KIT航空宇宙ニュース2022WK47

ANAとJAXAが協力し、地球温暖化ガスの大気観測を実施
KIT航空宇宙ニュース

KIT航空宇宙ニュース2022WK47

海外のニュース

1.Aura Aeroは、電動リージョナル航空機に明るい未来を見据えている。

フランスの新興企業 Aura Aero は、2024年後半の初飛行目標を維持するため、電動リージョナル航空機 (ERA) の最終設計にあと数週間まで来ている。最大1,000nm (1,850km) のフライトで 19人の乗客または2.5 トンの貨物を運ぶように設計されたハイブリッド電動ERA は、2027年に就航する予定。ERAの現在の設計では、翼に沿って配置された6つの電気推進ユニットを備えた航空機が示されている。離陸時には約2MWの電力が必要。流線型の胴体と、ツインの垂直安定装置を備えた特徴的な尾翼を持つ。【Flightglobal News】

【Aura Aero提供:Aura Aeroが設計中のハイブリッド電動リー上なる航空機】

2.新しいFAAパイロット訓練のガイドラインは、手動操縦技量不足に対処するのが目的

米国連邦航空局は、航空会社のパイロットが高度に自動化された最新の航空機を効果的に管理するための適切な訓練を受け、テクノロジーに頼りすぎないようにすることを目的とした幅広い推奨事項を発行した。11月22日に発表されたこのレポートは、737Maxの2件の致命的な墜落事故に端を発した2020年の法律の条項に対するFAAの対応でまた、2013年に発生したアジアのボーイング777-200ERの墜落事故で浮き彫りになった懸念にも対応している。この報告書は、「飛行経路管理」(適切な航空機の軌道とエネルギーの計画、実行、および保証を意味する広義の用語)に具体的に対処する勧告です。「飛行経路管理は、高度に自動化されたシステムを備えた航空機の運航において特に重要である」と FAA は述べている。また、「飛行機が自動操縦の場合でも、乗務員は常に航空機の飛行経路を認識し、必要に応じて手動で介入できる必要がある。」と述べている。【Flightglobal News】

【Flightglobal News提供】

日本のニュース

1.「会話は相手がいて成り立ちます」高校生がグランドスタッフ体験 成田空港で航空教室

成田空港活用協議会は11月23日、千葉県内の高校生を対象に、航空業界の仕事に興味を持ってもらおうと体験型の航空教室を開催し、約80人が参加した。高校生たちは空港のカウンター業務などに携わるグランドスタッフ(地上係員)と、機体を整備する整備士の2職種に分かれて参加。グランドスタッフ体験は、日本航空の100%子会社で、旅客サービス業務を請け負うJALスカイのグランドスタッフが講師を務め、高校生たちはチェックインカウンターや搭乗口の業務を体験した。カウンター業務では、乗客に危険物の有無を確認したり、搭乗便の貨物室に預ける手荷物に付けるさまざまなタグがあることなどをグランドスタッフたちが説明。搭乗口では、お辞儀の仕方や笑顔が相手に与える印象、言葉づかいなどを実演した。また、出発ゲートのアナウンス体験も行われた。講師を務めたグランドスタッフは、笑顔の練習で「マスクをしているからこそ、目がポイントです」と表情の大切さに振れ、「会話は相手がいて成り立ちます。伝わらなければ説明しなかったのと一緒です」と語りかけ、高校生たちは熱心にメモをとっていた。【Aviation Wire News】

【Yahooニュース提供:成田空港でJALスカイの社員から熱心に話を聞く高校生】

2.ANA、客室窓から温室効果ガス測定

全日本空輸は11月24日、航空機やドローンからの温室効果ガス測定について、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と調査業務契約を締結したと発表した。JOGMECは衛星や航空機などでの温室効果ガス測定を重要視しており、温室効果ガスを上空から協働で測定する。今回の「2022年度 航空機等による温室効果ガス測定技術調査」では、ANAの航空機とJAXA(宇宙航空研究開発機構)の温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」を組み合わせ、メタンを始めとした地上の温室効果ガスを上空から測定。ANA機の客室窓から太陽光の反射光を計測する。同調査では、衛星やドローンを用いて上空から温室効果ガスを測定する「トップダウン手法」を採用。高度666キロ地点から測定するいぶきは測定範囲が直径10キロだが、上空10キロ地点を飛行する航空機からは200メートル範囲を測定でき、より細かいデータの取得を期待できる。温室効果ガスの中でも地球温暖化係数(GWP)が二酸化炭素(CO2)の25倍以上となるメタンの排出削減は、国際的にも重要な課題となっている。今回の共同調査では、ANAとJAXAが以前から検証を進めてきた人工衛星と旅客機から都市域の大気成分などの分布を観測する「リモート・センシング」技術を用いて、機体からの温室効果ガス測定手法のノウハウを活用。機体を改修せずに地表面のメタン測定を可能とする手法に取り組む。また、ドローンを活用したトップダウンによるメタン測定も計画する。【Aviation Wire News】

【Aviation Wire提供:ANA航空機と大気観測衛星「いぶき」を使った温暖化ガス測定】

3.JALとヤマトA321P2F貨物機、カタール航空機を改修

日本航空とヤマトホールディングスが、エアバスA321ceo P2F型貨物機で2024年4月から運航する貨物便。東京(成田・羽田)-札幌(新千歳)と北九州、成田-那覇、那覇-北九州の4路線を1日21便運航する。首都圏から北海道や九州、沖縄への長距離トラックによる宅急便輸送の一部を補完するもので、ヤマトが貨物機を導入するのは初めて。また、国内の航空会社がA321P2Fを運航するのも初となる。A321P2Fは旅客機を貨物機に改修するもので、ベースになった機体はカタール航空のA321ceo。今回A321P2Fに改修される機体は、エンジンが当初運航会社として予定していたジェットスター・ジャパンのA320と同じIAE製V2500であることや、機齢が12年程度と貨物機としての運航に支障がないこと、機体の状態の良さなどから選ばれたようだ。運航は当初JALが50%出資し、A320とA321LRを運航するジェットスター・ジャパンとしていたが、2021年6月に連結子会社化したスプリング・ジャパン(旧春秋航空日本)に変更した。A321P2Fの整備も、両社と同じくグループの整備会社JALエンジニアリング(JALEC)が受託する。【Aviation Wire News】

【Yahooニュース提供:ヤマト運輸の貨物機A320P2F型機】

4.超小型探査機「OMOTENASHI」は月面着陸を断念、夏までには復旧する可能性も

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は11月22日、通信が途絶えていた超小型探査機「OMOTENASHI」について、状況を説明した。同探査機は同日0:54ごろに月へ最接近したが、これまでに通信が回復せず、月面への着陸を断念。これを受け、JAXAは同日、運用異常対策チームを発足し、原因の究明と今後の対応検討を進めていくことを明らかにした。OMOTENASHIは16日15:47(日本時間)、米国の有人宇宙船「Orion」へ相乗りする形で、超大型ロケット「SLS」(Space Launch System)初号機にて打ち上げられた。日本初、そして世界最小サイズでの月面着陸を目指していたが、ロケットから分離後にトラブルが発生。最初の可視で通信を確立したとき、探査機は約80度/秒という異常な速さで回転していた。太陽電池パネルに太陽光が当たらない状態であったため、ガスジェットを噴射して回転を止めたり向きを変えたりしようとしたが、電圧の低下により通信が途絶。JAXAは地上からコマンドを送り続け、探査機からの反応を待ち続けた。JAXAは、OMOTENASHIの国内局での運用には臼田局を使う計画だったが、ビーム幅がより広い内之浦局34mアンテナに変更するなどして、探査機からの反応を待ったが、電波は受信できず、まずDV1を断念。プランBとして用意していたDV2のみによる着陸を目指すことにした。【マイナビニュース】

【マイナビニュース提供:予定していた「OMOTENAHI」ミッションシーケンス】

5.isapce、「HAKUTO-R」ミッション1の打ち上げ日を11月30日に変更

ispaceは11月24日、11月28日に予定していた民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」ミッション1の打ち上げ予定日時を11月30日に変更したことを発表した。これは、天候不順の影響でispaceのミッション1と同じ射場(米ケープカナベラル宇宙軍基地)で先に打ち上げを予定していた他社ミッションの打ち上げ日の延期に伴うもので、打ち上げを実施するスペースXとの協議の結果、打ち上げ予定日時を11月30日17時39分(日本時間)と再設定したという。なお、ミッション1で打ち上げるランダーをロケットのフェアリングに搭載する作業自体は計画通り進行しているという。【マイナビニュース】

【ispace提供:「HAKUTO-R」ミッション1で月に運ばれる7つの荷物】