KIT航空宇宙ニュース2022WK17
海外のニュース
1.787品質問題、FAAにボーイングが計画提出
ボーイングは現地時間4月27日、FAA(米国連邦航空局)から製造時の品質問題を指摘されている787型機について、認証計画をFAAに提出したと発表した。納入再開の時期は「FAAと緊密に連携している」として明言を避けた。787関連では約20億ドル(約2570億円)の異常原価が生じると見込んでおり、大部分は2023年末までに発生する見通し。ボーイングによると、787の生産レートは非常に低い値で推移しており、納入再開までこの状態が続くという。その後は段階的に月産5機に戻ると予測している。787は品質問題の影響により、2021年7-9月期から今年1-3月期まで3四半期連続で引き渡しがゼロとなった。品質問題は航空会社などへ引き渡す前に発覚し、改修作業を実施。2021年10月には、787で使われているチタン製部品の一部がイタリアの委託先で不適切に製造されていたことも判明し、新たな対応に追われた。ボーイングは本紙の取材に対し、運航中の機体に対して直ちに安全上の問題はないと回答している(関連記事)。【Aviation Wire News】
【Aviation Wire提供:製造中のボーイング787型機】
2.中国「神舟十三号」宇宙船が地球に帰還、半年の宇宙ステーション滞在を完遂
中国の宇宙船「神舟十三号」が2022年4月16日、3人の宇宙飛行士を乗せ、地球への帰還に成功した。3人は昨年10月に打ち上げられ、建設中の「中国宇宙ステーション(CSS)」へ飛行。中国にとって最長となる半年間の長期滞在ミッションをこなした。今後、CSSの増築のほか、6人体制での滞在なども計画。中国の有人宇宙計画は順調な歩みをみせている。中国宇宙ステーション(CSS)は中国の有人宇宙ステーションで、中国有人宇宙飛行プロジェクト弁公室が運用している。2021年4月29日に最初のモジュール「天和」が打ち上げられ、今後、居住区や実験室などのモジュールを続々と打ち上げて結合させ、2022年末までの完成を目指している。完成すれば、かつてソビエト連邦/ロシアが運用していた「ミール」宇宙ステーションに匹敵する大型の宇宙ステーションとなる。2021年6月17日には、CSSに向けた初の有人飛行ミッションである「神舟十二号」が打ち上げに成功。3人の宇宙飛行士が3か月間滞在し、ステーションの運用や宇宙実験などを行い、9月に帰還した。今回の神舟十三号ミッションはそれに続く滞在ミッションで、また初の半年間の滞在を目指したものだった。【マイナビニュース】
【Yahooニュース提供:帰還した中国の宇宙船「神船13号」】
3.ITAエアウェイズはUAM協定の下で空飛ぶクルマ「City Airbus NextGen」を運航すると発表
エアバスとITAエアウェイズは、イタリアでのアーバンエアモビリティ(UAM)サービスの可能性を探求することで合意。これにより、フラッグキャリアが現在開発中のCity Airbus NextGen電気航空機を運航する可能性がある。この覚書でカバーされたUAM(Urban Air Mobility)協定は、航空会社との最初の協定であり、パートナーは「排出ガスのないモビリティソリューションの戦略的ユースケースを特定することにより、カスタマイズされたUAMサービスの作成を模索する」とエアバスは述べていいる。破産したアリタリア航空の後継として2021年に運航を開始したITAエアウェイズは、以前にエアバスとは、アリタリア航空所有の航空機を近代化するための広範な航空機注文契約に署名している。City Airbus NextGenは、垂直離着陸が可能な完全な電気航空機で、巡航効率のために固定翼を使用している。3人乗りの設計の最初の飛行は2023年に予定されており、2025年に認証取得予定。このプロジェクトのパートナーには、Diehl Aerospace、Spirit AeroSystems、Thalesが含まれている。エアバスは以前、サウジアラビアのヘリコプター会社との間で、サウジアラビアでのUAMの運用を調査することで合意したことを明らかにしている。【Floghtglobal News】
【エアバス社提供:ITAエアウェイズのロゴマークを付けた「City Airbus NextGen」型機】
日本のニュース
1.成田空港の21年度旅客、前年比2倍647万人 貨物は過去最高
成田国際空港会社(NAA)の2021年度運用状況速報値によると、国際線と国内線を合わせた旅客数は前年度比99%増の647万2578人で、過去最低を記録した2020年度を2倍近く上回った。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)前の2019年度比では84%減で、影響が大きく続いている。国際線の旅客数は85%増(93%減)の234万5182人で、このうち日本人は66%増(96%減)の53万8242人、外国人が33%増(96%減)の72万3058人、通過客が2.72倍(71%減)の108万3882人となった。また、国内線の旅客数は2.08倍(45%減)の412万7396人となった。貨物量は、コンテナ船が満載で積み残しとなった貨物が航空輸送に流入する「船落ち」が増えていることなどにより、25%増(28%増)の260万9321トンで過去最高を記録した。【Aviation Wire News】
2.羽田発国内線、GW初日予約率95%超 ANA・JALともコロナ前並み
ゴールデンウイーク初日の4月29日、羽田空港は国内線で全国各地へ向かう人たちで混雑している。日本航空によると、29日に羽田を同社便で出発する人は約4.5万人、到着が約2.6万人で、全日本空輸は出発が約5万人、到着が約3万人。予羽田発便の予約率はJALが96%、ANAが95%でほぼ満席となる見通し。【Aviation Wire News】
【Aviation Wire提供:GW初日に混雑する羽田空港出発ロビー】
3.ジェイエア、CA新卒採用の受付開始 23年度入社
日本航空グループで地方路線を担うジェイエアは4月26日、2023年度入社の新卒採用を実施する職種のうち、客室乗務員のエントリー用マイページを公開した。応募締切は5月31日午後3時でエントリーシート必着。採用予定数は相当数としており、雇用形態は正社員。対象は2020年4月から2023年3月までに高校または専門学校、短大、高等専門学校、4年制大学または大学院修士課程を卒業・修了または卒業・修了見込みの人で、卒業・修了した人は就業経験がある人も可能としている。矯正視力や居住地、交替制勤務が可能、英語力などの条件がある。【Aviation Wire News】
【Yahooニュース提供:ジェイエアが23年度入社CA新卒採用募集を開始】
4.ホンダ、ビジネスジェットを活用したサービスの概念実証を2022年中に開始
本田技研工業(ホンダ)は、モビリティサービスの新たな取り組みとして、「Honda Jet」を含むさまざまなモビリティを活用し、国内の中長距離移動をより便利で快適にする事業の検討を開始すると4月27日に発表した。Honda Jetは、ホンダの航空事業を担うホンダエアクラフトカンパニーが開発、販売を行う小型のジェット機(ビジネスジェット)。ビジネスジェットは、移動時間の短縮や自由なスケジュール設定、プライベート空間の確保が可能なことから、ビジネスシーンを中心に広く活用されており、利便性が高い移動手段として世界的に認知されているが、日本市場では、ビジネスジェットに対する社会的認知の低さやインフラ・サービスの未発達により、米国などの欧米諸国と比較して規模が小さく、発展途上にあるという。そこでホンダは、ビジネスジェットや、二輪・四輪ビジネス領域での豊富な経験を活かし、さまざまなモビリティを活用した新たなサービスの検討を開始したという。 日本には、公共交通による移動が不便な地方都市が多く存在し、そうした都市間を、HondaJetを活用しながら結ぶことで、移動の大幅な効率化や地方活性化、遠隔地医療への対応などにも貢献することができるとしている。【マイナビニュース】
【Honda Jet提供:Honda Jetを含む様々な乗り物を活用した地方活性化モデル】
5.SkyDrive、空飛ぶクルマの型式証明のベースとなる審査の適用基準を国交省と合意
SkyDriveは、「空飛ぶクルマ」の型式証明審査の適用基準(Certification Basis)を「耐空性審査要領第 II 部(第61改正)」ベースで構築することについて、国土交通省(国交省)航空局と合意したことを4月27日に発表した。なお、同審査の対象は、型式証明申請中の2人乗り機体「SkyDrive式SD-05型機」。同社は、同機体を用いて2025年の事業開始を目指すとしている。耐空性審査要領第II部は、乗客数が19名以下かつ最大離陸重量8,618kg以下の固定翼機の耐空性要件を定めたもので、最新の第61改正は取り扱う機体の形状や搭載するシステムに自由度を持たせることが出来る最新の審査要領。同審査要領には、航空機および装備品の安全性を確保するための強度、構造や性能についての基準が定められている。SD-05型機の型式証明審査は、空飛ぶクルマの実現に向け、制度整備などを官民で協議する「空の移動革命に向けた官民協議会」での安全基準に関する議論を踏まえたうえで、耐空性審査要領第II部をベースに構築していく予定だという。【マイナビニュース】
【Sky Drive提供:開発中の空飛ぶクルマ「SD-05型機」】