KIT航空宇宙ニュース2022WK26

都市を飛行するVTOL機に関する設計、認証、運航などの運用規則についてEASAが世界で初めて発表
KIT航空宇宙ニュース

KIT航空宇宙ニュース2022WK26

海外のニュース

1. EASAが都市でのエアタクシー運用に関する世界初の規則を公開欧州航空安全機関(EASA)は、都市でのエアタクー運用に関する規則を発表した。提案された新しい規制の枠組みは、2022年9月30日までパブリックコンサルテーションに公開されており、耐空性、航空運航、運航乗務員免許、および航空規則の技術領域をカバーしている。 これらは、無人航空機システム(UAS)の運用に関する既存のEU規制資料、ヨーロッパでUスペースとして知られる無人交通管理システム、垂直離着陸(VTOL)が可能な航空機の認証、垂直離着陸機の設計についてEASAガイダンスを補完するもの。「これにより、EASAは、エアタクシーや同様のサービスを提供するVTOL対応航空機の運用に関する包括的な規制フレームワークをリリースした世界初の航空規制当局になる」とEASAの常務取締役Patrickkyは述べている。EASAの最新の提案は、人と貨物の空路による新しい移動性のために、EUレベルで調和のとれた一連の規制と規則を確立することを目指している。【EASAニュースリリース】

【EASA提供:ヨーロッパ都市を飛行するVTOL機(想像図)】

2.中国の国営航空会社(3社)が約300機のエアバスジェットを購入

7月1日、中国の「ビッグスリー」国営航空会社は金曜日に合計約300機のエアバスジェットを購入することを約束した。ボーイング機は中国から部分的に凍結されたままです。発表の中で、エアチャイナとチャイナサザンエアラインズは、96機のA320neoファミリージェットを購入すると発表しし、中国東方航空は、同じタイプの飛行機を100機購入すると発表した。中国の巨大な市場では、エアバス機とボーイング機はデリバリー機の4分の1を占めている。しかし、今回のエアバス機の大量発注でボーイング機が後れを取る形となった。(ロイター)

【Airbus提供:A320neo型機】

日本のニュース

1. ANA、A380定期便復活

全日本空輸は7月1日、成田-ホノルル線を週2往復で再開し、総2階建ての超大型機エアバスA380型機「FLYING HONU(フライング・ホヌ)」を再投入した。A380の本格的な定期便投入は2年3カ月ぶり。再開初便のホノルル行きNH184便は、全3機のうち青い初号機が選ばれ、4クラス520席の座席数に対して414人(幼児5人含む)の乗客を乗せ、成田を午後8時21分に出発した。成田-ホノルル線は通常1日2往復で、1便目のNH184/183便を再開。週末となる金曜と土曜のみ運航する。運航スケジュールは、ホノルル行きNH184便が成田を午後8時10分に出発し、午前8時45分着。成田行きNH183便は午前11時35分にホノルルを出発し、翌日午後2時50分に到着する。2019年5月24日に就航したANAのA380は、全機にハワイの空と海、夕陽をイメージした特別塗装を施しており、初号機が青(ANAブルー)、2号機が深緑(エメラルドグリーン)、3号機がオレンジ(サンセットオレンジ)と1機ごとに色が異なる。機首の表情も、正面を見る初号機、ほほ笑む2号機、まつげを描いた3号機と違いがある。就航していない3号機を除き、当面は初号機と2号機の2機体制で運航する見込み。【Aviation Wire News】

【Aviation Wire提供:2年3か月ぶりに再開したANAホノルル線A380型機】

2.JALもANAも、8-9月サーチャージ大幅引き上げ

日本航空は6月24日、国際線旅客が航空券購入時に支払う燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)について、8-9月発券分を改定すると発表した。円安と原油高がおもな要因で、大幅な引き上げとなる。対象は、8月1日から9月30日発券分。ひとり1区間片道あたりの燃油サーチャージは、日本からハワイを除く北米や欧州、中東、オセアニアは3万6800円から4万7000円に、インドネシアやインド、スリランカ、ハワイは2万3600円から3万500円に引き上げとなる。燃油サーチャージを見直す基準となるシンガポールケロシンの市況価格は、4月から5月までの2カ月平均で1バレル138.52米ドル。同期間の為替平均は1米ドル127.38円で、円換算したシンガポールケロシンの市況価格は1万7644円だった。適用する条件表はZone I(14,000円基準)からZone L(17,000円基準)に、3段階引き上げる。全日本空輸(ANA)もすでに13日、国際線の旅客を対象にした2022年8~9月発券分の燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)を引き上げると発表した。北米や欧州行き(片道)は従来比1万1600円増の4万9000円で過去最高水準となる。ロシアのウクライナ侵攻などを受けた原油高に円安が重なり、燃料価格が高騰していることを料金に反映させる。ハワイ行きは従来比7300円増の3万1100円、タイやシンガポールなどは同5400円増の2万5800円となる。

3.野口聡一宇宙飛行士、IHIのエグゼクティブ・アドバイザーに就任へ

IHIは6月27日、宇宙飛行士の野口聡一氏を「エグゼクティブ・アドバイザー」として招聘し、7月1日付で顧問契約を結ぶことを発表した。野口氏は、1991年に石川島播磨重工業(現:IHI)に入社後、航空宇宙事業本部(当時)に所属し、ジェットエンジンの開発および性能試験業務を担当した過去を持つ。1996年に宇宙飛行士候補者に選定されたのち、IHIを退職し、宇宙開発事業団(現:宇宙航空研究開発機構、JAXA)に入社。3度の宇宙飛行を完遂し、2022年6月をもってJAXAを退職した。IHIによると、野口氏は、これまでの経験と知見をもとにした宇宙開発に関する助言や最新情報の提供に加え、新事業や新たな技術・製品の開発にも携わり、助言を行う予定だという。さらに野口氏は人材育成にも参画するといい、同社グループ従業員との対話イベントや交流などを通じて、従業員のモチベーションやエンゲージメントの向上が期待されるとしている。【マイナビニュース】

【朝日新聞提供:IHIのエクゼクティブ・アドバイザーに就任する野口宇宙飛行士】

4.Space BD、スペースデリバリープロジェクト第2弾が始動 – 宇宙利活用を促進

Space BDは6月22日、宇宙利活用プロジェクト「スペースデリバリープロジェクト – RETURN to EARTH – 」第2弾のキックオフイベントを日本科学未来館で開催した。同プロジェクトは、ISS「きぼう」日本実験棟の中型曝露実験アダプタ(i-SEEP)に搭載された新たな小型簡易曝露実験装置(ExBAS)を活用し、国内外の研究機関・教育機関・民間企業などから提供された対象品を宇宙空間に打ち上げ、一定期間宇宙空間に曝露した後に地上に戻すもの。宇宙航空研究開発機構(JAXA)から事業者選定を受け、Space BDが提供しているサービスとなる。従来の宇宙利用は、大学や研究機関などが専門性の高い宇宙機器の実証のために数千万円から数億円をかけて実施するものだったが、同プロジェクトを利用する場合は、数百万円の費用で宇宙利用が可能だ。また、目的も研究だけにとどまらず、企業のマーケティング活動やキャンペーンなど従来にはなかった目的で参加する企業も多い。スペースデリバリープロジェクトの第1弾は、10組が参加し、研究用素材や、企業のキャンペーンやCMに用いるイラストなどの品を2022年2月20日に打ち上げ、2022年度中の地球への帰還を予定している。【マイナビニュース】

【マイナビニュース提供:「スペース・デリバリー・プロジェクト」キックオフイベント】