KIT航空宇宙ニュース2021WK24
海外のニュース
1. 東京で”パリ航空ショー” 仏商工会議所、22日に代替イベント
在日フランス商工会議所(CCIFJ)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で中止が決定した世界最大規模の国際航空宇宙見本市「パリ航空ショー」の代替イベント「パリ航空ショー in 東京」を、6月22日にCCIFJの大会議室(東京・中央区)で開く。ビデオ会議システム「Zoom」によるオンライン参加も受け付ける。CCIFJが開く「ビジネスリーダーズフォーラム」の一環として開催。テーマごとに各分野の専門家を招き、日仏の相互協力関係を進めるための新たなネットワーキングの場を提供するという。開場は午後3時で、基調講演とパネルディスカッションは午後3時30分から午後6時30分まで。その後は交流会を開く。申込は15日午後5時までで、参加費は会場参加がCCIFJ会員8000円、非会員JPY1万6000円、オンライン参加が会員5000円、非会員1万円。パリ航空ショーは1909年に初開催され、現在は奇数年の6月にパリのル・ブルジェ空港で開かれている。主催はフランス航空宇宙工業会(GIFAS)の100%子会社SIAEで、同社によると、パリ航空ショーが中止となったのは、二度の世界大戦の期間を除くと110年を超える歴史で初めて。【Aviation Wire News】
2.米国Electra Aero社が固定翼型電動航空機の設計改革を発表
Aurora Flight Sciences 社の創業者が立ち上げたElectra Aero 社(米国バージニア州)は、航空宇宙分野の新興企業の中では最も新しい固定翼型電動航空機(パイロット1名, 乗客7名, 巡航速度:174kt, 航続距離:434海里)の設計を発表。この機体は、従来翼型に電動プロペラを装備した短距離離着陸機(STOL:Short Take-off and Landing)で、27kt の速度で離陸できる。2026年に米国連邦航空法のPart 23 規則のもとでUtility and commuter機の型式証明取得を目指している。
【Flightglobal News】
【Flightglobal提供:Electra Aero社の固定翼型電動航空機】
3.Ravn Alaska社がAirflow社が開発中の電動短距離離着陸機を50機発注
アラスカ航空Ravn Alaska (本拠地;アンカレッジ )社は、Airflow (本拠地; サンフランシスコ)社が開発中の電動短距離着陸機(eSTOL)を50機購入する旨の覚書(Letter of Intent)に署名した。Airflow 社は、旅客機の開発も目指しているが、現在同社のウェブサイト には下記の2 機種の貨物機しか掲載されていない。2025 年の就航をめざしている。
Model 100:; 貨物積載容量: 227kg 、航続距離: 402km、必要滑走路長:46m
Model 200:; 貨物積載容量 : 907kg 、航続距離: 805km、必要滑走路長:61m
【Flightglobal News】
【Flightglobal提供:Airflow社開発中のeSTOL機】
4. アメリカン航空とアバロン社がVertical Aerospace社に出資
アメリカン航空, バージンアトランティック航空と航空機リース会社のアバロン社は、Vertical Aerospace 社が開発中の電動短距離離着陸エアータクシー機「VA-X4」を最大1,000 台購入することに合意した。又、アメリカン航空とアバロン社は電動離離着陸機(eVTOL)の認証取得を目指しているVertical Aerospace 社に出資する意向を明らかにした。英国のヴァージンアトランティック航空は、当初ロンドンヒースロー、ロンドンガトウィック、マンチェスターに焦点を当てた電動垂直離着陸機(eVTOL)ネットワークの開発を模索している。【Flightglobal News】
【eVTOL News提供:Vertical Aerospace社が開発中のVA-X4】
5.Eco Pulse分散推進ハイブリッド航空機デモンストレーターの風洞試験完了
フランスの民間航空研究評議会(CORAC)とフランス民間航空局(DGAC)の支援を受けてDaher社、サフラン社、エアバス社によって開発されているEco Pulse分散推進ハイブリッド航空機デモンストレーターは、エアバス社英国フィルトン工場での風洞試験を無事に完了した。Eco Pulseデモンストレーターは、脱炭素ロードマップの不可欠な部分であり、分散型推進システムに関する知識を増やし、電気およびハイブリッド電気の排出ガスのない航空機への道を開く。これらの風洞試験により、将来の構成の選択と技術を検証するために、シミュレーションモデルを実際のパフォーマンスに合わせることができる。【Flightglobal News】
【エアバス社提供:風洞試験中のEco Pulseデモンストレーター】
日本のニュース
1.ソニーが業務用空撮ドローン「Airpeak S1」9月発売
ソニーグループは、業務用ドローン「Airpeak S1(エアピークS1)」を9月に発売すると発表した。α1など同社製フルサイズミラーレスデジタルカメラ「α(アルファ)」シリーズを搭載できるドローンでは、世界最小クラスを実現したという。空撮映像制作を主な用途として想定しており、障害物検知や自動飛行、機体や飛行情報のクラウド管理に対応する。価格はオープンで、市場予想価格は税込み110万円前後。大きさは高さ約526.8mm、幅591.9mm、奥行き511.8mmで、プロペラを除いた体格寸法は約644.6mm、バッテリーパックを除いた機体重量は約3.1kg。最大積載可能質量は約2.5kg、最大離陸質量は約7.0kgで、ペイロードなしの最大速度は25m/s(90km/h)、最大上昇速度は7m/s、最大下降速度は4m/sとなり、耐風性能は20m/s、最大離陸重量時の運用限界高度は2500mとなる。推進装置は、軽量で高効率、高強度、高応答性のある独自開発の17インチプロペラやブラシレスモーターを採用し、センサー情報を統合して安定飛行と高い応答性を実現する独自の飛行制御システムを構築した。【Aviation Wire News】
【ITmedia提供:デジタルカメラを搭載したAirpeakS1】
2.羽田空港の自動運転車いす、第2ターミナルにも拡充 誰でも無料
羽田空港のターミナルを運営する日本空港ビルデングは、現在第1ターミナル南ウイングで運用している1人乗りの自動運転パーソナルモビリティ(自動運転車いす)の運行範囲を14日から順次拡充し、7月中旬から第1・第2ターミナルの出発階全域で利用できるようにすると発表した。これにより、第1ターミナルに乗り入れる日本航空とスカイマーク、スターフライヤー、第2発着の全日本空輸とエア・ドゥ、ソラシドエアの国内線全6社の乗客がサービスを無料で利用できる。使用する自動運転パーソナルモビリティは、WHILL(ウィル)が開発した次世代型電動車いす。2020年7月1日に第1ターミナルでサービスが始まり、空港での自動運転パーソナルモビリティの自動化は世界初となった。【Aviation Wire News】
【Aviation Wire提供:ターミナル内を自動走行する自動運転車椅子】
3.ユーグレナ、国交省の飛行検査機で自社バイオ燃料を使用し初フライト
ユーグレナは、自社製バイオジェット燃料の初フライトを6月4日に実施した。機体は国土交通省航空局(JCAB)の飛行検査機サイテーションCJ4を使用し、上空で飛行検査業務も実施した。ユーグレナのバイオ燃料を使ったフライトは世界初で、同社によると政府が保有する航空機が国産バイオ燃料を使うのも初めてだという。今回のフライトは2時間30分で、羽田空港で給油後に離陸し、飛行検査業務を実施後、同機の運航拠点である中部空港(セントレア)に着陸した。既存のジェット燃料に同社製バイオ燃料を5%混合して使用。バイオ燃料は国際規格「ASTM D7566 Annex 6」に適合したもので、使用済み食用油と微細藻類ユーグレナ(ミドリムシ)を使用した。ユーグレナは、2018年11月にバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラントを竣工。今年3月にバイオジェット燃料が完成した。【Aviation Wire News】
【Aviation Wire提供:国産バイオジェット燃料を使用して飛行した航空局所有のCJ4】