KIT航空宇宙ニュース2024WK14

東北大学が開発した複数ドローンの連続着陸を可能とする吊り下げ式「EAGLES Port」
KIT航空宇宙ニュース

KIT航空宇宙ニュース2024WK14

海外のニュース

1. スペースXの巨大宇宙船「スターシップ」が飛行試験、火星に向けさらに前進

米宇宙企業スペースXは2024年3月14日、開発中の巨大宇宙船「スターシップ」の3度目の飛行試験を実施した。今回も宇宙からの帰還までは果たせなかったものの、初めて地球を回る軌道の一歩手前まで到達し、さらに宇宙空間でいくつかの技術実証にも挑んだ。まだ課題は多いものの、同社が目指す月、そして火星への飛行に向け、また一歩前進した。そして早くも、次の飛行試験の準備が進んでいる。スターシップ(Starship)はスペースXが開発中の宇宙輸送システムで、人間や物資などを、地球周回軌道や月、火星、さらにその先へ運ぶことを目指している。全長121m、直径は9mで、打ち上げ時の質量5000tという巨体を特徴とする。また、機体すべてを飛行後に着陸して回収し、再使用することができ、飛行機のように運用することで、劇的な打ち上げコストの低減と打ち上げ頻度の向上を目指している。打ち上げ能力は、機体すべてを回収する場合には地球低軌道に150t、使い捨てる場合には250tを誇り、人類史上最も強力なロケットとなる。その性能を活かし、人間や衛星、探査機、貨物などを地球周回軌道、月、火星、さらにその先へ運ぶことができるほか、地球上のどこへでも1時間以内に移動できる極超音速旅客機としても使用できる。【マイナビニュース】

【Yahooニュース提供:スターベースから飛び立ったスターシップIFT-3】

日本のニュース

1.回避難しい急な揺れ、CAの負傷増加 機体後方で8割発生 JTSBが提言

急な機体の揺れで起こる乗客や客室乗務員のけが。国土交通省航空局(JCAB)が「航空事故」に認定するものの一つで、航空事故を調査する国の運輸安全委員会(JTSB)によると、2004年から2023年までの20年間に起きた大型機の事故67件のうち、約55%にあたる37件が急な機体の揺れなどを指す「機体動揺事故」だった。最近の10年間で見ると、大型機の事故35件のうち60%にあたる21件が機体動揺事故で、2022年は過去20年間で最多の年間6件が起きた。機体動揺事故による重症者は、乗客は減少傾向にあるのに対して、客室乗務員は増えていることが鮮明化し、客室乗務員の事故はシートベルトサイン消灯中がおよそ7割(約69%)と、対策の難しさも浮き彫りになった。また、負傷した場所は約8割が機体後方だったが、機体の大きさによる傾向の違いはみられなかった。JTSBは、10年前の2014年8月発行の「運輸安全委員会ダイジェスト第15号」で機体動揺事故を取り上げたが、対策が難しい機体動揺事故が続いていることから、先月3月発行の第44号で改めて事故防止に向けた提言をまとめた。【Aviation wire news】

【Aviation wire提供:20年間で機体の揺れによる客室乗務員の怪我の内訳】

2.スターフライヤー、地上係員を中途採用 7月入社20人

スターフライヤーは4月4日、地上係員(グランドスタッフ)の中途採用を始めた。7月入社で、20人程度を採用する。エントリーと履歴書の提出は4月23日締切。応募資格は3月までに専門学校・高等専門学校・短期大学・4年制大学・大学院を卒業・修了している人。入社日は7月1日を予定しており、指定時期に入社可能な場合、2025年3月までに卒業・修了見込みの人も応募できる。英語力はTOEIC600点以上が望ましいとし、中国語、韓国語の能力があればなお良し、としている。業務内容は旅客取扱業務で、発券、手荷物受付、搭乗案内、到着の各業務を担う。勤務地は北九州空港か羽田空港で、異動や転勤がある。応募締切は4月23日午後1時。書類選考の結果は30日ごろに知らせる。書類審査の通過者は5月10日か11日の1次面接に進み、その後19日か20日の最終面接に臨む。面接はいずれも福岡か東京で実施する。【Aviation wire news】

3.ANAとJAL、グラハン資格を相互承認 地方10空港で7資格

全日本空輸と日本航空は4月2日、空港でのグランドハンドリング(グラハン、地上支援)業務の資格について、相互承認を1日から始めたと発表した。両社の業務委託先が同じ地方10空港が対象で、人手不足が課題となっているグラハン業務の資格を相互承認することにより、資格者の早期養成や業務効率化などにつなげ、グループの垣根を越えた協力を深める。対象業務は機体の地上移動や、貨物・手荷物の搭降載・搬送などのランプハンドリング業務。基礎的な資格を中心に7資格を対象にした。相互承認により、ANAとJALで1年ずつ計2年かかっていた作業資格の取得期間を1年に短縮できる。相互承認する空港は、利尻、根室中標津、函館、秋田、仙台、新潟、岡山、徳島、高知、鹿児島の地方10空港。両社の委託先が同じであることから選ばれた。ランプハンドリングの作業資格は航空会社ごとに定められており、同じ作業内容でも各社の資格取得が必要。作業資格をANAとJALが相互承認することで、どちらか一方の訓練後に資格を取得すれば、両社の作業に従事できる。また、両社便を取り扱う事業者は、訓練日数の大幅な削減につながる。国土交通省は2023年6月に「空港業務の持続的発展に向けたビジョン」を公表。地方空港でグラハン事業者の効率的な人員体制の構築を進めており、ANAとJALの相互承認もその一環で、同年11月24日に相互承認の検討を始めたと発表した。また、同年8月25日には業界団体「空港グランドハンドリング協会(AGHA)」を設立。人手不足が課題となる中、系列の垣根を越えて空港業務を安定的に発展させていくことを目的に立ち上げた。【Aviation wire news】

4.三菱重工「MSJ資産管理」解散 米試験機4機は解体済み

三菱重工業は4月1日、傘下でジェット旅客機「三菱スペースジェット(MSJ、旧MRJ)」を開発していたMSJ資産管理(旧三菱航空機)を3月31日付で解散する決議を機関決定したと発表した。今後清算手続きを実施する。三菱重工グループの業績への影響はない見通し。三菱重工は、MSJの開発中止を2023年2月7日に正式発表。4月25日に三菱航空機の社名を「MSJ資産管理株式会社」に変更したと発表した。またこの日で三菱航空機のウェブサイトを閉鎖している。米国で試験を行っていた4機の飛行試験機は、社名変更を発表した昨年4月の時点ですべて解体済み。初号機から4号機は、米国の飛行試験拠点「モーゼスレイク・フライトテスト・センター(MFC)」で飛行試験を重ね、その他の機体は最終組立工場があった小牧で試験を進めていた。飛行した5機のうち、最初に解体されたのは3号機で、2022年に解体。MFCも同年3月末で閉鎖した。その後初号機も解体され、2号機と4号機も解体済み。今後は10号機の有効活用が注目される。一方、経済産業省は、次世代の国産旅客機を2035年以降をめどに官民で開発を進める案を、3月27日の産業構造審議会で示した。MSJの失敗を生かす方針で、1社の単独事業ではなく複数社の参画による開発を促し、経産省が研究費などの面で幅広く支援していく。一般財団法人の日本航空機開発協会(JADC)と日本航空機エンジン協会(JAEC)がまとめた「完成機(GX機)事業創出ロードマップ検討会」の報告書によると、完成機の開発は2025年から概念設計や技術実証を始める案を示しており、開発開始から約10年後の就航が当面の指標になるとみられる。【Aviation wire news】

5.東北大、吊り下げ式の複数ドローン帰還システムが強風下で有効なことを実証

東北大学は3月29日、同大学のタフ・サイバーフィジカルAI研究センター(TCPAI)が2020年に開発した複数ドローンの着陸技術(吊り下げ式の水平着陸用ポート)の「EAGLES Port」が、風の強い条件下でのドローンの着陸性能を大幅に向上させることを、風洞施設での実機実験により明らかにしたことを発表した。日本でのドローンの運用は、まだ都心部での流通における本格利用には至っていないが、離島などでは流通用途といった領域で実運用やさまざまな試験運用が始まっている。今後ますますドローンの利活用が増大していった場合、複数台の同時運用などが当たり前となることが想像される中、そうした時の着陸場所の確保も大きな課題となっていた。こうした課題を解決すべく、TCPAIが2020年に開発したのが、複数ドローンの連続着陸を可能とするEAGLES Portだ(吊り下げられた状態で地面に着いてないので、より正確にいうなら“帰還”だろう)。同ポートは横158cm×奥行き170cm×高さ130cmのフレームが組まれた装置で、車などでも運べるコンパクトさがある。EAGLES Portに帰還するドローンには、あらかじめ専用のフック(バー)を機体上方に垂直に立てておく必要がある。これがEAGLES Portの正面のおおよその範囲内に収まるようにして通過すれば、あとはフレームなどがフックを通して機体を誘導し吊り下げ式での帰還が完了。針の穴を通すような正確な操縦などは必要なく、強風下でも比較的容易に帰還が可能だ。こうした課題を解決すべく、TCPAIが2020年に開発したのが、複数ドローンの連続着陸を可能とするEAGLES Portだ(吊り下げられた状態で地面に着いてないので、より正確にいうなら“帰還”だろう)。同ポートは横158cm×奥行き170cm×高さ130cmのフレームが組まれた装置で、車などでも運べるコンパクトさがある。EAGLES Portに帰還するドローンには、あらかじめ専用のフック(バー)を機体上方に垂直に立てておく必要がある。これがEAGLES Portの正面のおおよその範囲内に収まるようにして通過すれば、あとはフレームなどがフックを通して機体を誘導し吊り下げ式での帰還が完了。針の穴を通すような正確な操縦などは必要なく、強風下でも比較的容易に帰還が可能だ。そして試験の結果、EAGLES Portへの帰還は、従来の垂直方式と比較して着陸時間を平均35%短縮でき、着陸精度も大幅に向上することが確認された。試験において、風速3mの条件下では、EAGLES Portへの帰還も従来の垂直着陸も問題なかったが、風速6mでは垂直着陸で狙った場所に正確に着陸するのは困難だったのに対し、EAGLES Portへの帰還はまったく問題がなかった。加えてEAGLES Portへの帰還であれば、風速9mでも問題ないことが確認された。【マイナビニュース】

【東北大提供:強風下でのEAGLES Portへの着陸試験の様子】