KIT航空宇宙ニュース2021WK28

JALが構想する「空飛ぶクルマ」による旅客輸送
KIT航空宇宙ニュース

KIT航空宇宙ニュース2021WK28
海外のニュース
1.米ヴァージン7月11日に有人の宇宙飛行試験を実施 – ブランソン氏ら6人搭乗
米国の宇宙旅行会社ヴァージン・ギャラクティックは早ければ7月11日にも、6人の乗員を乗せたサブオービタル宇宙船「スペースシップツー」の試験飛行を実施すると発表した。4人以上が乗った状態での飛行は初めてで、商業運航の開始に向けた各種試験を実施。同社創業者でヴァージン・グループ総帥のサー・リチャード・ブランソン氏も搭乗し、安全性などをアピールする。同社は、実業家サー・リチャード・ブランソン氏らが立ち上げた宇宙企業で、「サブオービタル飛行」と呼ばれる形式での宇宙旅行の実現を目指している。サブオービタル飛行は弾道飛行とも呼ばれ、地球の軌道に乗る宇宙船とは異なり、高度約100kmの宇宙空間に行って帰ってくるだけの飛行である。宇宙空間にいられるのはわずか数分間だが、窓から青い地球や黒い宇宙空間を眺めることができ、また船内は微小重力(いわゆる無重力)状態になるため、宇宙にいる感覚を味わうことができる。同社のサブオービタル宇宙船「スペースシップツー(SpaceShipTwo)」は、全長18.3m、高さ5.5m、翼長8.3mの、小型のスペースシャトルのような形の機体で、2人のパイロットと6人の乗客、あわせて最大8人が乗ることができる。スペースシップツーは、「ホワイトナイトツー」と呼ばれる双胴機に吊るされて高度約5万ft(約15km)へ運ばれ分離。そこから機体後部に搭載したロケットを噴射して上昇。宇宙空間に達したのち降下し、最終的には滑空飛行して滑走路に着陸する。【マイナビニュース】

【Virgin Galactic社提供:宇宙船スペースシップツーと空中発射用ホワイトナイトツー】

2.ロールスロイス社は電動推進技術の開発を推進
2019年10月、ロールスロイス(RR)は、シーメンスの電気およびハイブリッド電気航空宇宙推進活動を買収し大きな一歩を踏み出した。ドイツとハンガリーに拠点を置くこの事業では、約180人の電気設計者とエンジニアが雇用された。両社はエアバスと並んでE-FanXデモンストレーターで協力していたが、その年の8月、RRは、ノルウェーの地域航空会社Wideroeとの共同研究プログラムを開始し、ゼロエミッション飛行を実現した。今年5月、2つの事業は、テクナムと協力して、イタリアのメーカーの9人乗りピラタスP2012を改造した全電気推進旅客機を開発すると発表している。これはP-Voltと呼ばれ、RRとテクナムは2020年10月にそのプロジェクトを開始している。今年3月、RRは、100kWの電気システムがVertical Aerospaceのe-VTOL機VA-X4に電力を供給することを発表。これは、ブリストルを拠点とするVertical Aerospaceが、最初の認定を目指す電気垂直離着陸(eVTOL)都市型空中移動機です。同社は、まだRRパワートレインを搭載していませんが、今年後半に初飛行させる予定。同社は、航空機のバッテリーも自社で開発している。また今年、RRはブリストルの施設でハイブリッド発電システムのコンポーネントテストも開始した。このシステムは、AE 2100ガスタービンエンジンと組み合わせて、将来の地域航空用旅客機に動力を供給することを目指している。【Flightglobal News】

【ロールスロイス」社提供:バーティカルエアロスペースのeVTOL機】

3.ドイツのボロコプター社はeVTOLパイロット訓練でカナダのCAE社と提携
アーバンエアモビリティ(UAM)の開発者であるボロコプター(Volocopter)社はCAEと提携し、電気垂直離着陸(eVTOL)操作のパイロットトレーニングプログラムを設定する。暫定合意は「将来のUAMパイロットを確保する」ことを目的としている。同社は、欧州連合航空安全機関(EASA)の認証を受けて、2人乗りのVoloCity機が2024年にサービスを開始し、今後5年間で、世界中の多くの都市で事業を開始する予定です。CAE社は、既存のトレーニングネットワークを拡張し、ボロコプターの最初の数年間のパイロット需要に対応するため、最大4,000万ドルを投資する。契約の一環として、ボロコプターはパイロットトレーニングプログラムの認定に使用するシミュレーターをCAEから購入予定。
なお、日本航空は日本国内でボロコプター社のeVTOL機を使用したエアータクシー会社の設立を計画中【Flightglobal News】

【Volocopter社提供:eVTOL 機Volocity想像図】

4.ハンブルクの Aerospace industryが水素を使った飛行に向け準備を進めている
Lufthansa Technikは、German Aerospace Center (DLR), Center for Applied Aeronautical
Research (ZAL) および、Hamburg Airport と共同で、ハンブルク市からの資金提供を受け、今後2年間にわたり、水素技術を扱う大規模な整備・地上プロセスの設計・テストを行う計画であり、A320機もHamburgにあるLufthansa Technik の工場に備え付けて固定式の実験室として使用する計画である。【AviTraider】

【Lufthansa Technik提供:ハンブルグ空港における水素製造インフラ想像図】

日本のニュース
1.JAL系RACがパイロット養成4期生募集 奨学金貸与
日本航空グループで沖縄の離島路線を担う琉球エアーコミューター(RAC)は、沖縄県内の大学生などを対象にパイロットを養成する制度の第4期生を募集している。資格取得に必要な訓練費用などに対して奨学金を貸与する。対象は、沖縄県内の4年制大学か大学院を2022年3月に卒業・修了見込みか、沖縄県出身で県内高校を卒業後、県外の4年制大学か大学院を2022年3月に卒業・修了見込みの人。2022年2月以降、崇城大学に航空操縦学専攻研究生として入学し、計器飛行証明などの操縦資格を取得して同大を卒業後、RACにパイロット訓練生として入社する。入社後一定期間勤務した場合、奨学金の返済を全額免除する。応募期間は7月31日までで、必要書類を郵送する。1次試験は8月ごろ、2次試験は9月下旬、3次試験と最終選考は10月上旬を予定している。【Aviation Wire News】

【Aviation Wire提供:RACのQ400型Combi機】

2.JAL「空飛ぶクルマ」で旅客輸送 25 年度に事業化
日本航空は2025年度に「空飛ぶクルマ」を使った事業に乗り出す。三重県などで空港と観光地を結ぶ旅客輸送サービスを始める計画。ANA ホールディングスも25年度に同様のサービスへの参入を検討している。空の移動が身近になれば道路渋滞の緩和や過疎地の交通対策にも役立つ。海外でも実用化競争が進んでおり、新ビジネスに見合うルール整備が課題となる。【日本経済新聞】

【日本経済新聞提供:JALが構想する空飛ぶクルマで旅客輸送】