KIT航空宇宙ニュース2023WK41

中国のEHang社が開発していたeVTOL機「ES216-S」の世界初となる型式証明を中国航空当局(CAAC)から取得
KIT航空宇宙ニュース

KIT航空宇宙ニュース2023WK41

海外のニュース

1.ボーイング、NASA、ユナイテッド航空、飛行機雲と排出ガスに対するSAFの影響を研究へ

ボーイングはNASAおよびユナイテッド航空と協力して、持続可能な航空燃料(SAF)が飛行機雲や非炭素排出に及ぼす影響を理解するため試験を実施するとともに、航空のライフサイクルにおける気候への影響を軽減する可能性も評価する。 この研究開発では、ボーイング社の2番目のecoDemonstrator Explorer、ユナイテッド航空への引渡しが予定されている737-10航空機を利用する。  テスト中、この航空機は 100% SAF と従来のジェット燃料を別々のタンクに搭載し、これらの燃料を交互に使用できるようにする。NASAのDC-8空挺科学研究所は、民間ジェット機を追跡して、各燃料タイプによって生成される排出量を測定し、飛行機雲の氷の粒子の形成を監視する予定です。さらに、NASAの衛星は飛行機雲の発達の画像を撮影する予定です。 この共同の取り組みの主な目的は、高度な燃料、エンジン燃焼器の設計、および関連技術が大気温暖化の緩和にどのように役立つかについて洞察を得ることです。このテストでは、飛行機雲、つまり航空機が冷たくて湿った空気を横切るときにできる、残る結露の跡に対するSAFの影響を特に評価することになっている。飛行機雲の正確な影響は引き続き研究の対象となっているが、特定の種類の飛行機雲は地球の大気中に熱を閉じ込める効果があることが示唆されている。【Flightglobal News】

【Boeing提供:ユナイテッド航空に引渡し予定の「EcoDemonstrator737MAX-10」】

2.EHangが世界初の自律型eVTOL認証を取得、

EHangは、自律型EH216-Sの中国での自社航空機の認証を取得した世界初の電動垂直離着陸(eVTOL)開発者となった。10月13日に中国民用航空局(CAAC)によって発行されたこの認証(型式証明)は、米国株式市場に上場している同社にとって大きなマイルストーンとなる。EHangによるEH216-Sの型式証明申請は2021年1月にCAACに受理され、CAACは2022年2月に同航空機の認証特別条件を発表していた。マルチコプターの評価は中国全土の複数の場所で行われ、40,000 回以上のテスト飛行が行われた。EH216-S は、最大16海里(30 km)の距離を、最大離陸重量制限 620 kg (1,370 ポンド) 以内で 2 人の乗客と荷物を運ぶことができる。【Flightglobal News】

【EHang提供:CAACから型式証明認証を取得したEhang社のeVTOL機「ES216-S」】

日本のニュース

1.スカイマーク、24年度入社の新卒募集 総合職2コース16人

スカイマークは10月13日、2024年度入社の新卒・秋採用を実施すると発表した。総合職(総合企画コース、技術企画コース)を2コースで16人募集する。応募期間は16日から29日まで。総合企画コースは10人募集。運航管理などの空港オペレーション、運航・客室部門の現業サポート、営業部門などコーポレート部門を担当する。技術企画コースは6人募集し、整備・運航部門での間接業務を担当する。応募資格は今年4月から2024年3月までの間に、国内外の4年制大学か大学院を卒業・修了見込みの人。両コースとも学部学科の指定はない。募集期間は10月16日午後3時から29日午後11時59分まで。選考方法は書類選考、適性検査、面接などを予定しており、詳細は16日午後3時にマイナビ2024の同社ページに掲載する。【Aviation wire news】

2.長崎空港24時間化へ、ソラシド12月も早朝・夜間便

ソラシドエアは10月11日、羽田-長崎線で早朝・夜間の臨時便を12月も設定すると発表した。長崎県などが参画する協議会が目指す長崎空港の24時間化に向けた実証運航で、12月は月末の土日に4便設定する。長崎深夜便は8月と9月に続き3回目。羽田発は土曜にあたる12月23日と30日で、夜に長崎へ到着する。長崎発は翌日曜の24日と31日で、早朝発となる。運航スケジュールは、長崎行き6J81便が羽田を午後8時10分に出発し、午後10時25分着。羽田行き6J82便は午前6時25分に長崎を出発し、午前7時55分に到着する。ソラシドの長崎深夜便は今回で4回目。初回となった8月は羽田発と長崎発で2便ずつ、計4便運航し、9月も2便ずつ設定した。臨時便に合わせ、長崎空港を発着するバスも臨時便を今回も運行する。空港発は23日と30日の長崎駅行きとハウステンボス・佐世保・佐々バスセンター行き、空港行きは24日と31日の長崎駅発と佐々バスセンター・佐世保発で設定する。長崎空港は国管理空港で、運用時間は午前7時から午後10時までの15時間。県や周辺自治体らが参画する長崎県空港活性化推進協議会は、長崎空港の24時間運用を目指しており、ソラシドが設定する今回の臨時便は協議会が助成する。【Aviation wire news】

3.JAL、パイロットと企画職のインターン募集

日本航空は10月11日、自社養成パイロットと業務企画職のインターンシップの募集を始めた。業務体験などを通じて航空業界への理解を深めてもらう。業務企画職のインターンシップは、4年制大学または大学院、高専専攻科の在籍者が対象。「総合体験プログラム」と「エアラインエンジニアプログラム」を用意し、総合体験プログラムの対象は業務企画職のコーポレートコース、オペレーションコース、ビジネス・マーケティングコース、数理・ITコースで、エアラインエンジニアプログラムはエアラインエンジニアコースが該当コースとなる。総合体験プログラムは、グループワークや社員との交流を中心とした2日間の企業研究編と、実際の職場での業務体験などを含めた3日間の実践編で構成。企業研究編は12月、実践編は2024年2月に実施を予定している。参加人数は250人程度となる見込みで、対面で実施する。エアラインエンジニアプログラムは、4日間の実践編を1月から2月に開催。企業研究編は、冬のインターンシップから参加する人向けに半日程度用意する。参加人数は120人程度を予定しており、対面で実施する。運航乗務職(自社養成パイロット)のインターンシップも、4年制大学または大学院、高専専攻科の在籍者が対象。12月から1月の期間中、オンラインで2日間開催する。エントリーはJALのインターンシップページから。締切は業務企画職の総合体験プログラムが11月3日、エアラインエンジニアプログラム実践編が21日、自社養成パイロットが12日となる。客室乗務員志望者向けのイベントは、10月下旬に改めて発表するという。【Aviation wire news】

4.航大卒業生のマイクロジェット、ビジネスジェット事業開始 元SKY西久保氏が会長

航空大学校の卒業生が起業したビジネスジェット(BJ)チャーター会社のマイクロジェット(東京・新宿)は10月10日、事業を開始したと発表した。双発ジェット機セスナC510「サイテーション ムスタング」を使い、法人の国内出張需要の取り込みを目指す。航大卒業生4人が今年1月23日に設立し、8月3日付で航空運送事業の許可(AOC)を国から取得した。スカイマーク元社長の西久保愼一氏が会長を務め、資金提供と経営指導を担う。運航範囲は国内で、パイロット7人と整備士2人の陣容でスタートした。ビジネスジェットでは小型となるムスタングは、パイロットのほかに乗客4人が乗れる。航続距離は2161キロで、世界でもっとも小型のジェット機を使うことで低コストを実現するという。法人契約のほか、販売代理店となるSKY TREK(スカイトレック)、ARI Air(アリラ)、Air X(エアーエックス)のいずれかを経由した申し込みにも対応する。このうち、SKY TREKとは海外からの富裕層向けツアーを鳥取県で準備中。12日には鳥取空港で平井伸治知事が試乗する。マイクロジェットでは、鳥取の観光地である大山(だいせん)や宍道湖・中海の遊覧飛行や農業体験など、日本文化を深く知るツアーにビジネスジェットを組み込む提案も代理店などと進めていく。【Aviation wire news】

【Yahooニュース提供:マイクロジェットが使用する小型ジェット機「サイテーション・ムスタング」】

6.SkyDriveが製造子会社を設立、スズキの工場を活用して年間最大100機を製造

SkyDriveは10月10日、2023年9月1日付で「空飛ぶクルマ」の商用機「SKYDRIVE(SD-05型)」の製造に向けた製造子会社「株式会社Sky Works」を設立したことを発表した。同子会社はスズキとの協業を踏まえ、磐田市にあるスズキグループの工場を活用する形で、年間最大100機の空飛ぶクルマの製造を計画している。なお、同工場での製造開始は2024年春ごろを目指すとしている。【マイナビニュース】

【マイナビニュース提供:SkyDriveが製造を予定している磐田市にあるスズキの工場】