KIT航空宇宙ニュース2025WK39
海外のニュース
1. プロジェクトは沿岸航行にシーグライダーを使用することを望んでいる
スコットランドの一部地域では、ボートや飛行機のように水上を横断できる乗り物が交通手段として検討されている。シーグライダー技術を開発している米国企業リージェント社とハイランド・アンド・アイランズ・トランスポート・パートナーシップ(ハイトランス)は、このプロジェクトにおける協力の初期段階にある。ロードアイランド州に本拠を置くリージェント社の全電動ヴァイスロイ・シーグライダーは、船体で水上を移動したり、水中翼で水面を滑走したり、さらには低空飛行したりできるように設計されている。同社によれば、この機体は乗客12人と乗員2人を乗せることができ、最高速度は時速180マイル(約290キロ)に達するという。実現可能性調査が計画されており、将来的には試験が行われる可能性もある。【BBCニュース】

【Regent提供:リージェントはプロジェクトのプロトタイプのテストを行っている】
2. NASAの超音速デモンストレータ機X-59、安全速度で初飛行へ
2025年8月18日、カリフォルニア州パームデールの米空軍プラント42で、NASAの静粛音速研究機X-59が夜明けに燃料のヒドラジンの安全性点検を行う中、消防車と安全担当者らが近くにいる様子が映し出されている。この作業は、X-59が初飛行の準備を進める中、飛行中にエンジンを再始動できるようにする重要な安全装置として機能するシステムの安全手順に組み込まれた広範な予防措置を強調している。NASA のユニークな X-59 静粛超音速研究機が初飛行に近づくにつれ、同機のチームは地上走行と離陸から巡航と着陸までのすべてのステップをマッピングしており、その意思決定は安全性に基づいて行われている。初飛行は、システム統合を確認するため、約240mphの低高度ループ飛行を行い、機体の耐空性と安全性の検証に重点を置いた飛行試験段階に入る。その後の試験飛行では、X-59はより高く、より速く飛行し、最終的には音速を超える予定。この機体は、大きなソニックブームではなく、静かな衝撃音を発しながら超音速飛行するように設計されている。X-59では、操縦桿やスロットルの動きといったパイロットの入力は電子信号に変換され、コンピューターによって解読される。そして、これらの信号は光ファイバーケーブルを介して、翼や尾翼などの操舵アクチュエータに送信される。さらに、航空機は複数のコンピューターを搭載しており、それらが相互にバックアップすることでシステムの稼働を維持しています。1台が故障しても、別のコンピューターが引き継ぐ。電気系統と油圧系統も同様で、それぞれ独立したバックアップシステムを備えており、航空機の安全な飛行を確保している。X-59の油圧システムと電気システムは、搭載バッテリーによってバックアップされており、熱電池が油圧駆動用の電動ポンプを駆動しています。エンジンのバックアップは、反応性の高い液体燃料であるヒドラジンを使用する緊急再始動システムです。万が一、電力が失われた場合でも、ヒドラジンシステムは飛行中にエンジンを再始動する。このシステムは電力の回復を助け、パイロットが機体を安定させたり、機体を回復させたりできるようにする。【NASA】

【ロッキード・マーチン社提供:緊急エンジン始動用液体燃料ヒドラジンシステムを点検中のX59型機】
日本のニュース
1. YS-11、MSフライトシミュレーターに登場 旅客型とVIPチャーター型
マイクロソフトは現地時間9月25日、日本航空機製造(日航製、1982年9月解散)が製造した戦後初の国産旅客機YS-11型機のフライトシミュレーター用機体データを「Local Legend 22」として発売した。Microsoft Flight Simulator 2020と2024に対応し、2種類の仕様を用意した。YS-11を再現したMSFSの機体データは、旅客型とVIPチャーター型の2種類。塗装は6種類から選べ、プレーンホワイト、ホワイト×グレー×ブルー、赤×黄×青のストライプ、マリタイムグレー、赤×白×青のストライプ、赤×青×黒のストライプを収録している。価格は通常版が19.99米ドルで、7日間レンタルが9.99ドル、3日間レンタルが6.99ドル、1日無料トライアルもできる。【Aviation wire news】
2. 入間航空祭、ブルーインパルスが展示飛行 11/3 11時から
航空自衛隊入間基地は9月26日、今年度の入間航空祭のスケジュールを公開した。アクロバット飛行チーム「ブルーインパルス」が展示飛行を披露する。入間航空祭は11月3日に開催。午前8時に開門し、午前9時から午後1時までで、ブルーインパルスは午前11時から飛行する。ウォークダウンが午前10時30分に始まり、午前11時に離陸。同40分に着陸して、正午にウォークバックが終了する。また、基地所属機の展示飛行は午前9時30分から午前10時40分まで。【Aviation wire news】

【Yahooニュース提供:去年の入間航空祭でのブルーインパルス展示飛行】
3. 日本航空協会、ANAHD伊東前会長やホンダジェット藤野氏ら「空の日」表彰
航空宇宙分野に貢献した人や団体を表彰する日本航空協会賞の表彰式が9月24日、東京・新橋の航空会館で開かれた。今年度はANAホールディングス前会長の伊東信一郎氏らが選出され、日本航空で社長、会長を歴任した日本航空協会の植木義晴会長から賞が贈られた。今年度の日本航空協会賞表彰は、「航空亀齢賞」が4人、「航空功績賞」が3人、「空の夢賞」が1グループと1人、「航空スポーツ賞」が1人。航空亀齢賞は伊藤源嗣・元石川島播磨重工業(現IHI)会長、西岡喬・元三菱重工業会長、ノンフィクション作家の柳田邦男氏が選ばれ、航空功績賞は伊東氏のほか、鈴木真二・東京大学名誉教授、藤野道格・元ホンダエアクラフトカンパニー(HACI)社長兼CEO(最高経営責任者)に贈られた。日本航空協会は、大正時代の1913年に設立された帝国飛行協会が前身で、表彰制度は1980年に設けた。今年は24日に開かれた日本航空協会賞の表彰式は、民間航空再開40周年の1992年に定められた9月20日の「空の日」にあわせて開かれており、航空亀齢賞は長年にわたり航空宇宙の発展に尽力し、数え年90歳になった人の長寿を祝う賞で、航空功績賞は航空宇宙に関する文化、科学技術、事業等の発展に著しく寄与した人やグループに贈られる。【Aviation wire news】

【Aviation Wire提供:日本航空協会賞の表彰式で同協会の植木義晴会長(左)から航空功績賞を贈られた伊東信一郎ANAホールディングス前会長】
4. JAL、晴天乱気流をAI予測 ウェザーニューズ・東北大らとプロジェクト
日本航空とウェザーニューズ、東北大学、DoerResearch(名古屋市)の4者は9月24日、発生の予測が難しい「晴天乱気流」を予測する「リアルタイム乱気流予測プロジェクト」が、国土交通省の競争的資金制度「交通運輸技術開発推進制度」に採択されたと発表した。晴天乱気流による揺れをリアルタイムで予測し、運航の安全につなげる技術で、2027年以降の社会実装を目指す。晴天乱気流は、晴れた空の高いところで発生し、視覚的な兆候がほとんどない。また風向きや速さが急変する場所で発生するため、レーダーでは捉えられない。このため予測が難しく、機体や乗員、乗客に危険を及ぼす可能性がある。加えて、既存の予測システムは広範囲での更新頻度が低く、変化する空の状況への対応が不十分なのが現状だ。4者が2024年12月から始めた「リアルタイム乱気流予測プロジェクト」では、地球規模の気象データ(全球数値予報)や特定地域の詳細解析(高解像度気象解析)に加え、飛行中の航空機から取得するリアルタイムデータ(フライトデータ)を統合的に活用。AI(人工知能)による情報も統合し、実用レベルのリアルタイム乱気流予測システムを構築する。JALは運航者の視点から、プロジェクト全体をけん引。東北大学は科学的な気象データ解析を担う。DoerResearchが予測モデルを開発し、ウェザーニューズがサービスの提供体制を構築する。開発は予測の細密化・高精度化を進めたのちに、最新情報を提供する。2027年度には複数の路線や機種で運航トライアルを展開し、リアルタイム更新の模擬事例を拡充することで、社会実装を目指していく。近年の国内航空事故の約55%は、乱気流に起因している。また地球温暖化の影響により、過去40年間で晴天乱気流の発生頻度が55%増加している。このため乱気流への対策が課題で、安全確保と効率的な運航の両立が急務となっている。【Aviation wire news】
5. JAL、鹿児島の煙はオイルミスト 羽田行きJL644便が欠航
鹿児島空港で9月23日、日本航空の羽田行きJL644便(ボーイング767-300ER型機)が出発前にAPU(補助動力装置)を作動させたところ、煙とにおいが客室に流れ込み、乗客がターミナルへ避難するトラブルがあった。JALによると、煙は油が霧状になった「オイルミスト」で、詳しい発生原因を調べているという。JL644便は定刻午前10時55分発で、乗客236人(幼児7人含む)と乗員9人(パイロット2人、客室乗務員7人)が乗っていた。この影響でJL644便は欠航となり、乗客は後続便で羽田へ向かった。【Aviation wire news】