民間人4人が乗ったスペースX宇宙船「クルードラゴン」が打上げに成功
KIT航空宇宙ニュース

KIT航空宇宙ニュース2021WK38
海外のニュース
1.ロールス・ロイス、全電動航空機の初飛行成功
ロールス・ロイスは、全電動航空機「スピリット・オブ・イノベーション」(登録記号G-NXTE)の初飛行に成功した。500馬力以上(400KW)の電動パワートレインと航空機用では最も高密度のバッテリーパックを積んで離陸し、約15分飛行した。今回の初飛行から、飛行試験を通じて航空機の電力や推進システムに関するデータの収集を進めていく。今回のフライトは、電気モーターと制御装置を製造するYASA、航空新興企業のElectroflightが主要パートナーとして参加する「ACCEL(Accelerating the Electrification of Flight:飛行の電動化を加速する)」と呼ばれるチームと、ロールス・ロイスが実施。ロールス・ロイスは、2030年までに自社の新たな製品がネットゼロカーボン対応となり、2050年までには全製品がネットゼロカーボンになることを宣言している。【Aviation Wire News】

【Yahooニュース提供:飛行中の全電動航空機「スピリット・オブ・イノベーション」】

2. NASAの火星探査車、火星の岩石サンプルの採取に成功! 
米国航空宇宙局(NASA)は2021年9月6日、火星探査車「パーサヴィアランス」が、火星の岩石のサンプルの採取に成功したと発表した。火星の岩石サンプルを採取したのは史上初で、歴史的な快挙となった。このサンプルは、今後NASAと欧州宇宙機関(ESA)が共同で打ち上げる探査機によって回収。2031年に地球に持ち帰り、惑星科学者の手に渡る予定となっている。パーサヴィアランス(Perseverance)はNASAジェット推進研究所(JPL)が開発した火星探査車で、NASAにとって通算5台目の火星探査車となる。パーサヴィアランスとは「忍耐力」や「不屈の精神」といった意味をもつ。2020年7月30日に打ち上げられ、約7か月かけて徐々に火星へ接近。そして今年2月19日、火星の「イェゼロ・クレータ(Jezero crater)」への着陸に成功した。着陸地点は、米国のSF作家にちなみ「オクティヴィア・E・バトラー着陸点」と名付けられた。パーサヴィアランスはその後、探査機の機器や観測機器などの試験、確認を行い、本格的な探査活動を開始。また、搭載していた小型の無人ヘリコプター「インジェニュイティ」を地表に降ろし、その飛行を見守るなどし、現在も順調に稼働している。パーサヴィアランスが目指すのは、過去の火星にいたかもしれない生命の痕跡や証拠を見つけ出すことにある。【マイナビニュース】

【マイナビニュース提供:採取した火星の岩石サンプル】

3. アマチュア宇宙飛行士4人乗せ、スペースXの宇宙船が打ち上げに成功
アメリカのケネディ宇宙センターから15日、4人のアマチュア宇宙飛行士が、米宇宙開発企業スペースX(エックス)の宇宙船「クルードラゴン」で宇宙に飛び立った。「インスピレーション4」と命名されたこのチームは、1人の富豪と3人の「一般市民」からなる。今後3日間にわたって地球の周回軌道に乗り、科学実験などを行う予定だ。宇宙ツーリズム市場は2000年代以降、10年にわたって空白期間があったものの、近年になって盛り返しを見せている。今年の夏には、英実業家のサー・リチャード・ブランソンや米オンライン通販大手アマゾンの創業者ジェフ・ベゾス氏が、相次いで自身の宇宙開発会社の宇宙船で宇宙空間へと飛んだ。インスピレーション4が使用するカプセル型の宇宙船「ドラゴン」は、船内のコンピューターシステムで制御され、地上のスペースXのチームが監視する。「ドラゴン」は、ISSよりもさらに150キロメートル高い高度575キロメートルを目指し「自由航行」を行う。これは、銀河を観測しているハッブル宇宙望遠鏡と同程度の高度だという。4人のクルーは、「ドラゴン」内で科学実験を行う予定。同宇宙船には大きなドーム型の窓が取り付けられているため、実験の合間には眼下に地球が見えるという。【BBCニュース】

【SpaceX提供:宇宙船「クルードラゴン」イメージ図上部にドーム型の窓がある】

4. ニュージーランド航空とエアバスが共同で水素燃料航空機研究に着手
ニュージーランド航空は、ニュージーランドでの水素燃料航空機の実現可能性を研究するため、エアバスとの覚書に署名した。ニュージーランド航空は、水素燃料航空機がネットワーク、運用、インフラストラクチャに与える影響を分析し、エアバスは、水素燃料航空機の性能要件と地上運用特性を提供する。1年前、エアバスは、ブレンデッドウィングオプションを含む3つの航空機コンセプトを発表している。アジア太平洋地域で初めて研究プロジェクトを支援するのは、ニュージーランド航空が長期的に脱炭素化に取り組んでいるからです。ニュージーランドには、グリーン水素の生成に使用できる再生可能エネルギーがあり、高度に連携された地域航空ネットワークへの取り組みを考えると、ゼロエミッション航空機の採用で世界をリードする機会となり得る。【Flightglobal News】

【エアバス社提供:ブレンデッドウィングボディ設計の水素燃料航空機】

日本のニュース
1. 長崎空港拠点ORCが整備士募集 
 長崎空港を拠点に、五島列島などの離島路線を運航するオリエンタルエアブリッジ(ORC/OC)は、整備士の募集を始めた。雇用形態は正社員で、入社日は随時。採用予定数は若干名としており、定員に達した時点で受付を終了する。勤務地は長崎空港で、将来は異動になる可能性もあるとしている。応募資格は1等航空整備士資格保有者、航空機整備系大学・専門学校卒業者、航空機整備の現業経験者。選考は書類選考後、筆記試験と面接を実施する。応募方法は、写真貼付、メールアドレス記載の履歴書を同社に郵送する。【Aviation Wire News】

【Yahooニュース提供:ORCのDHC-Q200の機体」】

2. 兼松、日本で商用宇宙ステーション事業 米社と提携、27年打ち上げへ
兼松は、商用宇宙ステーションなどを開発する米Sierra Space(シエラ・スペース、本社・コロラド州)と業務提携の覚書(MoU)を締結した。2027年に打ち上げが予定される商用宇宙ステーションの利用拡大に向け、日本国内での事業開発を展開する。商用宇宙ステーションは将来の宇宙輸送や、地球周回軌道のうち高度2000キロまでの「低軌道」でのインフラとして活用が見込まれる。Sierra Spaceは、自社で開発する再利用型宇宙往還機「Dream Chaser」で、国際宇宙ステーション(ISS)への補給ミッションを2022年後半に開始。2027年には商用宇宙ステーション「Sierra Space Station」の打ち上げを計画している。Sierra Space Stationは、日本の新型宇宙ステーション補給機(HTV-X)を含め、各国の補給機への対応を予定している。兼松はSierra Spaceの代理店として、宇宙機器・サブシステムを日本企業へ提供している。業務提携により活動範囲を拡大することで、日本企業向けの地球低軌道利用や、商用宇宙ステーション利用事業の開発を加速させる。【Aviation Wire News】

【Aviation Wire提供:商用宇宙ステーション「Sierra Space Station」想像図】

3. SkyDrive、空飛ぶクルマ実現へ大阪府・大阪市と協定締結
空飛ぶクルマや物流ドローンを開発するSkyDrive(スカイドライブ)は9月14日、大阪府と大阪市と大阪での空飛ぶクルマの実現に向けて連携協定を結んだ。地域経済の活性化や、2025年に開かれる大阪・関西万博でのエアタクシーサービス実現を目指す。提携内容は、(1)空飛ぶクルマの社会実装及びビジネス化に向けた実証実験に関すること、(2)空飛ぶクルマの社会受容性の向上など環境整備に関すること、(3)大阪のスタートアップ・エコシステムの活性化に関することの3点。空飛ぶクルマの社会実装に向けた課題抽出やビジネス化を視野に入れた府内での実証実験実施をはじめ、事業環境の整備、府内の中小企業やスタートアップとの連携を進める。SkyDriveは、大阪万博開催時に大阪ベイエリアでエアタクシーサービスの実現を目指している。今後は大林組や関西電力、近鉄グループホールディングス、東京海上日動火災保険と共同で、「大阪ベイエリアにおける、空飛ぶクルマによるエアタクシー事業性調査」を今秋実施を計画している。【Aviation Wire News】

【電波新聞デジタル提供:左から大阪府吉村知事、SkyDrive福澤社長、大阪市松井市長】