KIT航空宇宙ニュース2022WK45

KIT航空宇宙ニュース

KIT航空宇宙ニュース2022WK45

海外のニュース

1.Archerとユナイテッド航空は2025年にニューヨークでエアタクシーサービスを開始する計画

アーチャー・アビエーション(Archer)とユナイテッド航空は、2025年からニューヨーク市の大都市圏で、空港からダウンタ​​ウンへの最初のアーバン・エア・モビリティ (UAM) ルートを開始する予定。シリコン バレーを拠点とする電動垂直離着陸 (eVTOL) 開発者のArcherは11月10日、同社の新しい4人乗りの生産航空機「Midnight」が運航するこのルートは、ニュージャージー州ニューアークのリバティ国際空港とダウンタウンを結ぶと語った。マンハッタン・ヘリポートは、マンハッタンの南端、市の金融センターに近い場所にある。飛行距離は約 7 海里 (12.6 km) で、「10 分もかからない」とArcherは述べている。【Floghtglobal News】

【Archer Aviation提供:Archerが開発中のeVTOL機「Midnight」】

日本のニュース

1.スカイマーク、737MAX最大12機導入 東証に12/14再上場

スカイマークは11月10日、ボーイング737 MAXを2025年から最大12機導入すると発表した。現在運航している737-800の後継機で、737-8(737 MAX 8)を6機リース導入し、737-8と開発中の737-10を対象に購入契約の締結に向けて基本合意した。スカイマークは、現在737-800(1クラス177席)を29機保有。2025年4-6月期から6機の737-8を順次リース導入していく。リース契約とは別に基本合意したのは、確定発注4機とオプション2機の最大6機で、737 MAXの標準型である737-8と、超長胴型の737-10の2機種を対象に検討を進め、正式契約の締結に向けてボーイングと協議していく。基本合意分の機体は、2026年度から順次導入する。メーカー標準の座席数は、737-8が1クラス189席。737 MAXファミリーの中で胴体長がもっとも長い「最大の737 MAX」となる737-10が同230席。全長は737-8が39.5m、737-10は4.3m長い43.8mで、航続距離は737-8が6570km、737-10が5740kmとなる。エンジンはいずれもCFMインターナショナルの新型エンジン「LEAP-1B」を採用している。スカイマークは又、11月10日、東京証券取引所グロース市場へ12月14日に上場すると発表した。2015年1月に経営破綻後、5年後の2020年までに再上場する計画だったが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で延期していた。【Aviation Wire News】

【Aviation Wire提供:Skymarkの737MAX-10(手前)と737MAX-8想像図】

2.ANA、廃棄シートカバーから手作りルームシューズ オンワードと共同開発

全日本空輸を中核とするANAグループは11月10日、航空機の座席のシートカバーから作った「ANA特製ルームシューズ」の抽選販売を始めた。従来は廃棄されていたものに新たな価値を与える「アップサイクル」のプロジェクト第1弾で、ANAに制服を納入しているオンワード商事と商品開発した。両社の協業はひとつずつ手作りで、初回販売は50足となる。ANAのシートカバーは、生地の色あせや品質表示タグの文字が読みにくいなど、規定に基づいて定期的に交換が行われており、1カ月あたり約1000枚が廃棄され、アップサイクルに回せるのは100-200枚程度。今回使用する生地は3種類で、ボーイング787型機と767の国内線普通席用、787の国際線エコノミークラスと737の国内線普通席用、ボンバルディアQ400(現デ・ハビランド・カナダDash 8-400)用となる。廃棄されたシートカバーは洗浄後、スリッパ生産量日本一だという山形県河北町の工場で手作りする。生地の中で利用できる部位を職人がひとつずつ確認し、手作業で縫い上げていく。かかとをたたんだ状態の「スリッパ」と、かかとを起こした「ルームシューズ」の2種類の履き方ができ、サイズはM(22-25cm)、L(25-27cm)、LL(27-28.5cm)の3サイズ展開になる。【Aviation Wire News】

【Yahooニュース提供:ANAとオンワードが共同開発したルームシューズ】

3.JAL、退役777国内で解体 取り下ろし部材に“ストーリー性”、ガチャなど新たな商品に

日本航空グループは、2020年度で全機退役したボーイング777型機の国内線仕様機について、機体をリサイクルすることにより廃棄物の削減を進めている。多くの廃材を再活用し、一部は別の製品にアップサイクル(作り替え)している。11月9日に羽田空港にある格納庫で部品の取り下ろしを報道関係者へ公開し、取り組みを説明した。取り下ろし作業は、グループの整備会社JALエンジニアリング(JALEC)が進める。今回解体の対象となったのは2021年3月に退役した777-200で、航空他社などで再利用できる部品はすでに取り下ろし済み。11月9日にエンジンを取り外し、羽田空港にある解体用の格納庫へ移動後に解体作業を進める。解体作業は三豊工業(富山市)が手掛ける。解体にはおよそ1カ月かかる見込みで、現状でのリサイクル率は96%以上となる見通し。アップサイクル品の販売は、2021年10月からスタート。ライフベストは、ポーチやサコッシュに作り替えるほか、シートカバーをカバンやペンケース、バゲージタグなどにアップサイクルする。また、廃棄数が多いボルトなどの小型廃材は、ガチャガチャと回すタイプのカプセル玩具自動販売機で販売。「整備のお仕事ガチャ」という名称で今年1月から8月までに4回販売し、合計で2000個あまりを用意したが完売となった。JALによると、今後も定期的な販売を考えているという。これまでは小型部品のアップサイクルが多かったが、今年4月からはシートやカーペットなど大型部材の再利用もスタート。東京ベイ東急ホテル(千葉・浦安市)の客室に、シートや窓が付いたサイドウォールパネル、機内食カートを設置し、コンセプトルーム「ウイングルーム」を提供している。【Aviation Wire News】

【Aviation Wire提供:ガチャに使用される取り卸された航空機小部品】

4.JALと伊藤忠、ネステ製SAF調達契約

日本航空は、代替航空燃料「SAF(持続可能な航空燃料)」の調達契約を伊藤忠商事と締結した。伊藤忠が代理店を務めるフィンランドのネステからSAFを調達する。ロサンゼルス国際空港でネステからSAFを調達する契約を締結し、11月中の定期便で使用予定。国内では18日に運航する羽田-那覇間のチャーター便「サステナブルチャーターフライト」に使用する。また、伊藤忠とは2023年度のSAF調達に向けた協議を行うための覚書を締結。ネステはシンガポールで年間100万トンのSAFを製造できる大規模製造施設を3月までに稼働させる計画で、生産量の大幅な増加が見込まれるという。ネステの年間生産量は現在10万トンだが、シンガポールとオランダの生産能力増強により2023年末までに約150万トン、2026年上期までに約220万トンに引き上げる見込み。JALは現在の中期経営計画で、SAFの利用目標を2025年度に全燃料搭載量の1%、2030年度に10%と定めており、今回の契約を通じて国内でも調達や利用を本格化させる。【Aviation Wire News】

5.ORC、機体デザイン刷新 新塗装のATR42初号機

オリエンタルエアブリッジが新たに導入する仏ATR製ターボプロップ(プロペラ)機のATR42-600型機に、新デザインを採用したことが11月7日にわかった。新塗装をまとったATR42の初号機が、ATR社の最終組立工場がある仏トゥールーズで撮影された。長崎空港を拠点とするORCは、今年7月にロンドン近郊で開かれたファンボロー航空ショーでATR42の発注に関する覚書をATRと締結。この時の契約は1機で、2023年度以降に就航する見込み。ORCは2機のATR42を順次受領し、現行のボンバルディア(現デ・ハビランド・カナダ)DHC-8-Q200型機を更新していく。ATR42の座席数は1クラス48席で、Q200の39席から9席増える。離島路線の定期便に投入する見通し。【Aviation Wire News】

【Aviation Wire提供:ORCの新たなデザインに塗装されたATR42-600型機】

6.H3ロケット最後の関門「CFT」が実施、結果は良好で打ち上げに大きく前進

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は11月7日、H3ロケット初号機の「実機型タンクステージ燃焼試験」(CFT)を実施した。翌8日に開催された記者説明会には、JAXA・岡田匡史氏、三菱重工業(MHI)・新津真行氏の両プロジェクトマネージャが出席。燃焼試験の結果について報告した。燃焼時間は計画通りの25秒で、データは良好に取得されたという。まだデータの全てが確認されたわけではないものの、2時間後に行われたクイックデータレビューでは、特に問題は見つかっていなかったそうだ。今後詳細な評価を進めていくが、データ量が多いため、全ての結果が出揃うまでには2週間ほどかかる見込み。CFTは、ロケット開発での“最後の関門”とも言うべき大きな試験。ロケット実機のタンクとLE-9エンジンを組み合わせて燃焼させるのはこれが初めてであり、何が起きるかは、やってみないと分からない。何か異常が見つかれば大きな手戻りが発生する恐れがあり、無事に燃焼が完了すれば、それだけ安堵の気持ちも大きかっただろう。またCFTでは、ロケットと地上設備の確認だけでなく、安全監理システムの試験も行われた。CFTは機体が実際に飛行するわけではないのだが、飛行時と同じように追尾局と通信を行い、エンジン燃焼中でも正常にデータが届くかを確認した。こちらについても、データは良好に取得されている。【マイナビニュース】

【マイナビニュース提供:H3ロケットの射場での「実機型タンクステージ燃焼試験」(CFT)】

7.442年ぶりの天体ショー、皆既月食と天王星食

2022年11月8日の18時ころから22時ころまで日本各地にて皆既月食を見ることができた。皆既月食は2021年も5月に起こっており、そこまで珍しいものではないが、今回は併せて月に天王星が隠れる「天王星食」を見ることができた。この皆既月食(皆既食)と惑星食が日本で前回見られたのは1580年で、実に442年ぶりだという。【マイナビニュース】

【国立天文台提供:国立天文台が撮影した皆既月食】