KIT航空宇宙ニュース2021WK39

丸紅が仮発注した英国Vertical Aero社の電動空飛ぶクルマ(京都上空を飛行する想像図)
KIT航空宇宙ニュース

KIT航空宇宙ニュース2021WK39
海外のニュース
1.エアバス社が主翼スパンを長くすることで炭素排出量を減らす研究を行っている
エアバス社は、燃料消費量と炭素排出量を削減するために、主翼スパンを長くし巡航抵抗を減らすコンセプトを考えており、翼端を空港Gateのみでなく、飛行中にも自由に羽ばたくようにロックしたりロックを解除したりできる半空力弾性ヒンジ・セミと呼ぶ技術の開発を進めており、英国エアバス社が開発したA321の7%サブスケールモデルの無人機「Albatross ONE」の 2019年から20年にかけて飛行試験を行っている。さらに、Cessna Citation Ⅶ business jetを改造して技術を実証する「X-Wing」と呼ばれるプロジェクトでは、同型機に新しい複合材の主翼と、無人飛行のためのフライ・バイ・ワイヤ制御装置を装着し、単通路機への応用の可能性を秘めた、可動式翼端部を備えたスパン52m(171 フィート)の翼の30%スケールバージョンをテストすることを目的とした計画を進めている。【Aviation Week】

【エアバス社提供:A321サブスケールモデル「Albatross ONE」のWing Tip Flap】

2.エアバス・ヘリコプター社が電動ハイブリッド・システムを検討
エアバス・ヘリコプター社は、メインタービンエンジンが故障した際に、100キロワットのモーターを使用して最大30秒間電力を供給するエンジンバックアップシステム(EBS)に関して、フランス民間航空局(DGAC)と共同で、同社の H130単発タービンヘリの「フライトラボ」を使ってテストを行っている。このモーターはメインギアボックスに接続されており、ロータースピードを維持し、よりスムーズなオートローテーションに入るための時間を増やすことができ、パイロットに余裕をあたえることができるものです。【AINonline】

【エアバス・ヘリコプター社提供:飛行試験中のH130「フライトラボ」】

3.エアバス社が電動航空機次世代City Airbusを発表
エアバス社は、電動飛行移動体開発の次の段階として、電動航空機次世代City Airbus (4 人乗り)を発表した。2023年に試作機の飛行を目指している。「新興のUAM 市場が固まり始める」中で、早ければ 2025年に目指しているプロトタイプの飛行・認証(special EASA SC-VTOL Enhanced Category)取得を行い、「イノベーション」プロジェクトの量産化をめざしている。同型機は、固定翼V字型の尾翼、分散型推進システムの一部である 8つの電動プロペラを備えており、航続距離は80km、巡航速度は120km/hのゼロエミッション機として設計されている。【Flightglobal News】

【エアバス社提供:電動航空機次世代City Airbus】

4.ブラジルのeVTOL機メーカーと英国のBistow社が航空事業免許取得の覚書を締結
ブラジルの航空機メーカーのエンブラエル社の子会社である Eve Urban Air Mobility (イブ) 社と垂直離着力季運用会社の世界的リーダーである英国のBristow社は、イブ社の電動垂直離着陸機(eVTOL)の Air Operator’s Certificate (AOC;航空事業免許)を共同で開発するための覚書を締結した。 更に、Bristow社は、最大100機の eVTOLを発注しており、納入開始は2026年を予定している。なお、Bistow社は既に英国のeVTOL機メーカーVertical 社にもeVTOL機を50機仮発注している。【Avitraider】

【Eve社提供:Eve社が開発中のeVTOL機「Eve」】

5. Volt Aero社が電動ハイブリッド航空機Cassio330の開発を発表
Volt Aero社は、電動ハイブリッドの全く新しい4~5人乗りのCassio 330を開発中で、2023年末までに導入する予定。計画を迅速に移行し、後継機である6人乗りのCassio 480を2024年の終わりに投入する計画。最終モデルの10人乗りのCassio 660は、2025年の終わりに運用可能としている。創業者のジーン・ボッティ氏は、9月中旬にビギンヒル空港で開催されたAir Charter Expo(ACE)イベントで「フルハイブリッドモードで648nm(1,200km)の航続距離を持ち、200kt(360km / h)の速度のあるCassioが、地域のチャーター市場にとって魅力的であると信じている」と語った。エアバスの元最高技術責任者であったボッティ氏は、フランスのVolt Aero社の基地から、デュアルパワーソースエンジンを搭載したセスナ337スカイマスターであるCassio1デモンストレーター航空機で英国のACE会場に到着し、潜在的な顧客や投資家にCassioのスケールモデルを披露し、これまでに50機の受注を確保している。【Flightglobal News】

【Volt Aero社提供:セスナ337を改造したデモンストレータ機「Cassio1」】

【Volt Aero社提供:電動ハイブリッド航空機「Cassio330」スケールモデル】

日本のニュース
1. 丸紅、英eVTOLを200機予約 
丸紅と子会社の丸紅エアロスペースは9月24日、「空飛ぶクルマ」と呼ばれるeVTOL(電動垂直離着陸)機の開発を進める英バーティカルエアロスペース(Vertical Aerospace)とエアモビリティ分野の新規事業創出を目的とした業務提携契約を締結したと発表した。日本での市場調査や事業参画検討を共同で進める。バーティカルエアロスペースによると、丸紅から最大200機の予約を条件付きで獲得したという。市場調査のほか、機体認証に関する課題調査や関係省庁との連携、運航サービスの実現に必要となる離着陸ポートなどのインフラ構築の調査などを進め、eVTOLの実用化につなげる。バーティカルエアロスペースは、英国政府から支援を受け、EASA(欧州航空安全庁)などとの連携や他国企業との提携により、eVTOLの開発を進めている。また、SPAC(特別買収目的会社)との合併による米国での上場計画があり、アメリカン航空(AAL/AA)やヴァージン アトランティック航空(VIR/VS)、航空機リース会社のアボロンなどから今回の契約も含めて1350機、約54億ドル(約5930億円)の条件付き予約を獲得している。量産型のVA-X4は2024年にEASAから承認を取得予定で、パイロット1人を含む5人が搭乗できる。将来的には遠隔・自律飛行への移行を計画しており、航続距離は100マイル(約161キロ)超、最大速度は202mph(約325キロ)となる見込みで、東京駅と成田空港を約14分で移動できる。【Aviation Wire News】

【Yahooニュース提供:京都上空を飛行するVeritical社のeVTOL機想像図】