KIT航空宇宙ニュース2021WK19
海外のニュース
1. テキストロン(Textron)社がUAMの開発に否定的
テキストロン社のCEOのドネリー氏は、都市型空間移動体(UAM)のキーとなるバッテリー技術が十分に進歩していないため、電気垂直離着陸(eVTOL)航空機の市場に急いで参入するつもりはないと述べた。同社は、今年初め、新部門として「eAircraft」を設立し、Textron Aviation, Bell、Textron Systems businesses の専門知識を結集してUAV の開発を目指した経緯がある。
【Flightglobal News】
【Flightglobal提供】
2.Lufthansa Technik社とBASF社がサメの皮膚構造を模倣した表面フィルムを開発
Lufthansa Technik 社とBASF 社は、共同プロジェクトの一環として、サメの皮膚の微細な構造を模倣した表面フィルムであるAeroSHARKを、2022 年初頭からLufthansa Cargo社の(10)機のB777F に張り付け、航空機の経済性を高めるとともに、排出量削減に対応する計画である。同型機の場合、Lufthansa Technik は1%以上の抗力削減を見込んでおり、(10)機のB777Fで、年間約3,700 トンの灯油と11,700 トン弱のCO2 排出量の削減になると見込んでいる。【Lufthansa Technik News】
【Lufthansa Technik提供】
3.FAAが737MAX搭載のLeap-1Bエンジンに対しADを発行
Federal Aviation Administration(FAA)は、B737MX 機に搭載のCFM International 社製Leap-1Bエンジンの20ヶ月間の運航停止とCOVID-19パンデミック中の保管時に伴い、圧力センサーに腐食の発生が複数報告されていることから、耐空性改善通報(AD)を発行し、航空会社に対して、同型機運航開始の最初の15時間の間、圧力センサーに関連したエンジンメンテナンスメッセージを注意深くチェックするよう要求している。圧力センサーにおける腐食発生により、センサーコネクター端子の電気的短絡が発生し、誤った圧力センサー信号が電子エンジン制御装置に送信され、エンジンの推力が低下を起こす可能性があるとしている。【Flightglobal News】
【Boeing提供】
4. Beta Technologies社がパイロットが操縦する電動航空機として初の耐空性承認を取得
Beta Technologies社のeVTOL機である「ALIA」が、パイロットが操縦する電動航空機としては初の耐空性承認を取得し、米国空軍によるテストが開始されることになっている。同型機は、290 マイル(460km)の距離において6人を運ぶことができ、巡航速度は170mph(270km/h)のeVTOL 機です。この航空機は2017 年から開発が進められており、最初の顧客への納入は2024 年を予定している。【Aerospace TESTING International】
【Electric VTOL News提供:Beta Technologies社のALIA】
5.中国のロケット落下
中国が打ち上げた大型ロケット「長征五号B」の機体の一部が、2021年5月9日ごろに大気圏に再突入する見通しだ。同様の事態は昨年5月にも起き、このときは燃え残った破片が、西アフリカのコートジボワールに落下したとみられている。今回もまた、破片が地表に落下する可能性がある。人などに当たる可能性はきわめて低く、決してパニックになる必要はない。長征五号Bは、1.5段式と呼ばれる特異な構成を採用している。これは第1段機体(コア)と、そのまわりに取り付けた補助ブースターだけで衛星を打ち上げるという仕組みをしている。この仕組みは、コアとブースターのエンジンは両方打ち上げ前に点火するため、飛行中に点火する必要がなく、また機体の分離も、ブースターとフェアリングの切り離しと衛星の分離のみとなるため、全体的にリスクが低減できるというメリットがある。しかしその反面、コア機体がそのまま軌道に乗ってしまうという欠点がある。長征五号Bのコア機体は、全長33.2m、直径5.0m、そして質量約18tと、一般的なロケットの上段の5倍以上。一般的な衛星やロケット上段であれば、再突入時の加熱で燃え尽きる。しかし、長征五号Bのコア機体のような大きな物体の場合は完全には燃え尽きず、ステンレスやチタンでできたエンジンやタンクなどが燃え残ってしまい、地表にまで到達する恐れがある。【マイナビニュース】
【時事通信提供:長征五号B】
日本のニュース
1.JAL、21年3月期最終赤字2866億円 再上場以来最大
日本航空が発表した2021年3月期の連結決算(国際会計基準)は、最終損益が2866 億円の赤字(前の期は480億円の黒字)だった。連結最終赤字は2012年の再上場後で初めて。新型コロナウイルスの影響で旅客需要が低迷。売上高は前の期比65%減の4812億円となった。今期(22年3月期)の業績予想は、合理的な数値の算出が困難として開示を見送ったが、コロナ前と比べて国内線の旅客需要が8割、国際線が4割程度まで回復すれば黒字化できるとの見通しを示した。【日本経済新聞】