KIT航空宇宙ニュース2021WK02
海外のニュース
1. インドネシア国内スウィジャヤ航空の737-500型機が墜落
インドネシアの国家運輸安全委員会(NTSC)は現地時間1月10日、ジャカルタ北方のサウザンド諸島(セリブ諸島)で9日に消息を絶ったスリウィジャヤ航空のジャカルタ発ポンティアナック行きSJ182便(ボーイング737-500型機、登録記号PK-CLC)が墜落したと発表。NTSCによると、ジャカルタ周辺の進入管制を担うジャカルタ・アプローチの管制官は、SJ182便がジャカルタのスカルノ・ハッタ国際空港を離陸後、予定していた方位75度(東北東)ではなく、北西に向かっていたのを午後2時40分に確認したが、その後レーダーから数秒以内に機影が消えたという。乗員乗客は62名で、今のところ原因は不明。【Aviation Wire News】
【Aviation Week提供】
2.米国、宇宙探査に原子力を本格活用、原子炉発電と原子力ロケットを開発へ
米国のドナルド・トランプ大統領は2020年12月16日、宇宙における原子力の活用を促進することを定めた国家戦略「宇宙政策指令第6号(SPD-6:Space Policy Directive-6)」を発表。将来の有人月・火星探査での活用を見据えたもので、これまでも宇宙探査の分野で使われてきた放射性同位体を使った発電システムを高度化するとともに、新たに原子炉を使った発電や原子力ロケットも実用化するという。
宇宙で原子力を使う利点としては、太陽エネルギーが不十分な環境下でも安定した発電ができ、また太陽電池など他のエネルギー源と比較して、より多くの電力を、より少ない質量と体積で生産することができることがあげられている。また電力源としてだけではなく、原子力を推進力とする「原子力ロケット」という使い方もある。従来のような化学ロケットでは、火星より先へ飛行するには莫大な推進剤が必要になり、そのために宇宙船全体をなるべく軽くしなければならず、またたくさんの人員や物資も運ぶことができない。一方、ウランなどの核燃料はエネルギー密度が高く、またロケットとしての効率も高くできるため、設計や運用の自由度が高くでき、また実現性も高くなる。【NASA】
【NASA提供】
3.ボーイング社は25億ドルを支払い、米国政府の737 Maxの調査を解決し起訴を回避
ボーイングは、737 MAXの認証に関する司法省(DOJ)による犯罪捜査を解決するため、25億ドルを支払うことに同意した。米国政府は、346人が死亡した2回の737MAXの墜落事故を受けて調査を開始し司法省は、ボーイングを起訴したが、1月7日に開示された同省とボーイングの合意により、連邦航空局によるボーイング737MAX航空機の評価に関連する会社に対する調査は終了し、同省は起訴を延期することに同意したと発表。【Flightglobal News】
【ボーイング社提供】
4.航空貨物の輸送量が本年3月または4月までに2019年のレベルに回復
IATAによると、世界の航空貨物量は昨年11月に前年比で6%以上減少したが、3月または4月までに2019年のレベルに戻る見通し。貿易グループによる最新の航空貨物レポートはまた、全体的な貨物容量の減少もあって、航空貨物の収益は「例外的に上昇」していると述べている。米国と中国での世界的な輸出注文の回復、記録的な電子商取引の出荷、および前年比での小売売上高の増加がけん引している。【Flightglobal News】
【Flightglobal News 提供:米国の大手航空貨物航空会社アトラス航空の747F機】
日本のニュース
1.米国航空機リース会社が20機の発注をキャンセル
三菱航空機は1月8日、開発を「一旦立ち止まる」としているジェット旅客機「三菱スペースジェット(旧MRJ)」の受注について、米国の航空機リース会社エアロリース・アビエーションとの契約が2020年12月31日で終了したと発表。開発再開時には再契約を検討する方向で合意したという。開発を一旦立ち止まった後、スペースジェットの発注キャンセルが生じたのは初めて。今回の契約終了で、スペースジェットの総受注は287機から20機減の267機となり、このうち確定受注は163機から10機減の153機、残るオプションと購入権も124機から10機減の114機になった。【Yahoo News】
【時事通信提供】
2.琵琶湖を飛ぶ水上飛行機復活へ 京都も空から遊覧
滋賀県の琵琶湖に半世紀ぶりに水上飛行機が復活する可能性が高まってきた。地元の大津市と瀬戸内海で水上機による遊覧飛行などを行っている「せとうちSEAPLANES」(広島県尾道市)が2020年11月、琵琶湖を離着水場所とする小型の水上機の運用実験を実施。モニター客らを乗せて琵琶湖上空で遊覧飛行を行い、実験は成功裏に終わった。定期運航という完全復活に向けては課題も残るが、琵琶湖ならではの利点もあるとして事業者は意欲的。
琵琶湖では1961年から72年までの間、琵琶湖南部に位置する大津市の浜大津を起点として水上機による遊覧飛行サービスが行われていたが、利用客の減少などで廃止されていた。【産経新聞】
【産経新聞提供:琵琶湖で離着水する「せとうちSeaplane」のKodiac機】