KIT航空宇宙ニュース2022WK38
海外のニュース
1.Regent Craft社がサブスケールのシーグライダー・モデルで初飛行に成功
【Regent Craft社提供:初飛行したサブスケールモデルの全電動地面効果航空機】
2.Kittyhawk —Googleの共同創始者 Larry Page氏の 「空飛ぶタクシー」企業が事業停止
Kittyhawkは事業停止すると、10年以上にわたって空飛ぶ車を実現しようとしてきたLarry Page氏がLinkedInに水曜日の午後投稿した。2021年の春、Larry Page氏とCEOのThrun氏との「数ヶ月」の内紛の後、1年前にFlyer プロジェクトをキャンセルし、働いていた70人のチームのほとんどを解雇した。Kitty Hawk がなぜやめたのかは不明だが、Flyer の開発が終了した後に Thrun氏が行ったコメントが手がかりになる。「どんなに一生懸命探しても、実行可能なビジネスへの道を見つけることができませんでした」と語っている。Kittyhawkの終焉にもかかわらず、Larry Page氏の空飛ぶ車の野望は消えていない。CNBCニュースによれば、Kittyhawkとボーイングの間のパートナーシップから2019年に生まれ、同じく「空飛ぶ車」を開発しているWisk Aero社は、今回のKittyhawk社の閉鎖には、影響されないと言っている。【Yahooニュース】
【Kittyhawk社提供:Wisk Aeroが開発中の空飛ぶ車】
3.初飛行に先立ち全電動航空機「Alice」がタキシング・テストを完了
Eviation社が開発中の全電動航空機の「Alice」は、飛行試験の前の最終ステップである高速タクシー試験(High Speed Taxi Test)を完了した。最初の公式飛行の準備として、この試験では、航空機の電気モーターとシステムが、さまざまな速度と操縦操作で正常に作動することを確認した。Eviation社が撮影したビデオには、航空機の機首が何度か地面から離れたが、試験飛行の最終許可が与えられるまで、航空機全体を接地したままにしておく必要がある。この航空機は、2019年のパリエアショーで最初に発表され2024年の商用飛行開始を目指しているが、9人乗り、2人の乗員が搭乗する航空機で、二酸化炭素排出量がゼロで、騒音が大幅に低減され、ジェット機と比較して飛行時間あたりの運用コストが大幅に低い。複合材料を95%使用して製造され、巡航速度は220ノット (405km/h)、最大航続距離は440NM (815km)、ペイロードは 2,500ポンド (1,100 kg) になるように設計されている。この航空機は、magniX社の2つのmagni650電気推進ユニットを搭載しており、Honeywell社製の高度なフライバイワイヤ・システムが搭載されている。Eviation社は、単一容量の高エネルギー密度バッテリー・システムを備えた既存のバッテリー技術を使用し、500マイル未満のルートの特定のニッチ市場に適合することを目指している。【Flightglobal News】
【Flightglobal提供:High Speed Taxi試験中の全電動航空機「Alice」】
日本のニュース
1.トキエア、ATRと10年間の整備契約 新潟県は11億円融資へ
仏ATRは現地時間9月22日、新潟空港を拠点に2023年の就航を目指すとしている地域航空会社「TOKI AIR(トキエア)」と、ATR72-600型機向けにグローバルメンテナンス契約(GMA)を締結したと発表した。トキエアはATR72-600を2機リース導入する見通し。また、新潟県は今年度の補正予算案で、トキエアに融資する方針を示した。GMAの10年契約には、オンサイト在庫、LRU部品プーリングサービス、LRU修理サービス、プロペラブレードやランディング・ギアへのサービスなどが含まれる。トキエアは2機のATR72-600(1クラス72席)のリース契約を、航空機リース会社と締結済み。トキエアは今年秋ごろの就航を目指していたが、長谷川政樹社長が新潟県の花角英世知事に現状を9月21日に報告した際、2023年3月下旬以降に延期したことを明らかにした。機体は11月にも新潟空港に到着する見込みだが、これまでは夏を予定していた。就航を計画している路線は、新潟-札幌(丘珠)、仙台、中部、神戸の4路線。最初の就航地は丘珠で、2023年10月以降に仙台、12月以降に中部や神戸への就航を計画している。就航前には国土交通省からAOC(航空運送事業の許可)を取得する必要があり、安全性や持続的な運航が可能かを、規定や訓練体制などを基に審査される。当初トキエアは国交省の東京航空局(TCAB)に対し、7月下旬にも申請する計画だったが、現時点で11月以降になる見通し。機体の到着やAOCの申請が遅れている背景には、航空会社の立ち上げに必要なノウハウを持つ人材の度重なる離職を指摘する声が、複数の関係者から出ている。安定的な資金調達に加えて人材確保も不可欠だが、関係者からは「資金を調達できても、ノウハウがある人材は限られている」と現状を危惧する声も聞かれる。新潟県は22日に、今年度の補正予算案を発表。一般会計460億円のうち、トキエアに対して就航に必要な資金として11億6000万円を融資する方針で、就航が実現しない場合は政治問題化する可能性もあり、早期の体制安定化が不可欠になっている。【Aviation Wire News】
【乗りものニュース提供:仏ツールーズのATR社で試験飛行中の「トキエア」のATR70‐600型機】
2.ANA「世界一清潔な航空会社」4度目受賞 英SKYTRAX調査で3部門
全日本空輸を中核とするANAグループは9月23日、英国を本拠地とする航空業界調査・格付け会社SKYTRAX(スカイトラックス)社が航空会社を表彰する「ワールド・エアライン・アワード(World Airline Awards)」のうち、機内が世界でもっとも衛生・清潔な航空会社を選出する「World’s Best Airline Cabin Cleanliness」など3部門で、もっとも優秀な航空会社として選ばれたと発表した。また、世界一の航空会社を選ぶ「Airline of the Year」は4位に入った。残り2部門の受賞は、空港サービス全般を評価する「World’s Best Airport Services」、アジアを拠点とする航空会社の中から空港スタッフや客室乗務員によるサービス品質を評価する「Best Airline Staff Service in Asia」。Airline Cabin Cleanlinessは4度目、Airport Servicesは9度目、Airline Staff Service in Asiaは7度目の受賞だという。World’s Best Airline Cabin Cleanlinessは、機内客室の衛生・清潔で最も評価の高い航空会社に贈られる賞。ANAが定めた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策「ANA Care Promise」が高く評価されたという。2位はシンガポール航空、3位は日本航空だった。【Aviation Wire New】
【Aviation Wire提供:SKYTRAXで「世界一清潔なエアライン」に選ばれたANA】
3.コロナ水際対策、10/11から追加緩和 新GoTo「全国旅行割」も
岸田文雄首相は現地時間9月22日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の水際対策を10月11日から緩和し、1日あたりの入国者数の上限を撤廃すると訪問先のニューヨークで発表した。個人旅行の解禁と短期訪日時のビザ免除も同日から実施する。また、観光支援策として「全国旅行割」を11日から始め、インバウンド獲得やコロナで打撃を受けた観光業の復興を目指す。新型コロナの感染拡大により、各国では入国者数の制限が実施されたが、G7(先進7カ国)でコロナ対策として現在も実施しているのは日本のみで、1日あたり5万人を上限にしている。国内の航空会社だけではなく、IATA(国際航空運送協会)も、入国制限を含む水際対策の早期見直しを強く求めていた。日本航空の赤坂社長は22日、「外国人観光客の入国が本格的に再開されることになる。当社としてもしっかり準備してお客様をお迎えし、日本経済の活性化に貢献したい」とのコメントを発表。「Go To トラベル」に代わる全国旅行割の発表を受け、23日に「国内はビジネス需要に比べ、観光需要の戻りは遅れており、今後飛行機を利用する観光のきっかけになることを期待したい」とコメントした。全日本空輸の井上慎一社長は23日、「インバウンドはコロナ前に5兆円の消費があり経済効果が大きい。外国人にとって現在の円安は大きな魅力で、水際の緩和により、訪日が促進される」と期待感を示し、全国旅行割については「世代を超えて皆さんが心待ちにされていた。日本全国で地域経済が活性化することを確信している」と述べた。両社とも、水際対策の緩和が発表されるごとに国際線の予約が日本発、海外発とも発表前の週と比べて1.5倍から2倍程度の伸びを示しているといい、全国旅行割の実施で国内観光を含めた回復につなげる。【Aviation Wire New】
4.スカイマーク、MROジャパンに整備委託へ コロナで海外委託に制限
スカイマークは9月22日、那覇空港にある整備会社MRO Japan(MROジャパン)と整備作業の基本契約を締結したと発表した。自動車の車検にあたるCチェック(重整備)をはじめとした整備作業を、MRO Japanへ委託できるようになる。スカイマークは現在、整備作業を海外企業に委託している。同社の洞駿(ほら・はやお)社長はMROジャパンとの基本契約締結についてコメントを発表し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的拡大により、海外での整備委託に制限を受けたことから国内企業への委託に向け締結したと説明した。ANAホールディングスなどが出資するMROジャパンは2019年1月から那覇で事業を開始し、前身の全日空整備時代から使用してきた伊丹空港の格納庫から全面移転した。ANAグループの機体を中心に日常の整備やCチェック、塗装作業などを手掛けている。【Aviation Wire New】
【Yahooニュース提供:那覇空港にあるMROJapanの格納庫】
5.ANA、ボーイングのAI新技術導入 機体の異常検知
ボーイングは現地時間9月20日、運航に影響のある問題を人工知能(AI)を活用して対処する「インサイトアクセラレーター」(IA)を、全日本空輸がローンチカスタマーとして導入すると発表した。アルゴリズムを使用し異常を分類・検出するクラウドベースの技術で、問題が発生する前に特定・対処が可能となる。IAはクラウドを活用した予知保全ソフトウェアで、AIが複雑なデータを理解することで運航に影響を及ぼす問題を発生前に特定・対処できるようになる。コーディングやプログラミングなどの技能を必要とせず、アルゴリズムを用いる。導入により、機体稼働率や定時運航など運航スケジュールの信頼性のほか、業務効率の向上にもつながる。ボーイングによると、ANAが主力機として導入している中型機の787型機をはじめとする最新民間機では、大量の飛行データが残されるものの、多くの航空会社は情報を管理・活用するためのインフラを欠いているという。IAはアルゴリズムで異常を分類・検出し、アラートを作成。航空会社はメンテナンスや修理など、問題発生前の対処が可能となり、予定外の遅延を防止できるようになる。【Aviation Wire New】
6.名商、航空機ビジネスプロフェッショナル養成講座 9/27から12回
名古屋商工会議所は、航空機産業への新規参入やビジネス拡大を考える企業などを対象に「航空機ビジネスプロフェッショナル養成講座」を9月27日から開催する。会場参加に加え、ビデオ会議システム「Zoom」によるオンライン参加も受け付ける。名古屋大学で2020年度まで開かれていた講座の理念を継承し、2021年度からスタートして今回で2年目。航空機産業の各分野の第一線で活躍する講師陣を迎え、開発・設計・製造から販売、運航、整備など幅広い分野の講座を、2023年3月まで全12回開催する。年内は9月27日、10月11日、27日、11月8日、22日、12月6日、20日、2023年は1月17日、31日、2月21日、3月7日、14日に開催。時間は毎回午後3時30分から午後5時30分まで。会場とZoomによるウェビナーのハイブリッド開催で、会場は名古屋商工会議所5階D会議室。定員は会場参加が40人、オンラインが60人で、資料配付は会場のみ。参加費(税込)は、選択数2-6講座が名商会員2万5000円、非会員3万5000円、選択数7-12講座が会員5万円、非会員7万円で、1講座のみ聴講したい場合は相談に応じる。また、学生は先着10人まで参加費無料。申し込みは名商ウェブサイトの申込フォームからから。【Aviation Wire New】
【Yahooニュース提供】