KIT航空宇宙ニュース2024WK11
海外のニュース
1. ボーイング、737MAX製造工程で89件中33件不合格 787内部告発者は死亡
ボーイング737 MAX 9(737-9)のドアプラグが離陸直後に脱落した1月の事故後、FAA(米国連邦航空局)が実施した737 MAXの製造工程の監査で、89件中33件が不合格だったことがわかり、ニューヨーク・タイムズが現地時間3月11日に報じた。また、787の製造工程の問題点を内部告発したノースチャールストン工場の元従業員が遺体で見つかったと、BBCが11日に報じた。ボーイングの不具合は慢性化しており、航空会社への納入遅延も常時発生している。FAAは、今年1月5日に米オレゴン州のポートランド国際空港で起きたアラスカ航空の737 MAX 9のドアプラグが脱落した事故後、ボーイングの生産体制に対する監視を強化。マイケル・ウィテカー長官は24日、「このプロセスで明らかになった品質管理上の問題が解決されたと我々が納得するまで、ボーイングからの生産拡大要請や、737 MAXの生産ライン増設の承認には応じない」との声明を発表している。サプライヤーの米スピリット・エアロシステムズも含めて監視を強化しており、ニューヨーク・タイムズがFAAの説明資料を確認したところ、スピリットに焦点を当てた監査では13件中7件が不合格だったという。FAAは3月4日に、ボーイングの製造工程管理、部品の取り扱いと保管、製品管理に関するコンプライアンス違反の問題を特定したと発表。FAAはボーイングに対し、行動計画の概要を示すために90日間の猶予を与えているほか、スピリットの施設に対する立入調査を継続する見通し。ボーイングは737 MAXのほか、787の製造工程でも以前から問題が指摘されている。米サウスカロライナ州にあるボーイングのノースチャールストン工場で品質管理者として働き、製造工程の問題点を内部告発したジョン・バーネット氏(62)が3月9日、チャールストンで遺体となって発見されたことをBBCが11日に報じた。BBCの報道によると、バーネット氏は、2017年に健康上の理由で退職するまでボーイングに32年間勤めており、亡くなる数日前に内部告発訴訟の証拠を提出していたという。BBCの報道によると、バーネット氏は2019年のBBCによる取材に対し、生産ラインで会社側からプレッシャーを掛けられた作業員が、基準を満たしていない部品をゴミ箱から持ってきて機体に取り付けることもあったという。【Aviation wire news】
【FlyTeam提供:Boeingチャールストン工場】
日本のニュース
1. JAL、小松空港の新卒・既卒募集 初任給20万円台に引き上げ
日本航空の100%子会社で、小松空港のハンドリング業務を担うJALスカイ金沢は、2025年度入社の新卒採用と2024年度の期中採用を始めた。初任給を2年連続で1万5000円引き上げ、同社では初めて20万円台に乗った。採用数はいずれも若干名。新卒採用のうち、航空機の牽引や貨物の搭降載などのグランドハンドリング(グラハン:航空機地上支援)業務部門は、今年4月から2025年3月までに高校、専門学校、高専、短大、4年制大学、大学院を卒業・修了見込みの人が対象となる。旅客サービスを担うグランドスタッフ(地上旅客係員)が所属するパッセンジャートラフィック業務部門は、今年4月から2025年3月までに専門学校、高専、短大、4年制大学、大学院を卒業・修了見込みの人が対象で、英検2級かTOEIC550点以上程度の語学力を有していることが望ましいとしている。2部門とも初任給は今年4月から1万5000円引き上げ、20万4000円。雇用形態は正社員で、採用後3カ月間の試用期間がある。新卒の応募締切は4月30日必着。選考スケジュールは、グラハンの試験・面接が6月14日、グランドスタッフは6月12日で、内定式はともに10月2日、入社式は2025年4月1日となる。期中採用の応募締切も4月30日で、選考スケジュールは、2部門とも試験・面接を5月31日に実施する。入社日は会社が指定する日で、相談に応じる。【Aviation wire news】
2. ANA、初任給最大1.6万円引き上げ 4月入社から、大卒CAは21万円
ANAホールディングス傘下の全日本空輸は3月12日、今年4月以降の新卒社員の初任給を引き上げると発表した。2023年4月に続く2年連続の措置で、採用競争力を高める。引き上げ幅がもっとも大きい客室乗務員は1万6000円で、4年制大学卒の初任給は21万221円、引き上げ率は8.2%となる。そのほかの職種も1万1000円引き上げる。最大の引き上げ幅となった客室乗務員は、4月以降の初任給が短大卒等20万2319円(引き上げ率8.6%)、4大卒21万221円(8.2%)、大学院卒21万3521円(8.1%)。現在の初任給は短大卒18万6319円、大卒19万4221円、院卒19万7521円で、引き上げ幅は一律1万6000円となる。そのほかの職種も一律1万1000円引き上げる。4月以降の初任給は、パイロットが大卒24万4346円(4.7%)、院卒25万3004円(4.5%)、グローバルスタッフ職(旧総合職)が大卒24円9557円(4.6%)、院卒26万2077円(4.4%)、障がい者採用のエキスパートスタッフ職が短大卒20万8632円(5.6%)、大卒22万2312円(5.2%)、院卒22万8092円(5.1%)となる。また、グローバルスタッフ職は2025年まで3年連続の引き上げが決定。3月1日から募集を始めた2025年度入社の大卒は443円(0.18%)引き上げて25万円とする。航空業界は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)影響を受け、人材確保が急務となっており、ANAは採用競争力を強化する。【Aviation wire news】
3. スペースワンのカイロスロケット初号機の打ち上げは失敗、リフトオフ直後に爆発
スペースワンは2024年3月13日11時1分12秒、民間ロケット射場「スペースポート紀伊」から小型固体燃料ロケット「カイロスロケット初号機」の打ち上げを行ったが、機体はリフトオフから数秒ほど後に爆発し、バラバラとなり地上へと落下した。打ち上げ直後に飛行中断措置を行ったという話も出ている模様だが、その理由などは不明である。カイロスロケット初号機は3段式の固体燃料と液体推進系キックステージ(PBS)で構成され、全長約18m、直径は代表径が1.35m、フェアリング径が1.5m、全備重量約23トン。太陽同期軌道(SSO)に150kg、地球低軌道(LEO)に250kgの人工衛星を打ち上げる能力を有しており、今回の打ち上げでは、内閣衛星情報センターの「短期打上型小型衛星」が搭載されていた。同ロケットは、国の基幹ロケットである「イプシロン」を一回り小型にしたような印象。実際、同社の設立には、イプシロンなど日本の固体ロケットを牽引してきたIHIエアロスペースが関わっており、技術的には近いと見られる。【マイナビニュース】
【産経ニュース提供:打上げ数秒後に爆発した「カイロス」】