KIT航空宇宙ニュース2022WK35

独MTUエアロエンジン社が発表した「Wet Engine 」概念図
KIT航空宇宙ニュース

KIT航空宇宙ニュース2022WK35

海外のニュース

1.水強化ターボファン: MTUがガスタービンエンジンに基づく革新的な推進コンセプト発表

水で強化されたターボファン、または WET エンジンは、MTU のノウハウを最大限に活用した推進コンセプトです。WET エンジンは、排気ガスの余熱を利用して蒸気発生器で水を気化し、燃焼器に噴射する。このための水は、凝縮器によって排気ガスから抽出される。WET エンジンの二酸化炭素排出量は独特です。主に排気熱を回収し、燃焼器に蒸気を噴射することによって、CO 2と NO xの排出を削減する。また、排気ガスの流れから粒子状物質を除去することにより、飛行機雲の形成を抑制する。排熱を回収して熱効率を向上させることで、エネルギー消費量を削減する。SAF または水素を動力とする場合、WET エンジンは、既存のガスタービン・エンジンと比較して、2035年までに航空機の気候への影響を約80%削減することができ、実質的に気候ニュートラルに貢献する。【Flightglobal News】

【MTUエアロエンジン提供:水強化ターボファン「Wet Engine」概念図】

日本のニュース

1.AGP、バッテリーGPUで航空機に電力供給 ディーゼル置き換えCO2削減

空港インフラを手掛けるエージーピー(AGP)は8月29日、駐機中の航空機へバッテリーから電力供給する「バッテリー駆動式GPU」の試作機を成田空港で報道関係者に公開した。現在はディーゼルエンジンで発電しているが、バッテリーに置き換えることで排気ガスや騒音が発生しなくなり、空港でのCO2(二酸化炭素)排出量や環境負荷の抑制につなげる。小型機のボーイング737型機とエアバスA320型機や、これより小さいリージョナルジェットでの利用を主に想定しており、早ければ2024年の実用化を目指す。今回お披露目したバッテリー駆動式GPUは自社開発。PBBのない「オープンスポット」や地方空港など、固定式GPUのないスポットで航空機に電力を供給している「ディーゼルエンジン駆動式」の移動式GPUの置き換えを想定。東芝製のリチウムイオンバッテリーを採用し、65分のフル充電で737やA320に60分(1時間)から90分(1時間半)程度供給できるという。【Aviation Wire News】

【Aviation Wire提供:AGPが開発したリチウムイオンバッテリー駆動市区GPU】

2.YS-11、初飛行60周年 展示6博物館で連携プロジェクト

半民半官の日本航空機製造(日航製、1982年9月解散)が製造した戦後初の国産旅客機YS-11型機が、8月30日に初飛行60周年を迎える。一般財団法人日本航空協会は、YS-11を展示する博物館6カ所と連携してプロジェクトを実施し、航空遺産を継承する。航空科学博物館(千葉県成田市)と科博廣澤航空博物館(茨城県筑西市)、あいち航空ミュージアム(愛知県豊山町)、岐阜かかみがはら航空宇宙博物館(岐阜県各務原市)、所沢航空発祥記念館(埼玉県所沢市)、青森県立三沢航空科学館(青森県三沢市)の6博物館で実施し、各博物館で企画展などを開催する。【Aviation Wire News】

【Aviation Wire提供:かがみはら航空宇宙博物館に展示されているYS-11】

3.JALとKDDI、1人で複数ドローン操縦 物流・警備で技術検証

日本航空とKDDIの両社は、1人の操縦者が複数のドローンを運航する「1対多運航」の実現に向けた技術開発を進めると8月26日に発表した。物流と警備で検証し、複数空域での複数ドローンの同時飛行を想定した飛行実証を進める。1対多運航の実現により、労働力不足の解消や業務効率化などの課題解決を目指す。両社は複数ドローンの飛行に対応したシステムなどを検討し、1対多運航に対応した飛行制御システムを開発する。物流を想定した場面では、鹿児島・奄美群島の瀬戸内町で日用品や災害救援物資、緊急時の医薬品を輸送。ドローンの航続距離やルート効率性などを検討し、自動航行で実証する。警備を想定した場面では、複数の機体を活用し、巡回警備や緊急時対応を実証。実証場所やルートは、今後調査・選定を進める。今回の取り組みは、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の公募事業である「次世代空モビリティの社会実装に向けた実現プロジェクト」のうち「ドローンの1対多運航を実現する機体・システムの要素技術開発」に提案した両社案が採択されたことを受けて実施する。【Aviation Wire News】

【Aviation Wire提供】

4.超小型探査機OMOTENASHI/EQUULEUSがついに打ち上げへ日本初の月面着陸なるか?

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は8月26日、打ち上げが直前に迫った2機の超小型探査機「OMOTENASHI」「EQUULEUS」について、最新状況を説明した。両機を搭載する米国のアルテミス計画超大型ロケット「SLS」(Space Launch System)初号機は、同29日21:33(日本時間)に打ち上げられる予定(打ち上げは延期となり日本時間9月4日打上予定)。OMOTENASHIは成功すれば、日本初の月面着陸となる。【マイナビニュース】

【Yahooニュース提供:JAXAの「OMOTENASHI」「EQUULEUS」】