非与圧の航続距離130海里(240km)航空機を2029年第1四半期に納入開始することを目標としている。【Flightglobal News】

【Flightglobal提供:電動水陸両用機「Jekta PHA-ZE」の想像図】

日本のニュース

1.ボーイング、東京と名古屋でインターン募集

ボーイング ジャパンは、東京と名古屋のオフィスでインターンを募集している。いずれも応募は5月19日まで。名古屋のサプライチェーンアジアグローバルフィールドオペレーションでは、ボーイングのサプライチェーンを支える実務を経験できるという。名古屋のボーイング ジャパン リサーチ&テクノロジーセンターでは、持続可能なエネルギーに重点を置く研究開発プロジェクトに携わり、技術開発の実務を経験できるという。東京オフィスでは、民間機や防衛分野などのエンジニアを支援する機会があるとしており、詳細は選考時に伝えるという。募集の詳細は、ボーイング ジャパンのTwitterなどで紹介している。【Aviation wire news】

2.RAC、CAと地上職締切延長 5/25まで

琉球エアーコミューター(RAC)は5月15日、客室乗務員職と地上職(業務企画系・整備系)の採用について、締切を25日に延長したと発表した。当初は15日が締切だった。客室乗務職は2023年度または2024年度入社、地上職は2024年度入社となる。3職種とも新卒・既卒のほか社会人経験者も対象で、採用予定数はいずれも若干名。【Aviation wire news】

3.千葉大が宇宙環境での園芸植物栽培研究に向けた「宇宙園芸センター 」を開所

千葉大学松戸キャンパスにて5月17日、「宇宙園芸研究センター」の開所式および、開所記念シンポジウムが開催された。同センターでは、人類が宇宙環境で活動していく上で必要不可欠な食料生産の栽培技術の研究が進められる予定だという。ispaceの「HAKUTO-Rミッション1ランダー」が日本で初めて月面着陸の目前まで迫るなど、近年宇宙に対する注目が国内でも高まりつつある。その中で、アメリカを中心として進んでいる「アルテミス計画」では、人類を月に送るだけでなく、月面拠点を建設し長期的に生活することを想定。2030年代には100~1000名程度が月面に居住することが計画されており、その際の食料供給をどう確保するかについても研究が進められている。日本もアルテミス計画には参加しており、日本人宇宙飛行士も月面に降り立つことが期待されている。そうした背景もあり、そこで、国立大学として唯一、園芸学部を開設している千葉大学は、宇宙環境にて食料を継続的に生産できる技術についての研究を進めていくことを目的に宇宙園芸研究センターの開所を決定したとするとした。【マイナビニュース】

【農業協同組合新聞提供】

4.日米・シンガポール・タイ4カ国当局、787-10で次世代航空交通システムの試験飛行

国土交通省航空局(JCAB)は、米国とシンガポール、タイの航空当局と共同で、世界初となる旅客機を使った次世代航空交通システムの試験飛行を6月に実施する。ボーイング787-10型機の飛行試験機「エコデモンストレーター・エクスプローラー」を使い、日本では成田空港に飛来する。今回の試験飛行では、航空機の相互間隔を保ちながら、最適な経路と通過時刻を常に調整する次世代航空交通システム「TBO(Trajectory Based Operation:軌道ベース運用)」を、エコデモンストレーターを使って実施。JCABによると、TBOはより安全で快適なフライトを実現し、積乱雲や火山噴火など急な気象変化に対してスムーズに対応でき、消費燃料を削減することでカーボンニュートラルに貢献するという。4カ国の共同プロジェクトは「MR TBO(Multi Regional Trajectory Based Operation)」と名づけ、今年で2年目。JCABは2009年4月から「将来の航空交通システムに関する研究会」を開いて「将来の航空交通システムに関する長期ビジョン(CARATS)」を策定し、TBOの実現を目指している。同会は産学官連携の取り組みで、JCABのほか国内の航空会社が加盟する業界団体「定期航空協会(定航協)」や研究機関、学識経験者などが参加している。【Aviation wire news】

【Aviation Wire提供:Boeing社の787-10「エコ・デモンストレーター」機】