KIT航空宇宙ニュース2024WK15

千葉工大の学生が開発した超小型人工衛星「KASHIWA」が国際宇宙ステーション(ISS)「きぼう」日本実験棟から宇宙空間へ放出完了
KIT航空宇宙ニュース

KIT航空宇宙ニュース2024WK15

海外のニュース

1.エンブラエル、改修貨物機E190Fが初飛行 最大13.5トン積載

エンブラエルは現地時間4月5日、リージョナルジェットのエンブラエル190(E190)を旅客機から貨物機へ改修したE190Fの初号機が初飛行したと発表した。米国のリース会社、リージョナル・ワンが導入する。E190Fの初飛行は、エンブラエルの工場があるブラジルのサン・ホセ・ドス・カンポスで約2時間行われ、機体の評価が行われた。eコマース(電子商取引)が世界的に旺盛な中、小型貨物機の需要獲得を目指す。エンブラエルは、E170とE175、E190、E195で構成する「Eジェット」(E1)のうち、100席から120席未満のサイズとなるE190と、130席から150席未満のE195を、旅客機から貨物機へ改修する「Eフレイター(E-Freighter)」プログラムを2022年にスタートさせた。Eフレイターは、ナローボディ機よりも容積容量が50%以上、航続距離は大型貨物用ターボプロップ機の3倍、運航コストは最大30%低くなるという。床下とメインデッキ(改修前の客室部分)を合わせると、構造上の最大積載量はE190Fが13.5トン、E195Fは14.3トンになる。【Aviation wire news】

【Yahooニュース提供:初飛行に成功したエンブラエル社の貨物機へ改造したE190型機】

2.EHang、EH216自律型eVTOL機の製造証明を中国航空当局から取得

中国の規制当局は、EHangに自律型電動垂直離着陸(eVTOL)航空機EH216-Sの製造証明書を付与した。 この動きは、EHangが中国民間航空局(CAAC)から旅客グレードのEH216-S航空機の量産にゴーサインが出たことを意味する。また、同社が自動運転型EH216-Sの中国型式認証を取得してから1年も経たないうちに、自社航空機の製造証明を取得した世界初のeVTOL開発者となった。12 月にこのプログラムは耐空証明書を受け取り、最初の納入を開始できるようになった。 この製造証明書を取得することは、EHangがCAACの耐空性規制要件を満たす量産品質管理システムを確立しており、同社が継続的な量産を許可されたことを示している。EHang は主に中国本土の企業から EH216-S の注文を獲得しているが、インドネシアやマレーシアなどアジアの他の地域にも顧客を抱えている。【Fligtglobal news】

【EHang社提供:CAACから製造正目を取得したEH216型EVTOL機】

日本のニュース

1.FPG系オンリーユーエア、ホンダジェット就航へ プライベートジェット事業開始

FPGの100%子会社オンリーユーエア(旧FPGエアサービス)は4月11日、プライベートジェット事業を開始した。国土交通省航空局(JCAB)から必要な許可を受領し、サービス提供の準備が整ったためで、小型ジェット機「HondaJet(ホンダジェット)」を就航させる。プライベートジェット事業は、FPGグループの顧客基盤である個人富裕層が主なターゲット。2022年10月に発表されたホンダジェットの最新型「Elite II(エリートII)」などを就航させる予定で、2機を発注済み。1機目は2021年5月発表の性能向上型「Elite S」で12月に受領し、鹿児島空港を起点にパイロットの訓練を進めている。2機目はElite IIとなり、5月ごろの受領となる見通し。オンリーユーエアによると、利用者のスケジュールや利用シーンに合わせたプライベートジェットのチャーター事業を展開することで、社名の由来である「あなただけのきめ細かい空の移動」を提供していきたいという。また、プライベートジェット事業開始後も、離島への医療従事者搬送サービスは継続するとしている。プライベートジェット事業開始に向けて、実機訓練や関係当局による運航管理施設などの各種検査などを進め、11日に必要な許可を航空局からすべて受領したという。ホンダジェットをはじめとする小型ジェット機は、法人や個人の出張用途などはビジネスジェット、私的なフライトはプライベートジェットと呼ばれることが多く、オンリーユーエアはFPGグループの顧客基盤である個人富裕層が主なターゲットであることから、プライベートジェット事業と呼んでいる。ホンダジェットの場合、標準的な客室構成ではパイロット1人運航時の乗客数が最大6人で、パイロット2人時は同5人となっている。【Aviation wire news】

【Yahooニュース提供:オンリーユーエアのホンダジェット】

2.ヤマトとJAL、クロネコ貨物機A321P2F就航 長距離トラック補完

ヤマトホールディングスと日本航空、JALグループのLCC、スプリング・ジャパン(旧春秋航空日本)は4月11日、エアバスA321ceo P2F型貨物機を就航させた。初便の成田発那覇行きIJ451便(A321P2F)は、通常の宅配便のほかEコマース系の荷物などの貨物20トン弱を載せて午前5時56分に出発した。A321P2Fは、中古のA321ceo(従来型A321)旅客機を貨物専用機に改修したもので、10トン車約5-6台分に相当する1機当たり28トンの貨物を搭載でき、東京を起点にすると台湾や香港まで飛行できるという。ヤマトHDは3機リース導入する計画を進めている。4月1日に施行されたトラックドライバーの時間外労働の上限規制など、輸送力減少が懸念される中、首都圏から北海道や九州、沖縄への長距離トラックによる宅急便輸送の一部を補完し、全3機で1日21便を計画している。就航当初は、成田-札幌線を1日2往復4便(IJ403/406、IJ405/408)、成田-北九州線を1日3便、成田発那覇行きを1日1便、那覇発北九州行きを1日1便運航。夏ごろをめどに、羽田空港を深夜早朝に発着する札幌線と北九州線の運航を始める。ヤマトが貨物機を導入するのは初めてで、国内の航空会社がA321P2Fを運航するのも初となり、LCCが貨物機を運航するのも初の取り組みになる。各社の役割分担は、ヤマトHD傘下のヤマト運輸が配送拠点と空港間の陸上輸送や、空港の貨物上屋での積み付けを担当。JALが空港の貨物上屋内での貨物計量やランプハンドリング、機体の整備を担い、スプリング・ジャパンが運航とオペレーションコントロール、ロードコントロールを担当する。スプリングのパイロットはボーイング737-800型機を操縦しているが、一部の人はA320のライセンスも保持している。【Aviation wire news】

【Aviation wire提供:4月11日初就航したクロネコヤマトの貨物機A321P2F型機】

3.パイオニアエース航空、ホンダジェットのチャーター参入へ 航空局が変更認可

航空機リースなどを手掛けるジャパンインベストメントアドバイザー傘下のパイオニアエース航空(PAA)は4月10日、国土交通省航空局(JCAB)からビジネスジェット事業を始めるために必要な事業計画変更に関する認可を取得したと発表した。小型ジェット機「HondaJet(ホンダジェット)」によるチャーターフライトを計画している。認可は5日付で取得。全国どこへでもチャーター飛行できる「Flights on Demands」と呼ぶ方式で運航を計画しており、インバウンド(訪日)需要の取り込みによる地方への送客などを想定している。パイオニアエース航空の本社は羽田空港の整備場地区にあり、整備基地は宮崎空港に置いている。【Aviation wire news】

【Yahooニュース提供:パイオニアエース航空のホンダジェット】

4.JAL、7年連続で5つ星 英SKYTRAX調査

日本航空は4月9日、英国を本拠地とする航空業界調査・格付け会社SKYTRAX(スカイトラックス)社が実施する「ワールド・エアライン・アワード」のうち、航空会社の格付け「ワールド・エアライン・スター・レーティング」で、最高評価の5つ星(5スター)を獲得したと発表した。JALの5つ星獲得は、2018年から7年連続。JALによると、提供する商品やスタッフのサービスの質などが評価されたという。JALは空港の利便性を高めたサービス「スマートエアポート」を国内の基幹5空港に加え、今春以降は地方4空港にも展開。1月には新たな国際線フラッグシップとして、エアバスA350-1000型機を就航させた。5つ星評価を獲得しているのは世界10社で、日本勢はJALと全日本空輸の大手2社。残り8社はABC順で、アシアナ航空、キャセイパシフィック航空、エバー航空、ガルーダ・インドネシア航空、海南航空、大韓航空、カタール航空、シンガポール航空が獲得している。【Aviation wire news】

5.ICAO、SAF原料「規格外ココナッツ」追加 航空局が提案

国土交通省航空局(JCAB)によると、代替航空燃料「SAF(サフ、持続可能な航空燃料)」の新たな原料として、規格外ココナッツが国連の専門機関であるICAO(国際民間航空機関)に登録された。現在SAFの主要原料である廃食油の供給量が限られており、日本の事業者からの要望を踏まえて、航空局がICAOに提案したもの。航空局は、2022年7月からICAOと調整を開始。ICAOの燃料専門家会合への提案と審査などに対応しながら協議を重ね、今年3月の第231会期ICAO理事会で、規格外ココナッツがSAFの原料として追加登録された。ICAOは、国際航空分野の温暖化防止スキーム「CORSIA(Carbon Offsetting and Reduction Scheme for International Aviation)」を2019年に開始。SAFの原料をICAOが追加登録したのはCORSIAがスタートして以来、今回が初となった。【Aviation wire news】

【航空新聞社提供:JCABがSAFの原料として提案した「規格外ココナツ」】

6.千葉工大の学生が開発した衛星が宇宙空間へ! – ISSからの放出に成功

Space BDは4月11日、千葉工業大学(千葉工大)の学生が開発し、同社が打ち上げに関するサポートを提供した超小型人工衛星「KASHIWA」について、国際宇宙ステーション(ISS)「きぼう」日本実験棟から宇宙空間への放出が完了したことを発表した。1Uサイズの超小型人工衛星であるKASHIWAは、千葉工大の取り組みで、研究・開発者のアイディアを確実に実現できる製造・運用能力を有する技術者を育成する「高度技術者育成プログラム」の中で、学生たちによって開発された。なお同衛星はミッションとして、「宇宙産業分野での高度技術者の育成」「ステレオカメラによる測距技術実証」「カメラによる地球観測」「Automatic Position Reporting System(APRS)を使用した衛星経由でのデータ送受信技術の実証」「地磁気観測データの聴覚情報への変換実証」の5つが期待されている。KASHIWAは、3月22日にSpace XのFalcon9ロケット30号機でISSへと打ち上げられた。そして4月11日の午後7時35分(日本時間)、きぼうから宇宙空間への放出に成功。その模様は宇宙航空研究開発機構(JAXA)の公式YouTubeチャンネルでも配信された。なお今後は、ステレオカメラによる測距技術や地磁気観測データの変換などといったミッションの達成に向けた運用が行われる予定だ。【マイナビニュース】

【マイナビニュース提供:千葉工大の学生が設計製作した小型衛星「KASHIWA」】

7、JAXAを退職した若田光一氏、米Axiom Spaceの宇宙飛行士兼CTOに就任

米国の宇宙企業「Axiom Space(アクシオムスペース)」は4月8日、3月末に宇宙航空研究開発機構(JAXA)を退職した若田光一氏を、同社のアジア太平洋地域の宇宙飛行士 兼 最高技術責任者(CTO)に就任したことを発表した。Axiomは2016年に設立された商業宇宙ステーション計画を推進する宇宙ベンチャー。同社は元米国航空宇宙局(NASA)の宇宙飛行士を民間宇宙飛行士として雇用し、国際宇宙ステーション(ISS)への商業飛行を実施するといったビジネスを手掛けており、Axiomとしても若田氏に対し、民間宇宙飛行士の将来のコマンダー(船長)としてチームに加わることを光栄に思っているとコメントしており、実際に同社の宇宙飛行士として宇宙に赴けば日本人初の民間宇宙飛行士として宇宙に行くこととなる。【マイナビニュース】

【Yahooニュース提供米国宇宙ベンチャー企業Axiom Space社の宇宙飛行士兼CTOに就任した若田宇宙飛行士】

8.東大などが開発する機器、NASAアルテミス計画の月面観測装置として採択

東京大学(東大)、学習院大学、岡山理科大学、東北大学の4者は4月4日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)や海外の研究機関も加えて共同で開発を進めている「月面誘電率計測器」(LDA)が、NASAのアルテミス計画の「Astronaut Deployment Instrument」(宇宙飛行士持参の観測装置)に採択されたことを共同で発表した。同成果は、東大大学院 工学系研究科の宮本英昭教授(同・大学大学院 理学系研究科兼任)、同・小林真輝人特任研究員、同・姫野武洋教授、学習院大の渡邉匡人教授、岡山理科大の新原隆史准教授、東北大の熊本篤志准教授、JAXAの臼井寛裕教授、同・西堀俊幸研究領域主幹らの国際共同研究チームによるもの。NASAは現在、JAXAを含めた国際協力の下、1960~70年代のアポロ計画以来となる人類を再び月面へと送るアルテミス計画を進行中だ。NASAはアルテミスIIIにおいて、宇宙飛行士が月面に降り立った際に月面に展開する科学機器を世界中に公募しており、現地時間3月26日に、3つの科学機器を採択したことを発表。そのうちの1つが、宮本教授らの共同研究チームが提案していた、月面の誘電率を計測することを目的とした「月面誘電率計測器」(Lunar Dielectric Analyzer:LDA)だったのである。LDAは宇宙飛行士により月面上に設置された後は、独立した小型基地のように月面で観測を開始する。月レゴリスの誘電率分布を測定することで、表面の土砂の密度(しめ固まり度合い)に関する情報を得ることができ、表面の温度変化に応じて、誘電率がどのように変化するかもあわせて確認することで、月面に氷が存在しうるのか、という問いに関連した基礎科学的なデータを獲得するとした。【マイナビニュース】

【Yahooニュース提供:東大、学習院大、岡山理科大、東北大が共同で開発した月面誘電率計測器「LDA」のプロトタイプ】