KIT航空宇宙ニュース2023WK15

iSpaceの月面着陸ミッションが順調に進んでいる。早ければ4月26日に月面着陸が行われる予定。
KIT航空宇宙ニュース

KIT航空宇宙ニュース2023WK15

海外のニュース

1. 737MAX、納入を一部停止 スピリット製部品の品質問題

ボーイングは、737 MAXの納入を一部停止したと現地時間4月13日に発表した。サプライヤーの米スピリット・エアロシステムズから供給された部品の一部に問題があることが判明したという。一方、運航の安全性に影響はないとしている。ロイター通信やブルームバーグなどの現地報道によると、後部胴体と垂直尾翼を結合するスピリット製の2つの金具が、ボーイングへ納品される前に胴体の構造部材に正しく取り付けられていなかったことが判明。737-8(737 MAX 8)、737-8の座席数をLCC向けに増やした737-8-200(737 MAX 200)、737-7(737 MAX 7)、737-800を母体とするP-8A哨戒機に影響するという。737-9(737 MAX 9)は他社の金具を使用しており、不具合の対象外だった。一方で、不具合は4年前の2019年に製造された機体まで及ぶ可能性が指摘されており、ボーイングは対象機数を調べている。製造中や引き渡し待ちの機体にも影響が及ぶ可能性がある。737 MAXは、2018年10月と2019年3月の合わせて二度の墜落事故を起こし、2020年11月にFAA(米国連邦航空局)が引き渡し再開や運航再開を承認。生産レートを今年6月までに31機から38機に引き上げる目標を掲げていた。日本の航空会社では、全日本空輸を傘下に持つANAホールディングス、スカイマーク、日本航空の3社が発注済み。ANAHDが2022年7月に737-8を最大30機(確定発注20機、オプション10機)、スカイマークが今年1月に737-8と737-10を最大12機(確定発注:2機ずつ計4機、オプション:1機ずつ計2機、リース:737-8を6機)、JALが3月に737-8を21機すべて確定発注した。【Aviation Wire News】

【Aviation Wire提供:ボーイング737MAX】

2. 1月の航空需要、コロナ前8割超まで回復=IATA旅客実績

IATA(国際航空運送協会)の2023年1月世界旅客輸送実績によると、国際線と国内線の合計は、座席供給量を示すASK(有効座席キロ)が前年同月比35.5%増(19年同月比13.5%減)、有償旅客の輸送距離を示すRPK(有償旅客キロ)が67.0%増(15.8%減)となった。ロードファクター(座席利用率、L/F)は14.7ポイント上昇(2.1ポイント低下)の77.7%だった。中国が2022年12月にゼロコロナ政策を緩和したことから、中国の国内線が回復。全体の数値を押し上げ、新型コロナ前と比べると全世界で8割以上まで回復した。対象は日本を含むアジア太平洋と、欧州、北米、中東、中南米、アフリカの6地域で、航空会社の国籍を基準に調査。国際線と国内線の合計を地域別で見ると、アジア太平洋地域はASKが58.8%増、RPKが2.14倍で、L/Fは20.2ポイント上昇の77.4%だった。L/Fは6地域すべてで上回った。欧州は13.0ポイント上昇の76.2%、北米が12.5ポイント上昇の78.4%、中東が20.1ポイント上昇の79.1%、中南米が2.8ポイント上昇の81.3%、アフリカが12.8ポイント上昇の74.2%だった。ASKとRPKは、6地域すべてで増加した。【Aviation Wire News】

3. ESA主導の木星氷衛星探査計画JUICEが打ち上げ、木星到着は2031年を予定

木星に向けてJUICEは、月と地球→金星→地球→地球と順にスイングバイ(フライバイ)を実施。2031年7月に木星軌道に到達予定で、木星の大気や磁気圏の観測などを行うほか、木星の衛星「カリスト」に30回以上、「エウロパ」に2回のフライバイ観測を実施。その後、2034年に「ガニメデ」の周回軌道に投入され、地表から高度500kmまで近づいて詳細な観測を行った後、2035年にミッションが終了する予定となっている。なお、JUICEには10台の観測機器が搭載されており、その内の4つ、「RPWI」、「GALA」、「PEP/JNA」、「SWI」について日本で開発されたハードウェアが提供され、サイエンス参加も行われるほか、「JANUS」および「J-MAG」の2つの機器については日本ではハードウェア開発は行われていないものの、日本の研究者が共同研究者として観測プログラムに参加する予定となっている。【マイナビニュース】

【Biglobeニュース提供:欧州宇宙機構が打上に成功した木星氷衛星探査計画ロケット】

4. ドバイ空港向けに発表されたeVTOLエアタクシーのVertiportコンセプト

ドバイの主要国際空港に隣接するバーティポートの予備的な提案が発表され、将来のエアタクシーサービスを提供する予定です。ターミナルのコンセプトは、バーティポート テクノロジーのスペシャリストである Skyports インフラストラクチャおよび建築会社である Foster & Partners によって提唱された。Skyports Infrastructure とドバイの道路および運輸当局は、この地域の最初の4か所のバーティポートを検討している。これらのサイトは、首長国の最も人気のあるエリアを接続する eVTOL航空機用に想定されるネットワークの一部であり、2026年から高速でゼロエミッションの輸送を提供し、地下鉄や空港ハブなどの戦略的な場所と統合する計画。

【Flightglobal提供:ドバイ空港に隣接するeVTOLエアタクシー用Vrtiport(想像図)】

日本のニュース

1. JALと新明和、次世代機で新事業 日本初、開発から退役まで協力体制

日本航空と新明和工業は4月13日、「新事業開発における戦略的連携協定」を締結したと発表した。次世代航空機の開発・運用などで新事業分野を開発するもので、JAL側は100%出資する整備会社JALエンジニアリング(JALEC)が担う。今後は両社の強みを生かし、機体の開発・設計から退役までの「航空機ライフサイクル」を通じた協力体制を日本で初めて構築する。今回の戦略的連携協定では、次世代機の開発・運用のほか、防衛省関連でも協業する。このほか、社外から情報技術を取り入れる「オープンイノベーション」で新事業のアイデア創出を図る。新明和はボーイング787型機の主翼構造の一部「桁(スパー)」や、777の翼胴フェアリングを製造している。今後は、新明和の持つ開発・設計・製造の知見と、JALECの整備技術の知見を組み合わせ、国内の航空技術発展に寄与したい考え。【Aviation Wire News】

【JAL提供】

2. RAC、CA募集9月以降入社 地上職は24年度、新卒・既卒・社会人

琉球エアーコミューター(RAC)は4月10日、客室乗務員職と地上職(業務企画系・整備系)の採用を開始した。客室乗務職は2023年度または2024年度入社、地上職は2024年度入社となる。3職種とも新卒・既卒のほか社会人経験者も対象で、採用予定数はいずれも若干名、締切は5月15日。客室乗務員職は4年制大学・大学院・短期大学・専門学校(2年制課程以上)を2020年4月以降に卒業・修了した人、または2024年3月31日までに卒業見込みの人で、今年9月1日以降会社が指定する時期か2024年4月1日に入社できる人。選考は書類、テストセンターかオンライン受検、オンライン面接による一次選考、健康診断と対面面接の最終選考となる。地上職(業務企画系)は、2020年4月以降に大学院・大学・短大・専門学校(2年制課程)を卒業した人、または2024年3月までに卒業見込みの人で、入社時期は2024年4月1日。選考は書類、テストセンターかオンライン受検、オンライン面接による一次選考、対面面接の最終選考となる。地上職(整備系)は、2020年4月以降に専門学校・高等専門学校以上を卒業した人、または2024年3月までに卒業見込みの人で、入社時期は2024年4月1日。選考は書類、テストセンターかオンライン受検、一般教養筆記試験、対面面接による一次選考、対面面接の最終選考となる。【Aviation Wire News】

3. スカイマーク、整備士と旅客係員募集 24年度新卒採用

スカイマークは、2024年度入社の新卒採用の職種を追加した。整備士と地上旅客係員(グランドスタッフ)を新たに募集する。整備士の採用予定は20人程度。応募資格は、今年4月から2024年3月までの間に国内外の理系学部学科の4年制大学または大学院(修士課程)を卒業・修了見込みの人で、入社時に普通自動車運転免許を所持している人。免許はマニュアルが望ましいとしている。旅客係員は30人程度を採用予定。2024年3月に専門学校を卒業見込みの人と、今年4月から2024年3月までに国内外の2年制短大、4年生大学、大学院(修士課程)を卒業・修了見込みの人。両職種とも選考は書類、適性検査、面接などを予定している。これまで発表済みの職種も含めると、総合職(総合企画コース、技術企画コース、 ITコース)と整備士は4月7日からエントリーの受付を開始。自社養成パイロット訓練生候補、客室乗務員、旅客係員の受付開始時期は、学生向け就職情報サイトに掲載する。【Aviation Wire News】

4. ispaceがHAKUTO-Rミッション1マイルストーンのSuccess8を完了、月着陸に前進

ispaceは4月14日、民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」ミッション1において、着陸シーケンスの前に計画されているすべての月軌道制御マヌーバを完了し、ランダー(月着陸船)が着陸シーケンスを開始する準備が出来ていることを実証したことを発表した。HAKUTO-Rミッション1ランダーは3月21日に月周回軌道への投入に成功、近月点(月に最も近い地点)高度が約100km、遠月点(月に最も遠い地点)高度が約6,000kmの楕円軌道で月を周回した後、2回の軌道制御マヌーバを行い、高度約100kmの円軌道で月を周回する軌道に到達していた。今回、同社では4月13日10時8分(日本時間)にミッション運用計画に沿って最後の月軌道制御マヌーバを実施、約10分間の主推進系の燃焼を行った後、ランダーが着陸シーケンスを行える状態になったことを確認したことから、全部で10段階あるミッション1マイルストーンの第8段階である「Success8」が完了したと判断したとする。HAKUTO-Rミッション1ランダーはこの後、2023年4月26日午前0時40分ころ(日本時間)に高度約100kmの円軌道から降下を開始し、着陸態勢に入る予定。降下段階において、ランダーは自動制御状態で主推進系を逆噴射で燃焼して軌道速度から効率的に減速し、姿勢を調整しながら約1時間で月へ軟着陸することを計画している。また、4月14日時点で着陸地点のバックアップは3か所が想定されており、地点によって着陸日が変わるため、運用の状況に応じて着陸予定日は4月26日夜、5月1日、3日に変更される可能性があるという。【マイナビニュース】

【マイナビニュース提供:ispaceミッション1マイルストーン】