KIT航空宇宙ニュース2025WK33
海外のニュース
1. ルフトハンザ・テクニック、A330のAeroSHARK認証プロセスを開始
ルフトハンザ テクニックは、A330ceo向けにAeroSHARKの認証プロセスを開始した。これにより、BASFコーティングスと共同開発した抗力低減と燃費向上を実現するリブレットフィルムの恩恵をまもなく受けるエアバス機初のモデルとなる。当局による認証は、A330-200およびA330-300の胴体およびナセルの連続改造を可能にする追加型式証明(STC)を通じて取得される。リブレット技術による空気抵抗低減効果は巡航飛行時に最も顕著であることが知られており、長距離路線の航空機はこうした改修の有力な候補となる。ルフトハンザ・テクニックは既に、ボーイング777-300ER、777-200ER、そして777Fに対するAeroSHARK改修の認証を取得している。民間航空での使用を目的とした航空機の改造には、航空当局からの正式な承認が必要。認証プロセスには、厳格な航空安全基準への適合性を保証するための詳細な分析と試験運用が含まれている。各航空機モデルおよび追加用途分野における改造には、それぞれ独自の追加型式認証が必要でA330の場合、このプロセスは2026年に完了する予定。【Lufthansa Technik News】

【Lufthansa Technik提供:AeroSHARKフィルムの効果】
日本のニュース
1. JAL鳥取社長、雨の御巣鷹山で献花 日航機事故40年
乗客乗員520人が亡くなった日本航空123便墜落事故から、8月12日で40年が経った。12日は、墜落現場となった群馬県多野郡上野村の御巣鷹山を多くの遺族や関係者らが早朝から訪れた。JALによると12日午前11時の時点で、昨年の同時刻よりも9家族36人多い76家族264人の遺族が御巣鷹山を訪れた。これまでの過去最多は事故後30年の2015年で、午後4時の時点で106家族406人だった。鳥取三津子社長は午前11時57分すぎ、時折雨脚が強くなる中、山頂付近にある標高1539メートル地点の「昇魂之碑」を訪れ、御巣鷹山の2代目管理人、黒沢完一さんにあいさつして献花し、線香をたむけた。【Aviation wire news】

【Yahooニュース提供:御巣鷹の尾根にある昇魂の碑に献花する、JAL鳥取社長】
2. ANA、正答率86%の乱気流予測システム導入 慶應発BlueWXが開発
全日本空輸は、国内のAIスタートアップ企業BlueWX(ブルーウェックス、港区)が開発した高精度乱気流予測システムを7月28日から正式導入した。AI(深層学習)を活用し、複雑な気象情報とパイロットの報告を学習させることで、乱気流発生の特徴を捉える仕組みで、日本上空モデルでは正答率86%を達成している。このシステムは、ANAホールディングスと慶應義塾大学の共同研究として2019年に始動。成果を基に、2023年7月に設立された慶應発ベンチャーであるBlueWXが提供している。開発過程では、ANAグループ所属のパイロット2500人以上を対象に評価を4年間行い、予測精度と信頼性を高めた。世界の航空会社から収集した乱気流データも加えて改良し、国際市場向けのモデルに仕上げた。従来の予測手法が定型的な指標に依存していたのに対し、新システムは膨大な気象データと、過去10年以上にわたる数万件の報告情報を解析。予測が難しかった現象も精度高く捉えられるようになった。BlueWXは、国内外の航空会社への販売を開始している。【Aviation wire news】

【Aviation Wire提供:慶応発BlueWX社が開発しANAが導入した乱気流予想システム】
3. 6月の定時到着率、ANA・JALが全世界トップ10入り 首位はサウディア=英Cirium
英国のデータ分析会社「シリウム(Cirium)」が公表した2025年6月の航空会社別の定時到着率によると、運航規模の大きな航空会社を示す「グローバル(全世界)」部門は、サウジアラビア国営のサウディア(前サウジアラビア航空)が首位を獲得した。日系大手2社のうち全日本空輸は4位で、2カ月連続でトップ10入り。日本航空も7位にランクインし、9カ月ぶりにトップ10へ返り咲いた。航空会社別のデータでは「アジア太平洋」と「北米」「欧州」「中南米」「中東・アフリカ」の5地域別に集計。便数や提供座席など運航規模が大きく、アジアや欧州、北米など3地域以上に就航する航空会社を「グローバル」とし、定刻に対して15分未満の遅延を「定時到着」と定義する。【Aviation wire news】
4. 地球観測衛星「いぶきGW」、温室効果ガスセンサの初観測に成功
H-IIA最終50号機によって6月29日に打ち上げられた、温室効果ガス・水循環観測技術衛星「GOSAT-GW」(愛称:いぶきGW)。いぶきGWに搭載された、温室効果ガスを観測するセンサ「TANSO-3」による初観測を行い、正常動作していることを確認したと、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が8月8日に発表した。いぶきGWは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と環境省、国立環境研究所(NIES)が共同開発した地球観測衛星。宇宙から地球の水と温室効果ガスを観測できるよう、ふたつのミッション機器として「高性能マイクロ波放射計3」(AMSR3:Advanced Microwave ScanningRadiometer 3)と、「温室効果ガス観測センサ3型」(TANSO-3:Total Anthropogenic and Natural emissions mapping SpectrOmeter-3)を搭載している点が特徴だ。現在は打ち上げ後の初期段階において、センサを含む衛星が所定の機能性能を軌道上で有しているかを確認する「初期機能確認運用」を実施中。7月14日から7月20日にかけて、同衛星に搭載したセンサのうちTANSO-3による初観測を実施し、センサが正常動作していることを確認した。【マイナビニュース】

【JAXA提供:TANSO-3による観測画像。左上の(a)が7月14日の全球観測、右の(b)が東京の精密観測で、(c)は(b)から取得した分光データ】