KIT航空宇宙ニュース2025WK34

宇宙工学をめざす学生たちの“挑戦の場”である、模擬人工衛星の打ち上げ実験大会「ARLISS」(アーリス)
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KIT航空宇宙ニュース2025WK34

海外のニュース

1. スイス、3人利用可の新ファースト 窓側・中央で1つに

スイス インターナショナルエアラインズは、個室タイプのファーストクラスに新たに設定する「Grand Suite(グランドスイート)」の概要を現地時間8月20日に発表した。既存のファーストに追加する新サービスで、隣接する窓側と中央席を組み合わせ、独立した空間として使用できるようにする。新たに設定するグランドスイートは、窓側席の「Single Suite(シングルスイート)」と、中央席の「Suite Plus(スイートプラス)」の2種類で構成する。中央席と片側の窓側席の間にはプライベート通路を設け、2つを独立した空間として使用できる。中央席には2人用のベッドも備え、窓側席を含め最大3人が利用できる。新たに導入するエアバスA350-900型機に加え、既存機のA330-300も改修し、2026年初頭から設定する。その後は、ボーイング777-300ER型機にも導入する計画だ。同社はグランドスイートについて、「質の高い時間を大切にする家族のために、丁寧に設計した」とし、家族やカップルの利用を見込む。また、寝室や会議室としても利用できることからビジネス客の利用も想定する。【Aviation wire news】

【Yahooニュース提供:スイス・インターナショナル航空の3人用ファーストクラス席】

日本のニュース

1. ANA、稚内空港で重大インシデント 作業車退避中に着陸か

稚内空港で8月20日午前11時18分ごろ、全日本空輸の札幌(新千歳)発NH4841便が着陸体勢に入った際、滑走路上で鳥防除作業を行っていた車両が滑走路脇へ退避した間に着陸した可能性があるとして、国土交通省航空局(JCAB)は21日、航空法で定める「重大インシデント」に認定した。NH4841便の機材は、デ・ハビランド・カナダDash 8-400(旧ボンバルディアQ400)型機で、座席数は1クラス74席。満席近い乗客70人と乗員4人(パイロット2人、客室乗務員2人)を乗せ、新千歳空港を定刻より4分早い午前10時11分に出発し、稚内には天候の影響で定刻より10分遅れの午前11時20分に到着した。グループで地方路線を担うANAウイングスの運航便だった。ANAによると、着陸時は稚内空港周辺に積乱雲が発生し、雷に関する情報もあったことから、同便は経路を変更。パイロットは経路変更に伴う機器の操作などをしながら、滑走路上に障害物がないことを確認して着陸した。一方、滑走路情報を航空管制運航情報官から着陸前に得ることを失念していたという。航空局は、NH4841便が着陸体勢に入った際に「滑走路上を鳥防除作業車両が走行していた。車両が滑走路から退避している間に当該機が着陸した可能性がある」と、ANAに報告した。詳しい状況などは調査を進めている。【Aviation wire news】

【NHKニュース提供:滑走路上から退避した作業車と着陸した全日空のDHC-8-400型機】

2. スカイマーク、26年度入社の新卒秋採用 技術総合職と整備士、ランプ

スカイマークは8月20日、2026年度入社の新卒・秋採用のエントリー受付を始めた。募集職種は、総合職(技術企画コース)と航空整備士、ランプハンドリング職の3職種。入社日は2026年4月1日で、採用数は3職種とも若干名を予定している。技術企画コースはおもに、整備・運航部門の技術分野に関する間接業務を担当する。応募資格は、今年4月から2026年3月までの間に、高等専門学校(専攻科)、大学、大学院を卒業・修了見込みの人。学部学科は問わない。エントリーシートを提出後、書類選考と適性検査、グループ面接、個人面接、最終面接を経て採用となる。航空整備士の応募資格は、今年4月から2026年3月までの間に専門学校、高等専門学校、大学、大学院を卒業・修了見込みの人で、学部学科は問わない。エントリーシートを提出後、書類選考と適性検査、グループ面接、最終面接を経て採用となる。ランプハンドリング職の応募資格は、今年4月から2026年3月までの間に専門学校、短期大学、大学、大学院を卒業・修了見込みの人で、学部学科は問わない。エントリーシートを提出後、書類選考と適性検査、グループ面接、最終面接を経て採用となる。【Aviation wire news】

3. JTA、那覇−台北26年2月就航へ 初の国際定期便

日本航空グループで沖縄を拠点とする日本トランスオーシャン航空は8月19日、那覇−台北(桃園)線を2026年2月に開設予定と発表した。同社初の国際定期便で、毎日運航する。JTAはこれまで、那覇−台北間の国際チャーター便を運航。沖縄県内と台湾の旅行会社がツアーを企画するチャーターとして設定した。また、石垣−台北間の国際チャーター便も運航し、那覇同様に双方向の観光需要を掘り起こしてきた。定期便は2025年度の就航へ計画を進めており、旺盛な訪日需要に対応する。【Aviation wire news】

4. ドローンやクルマをLEO衛星通信に対応させるデバイス、シャープら共同開発へ

シャープと三菱ケミカル、情報通信研究機構(NICT)、テックラボの4者は、ドローンや自動車などモビリティ向けに、地球低軌道(LEO)上の人工衛星との通信に対応する超小型・軽量なユーザー端末を共同開発することで合意。早期の実用化をめざす。LEO衛星通信は、地球低軌道(LEO:Low Earth Orbit)を周回する人工衛星との通信を行う方式で、山間部や海上、離島といった現行のセルラー(移動体)通信が困難な場所においても、高品質な高速通信を行えるようにするもの。衛星と通信するためのアンテナやモデム機能などを統合したデバイスが“ユーザー端末”だ。シャープは、スマートフォンの開発で培った設計や通信技術を応用し、2023年からLEO衛星通信ユーザー端末の開発に着手。本体サイズ約446×446×66mm、重さ約7kgという小型軽量なデバイスの開発を進めており、船舶などへの搭載をめざして2025年度中の実用化に向け、取り組みを加速している。今回の合意により、三菱ケミカルとNICT、テックラボと共同で、さらに小型・軽量なLEO衛星通信ユーザー端末の開発にも着手。熱伝導率が高く軽量な複合材料の開発や、放熱構造に優れた設計などにより、シャープが開発を進めている端末の十分の一(約200×200×30mm/約1kg)以下となる超小型・軽量化をめざす。各社はこうした新端末について、ドローンや自動車といったモビリティへの搭載を追求。山地や災害時における被災地の通信回線確保に加え、位置情報のリアルタイム送信や、自動運転車への利用など、LEO衛星通信の活用シーンを拡大することをねらいとしている。【マイナビニュース】

【日経クロステック提供:Sharpが開発した車載LOE衛星通信用端末】

5. 学生中心の“缶サイズ”衛星打上げ大会、米国で9月開催 クラファン支援募集

宇宙工学をめざす学生たちの“挑戦の場”である、模擬人工衛星の打ち上げ実験大会「ARLISS」(アーリス)。開催地である米国への渡航費・滞在費の高騰が続く中、学生たちの挑戦を支援する呼びかけが、クラウドファンディングサイト「READYFOR」で行われている。支援期限は8月21日午後11時。ARLISSは、米国ネバダ州にあるブラックロック砂漠で開催される、“350ml缶サイズ”の小型模擬人工衛星「CanSat」(缶サット)のサブオービタル(大気圏内)打ち上げ実証実験のことで、アマチュアロケットグループ「エアロパック」の協力のもと、 日米の大学が製作した衛星の打ち上げを行う。ロケットから放出された小さな空き缶衛星やローバーを使い、砂漠中の目的地に自律的に降りる/走ることを競う、競技会としての側面も持ち合わせている。過去のARLISS参加者の中には、宇宙業界の最前線で活躍する人が数多くいるとのこと。1999年の第1回大会から25年間、毎年実施されてきたARLISSは、2021年から例年9月に開催されており、今年2025年も現地時間9月7〜12日まで開催予定だ。主催は、大学・高専学生による、超小型の手作り衛星やロケットといった宇宙工学分野の実践的な教育活動実を支援するNPO法人「大学宇宙工学コンソーシアム」(UNISEC)。日本からへ参加する研究室、団体のサポートも行っている。なお、ARLISSは、「A Rocket Launch for International Student Satellites」の頭文字に由来する。【マイナビニュース】

【マイナビニュース提供】