KIT航空宇宙ニュース2026WK06

日本航空とグループ整備会社のJALエンジニアリング、クレスコの3社が開発した、AIを活用した内視鏡(ボアスコープ)による航空機エンジン検査システムの概念図
KIT航空宇宙ニュース

KIT航空宇宙ニュース2026WK06

海外のニュース

1. バーティカル社はeVTOL機「Valo」でアジア太平洋地域に絶好の機会を狙う

英国の航空機開発会社、バーティカル・エアロスペースは、先進航空機動(AAM)運用にとって最も重要な地域の一つになると考えているシンガポール航空ショーに初出展する。確定受注残1,500機のうち3分の1はアジアの航空会社、特に格安航空会社のエアアジアからのもので、スチュアート・シンプソン最高経営責任者(CEO)は、需要がさらに伸びれば受注は増える可能性が高いと述べている。バーティカル社は2022年からVX4電動垂直離着陸機(eVTOL)のプロトタイプを飛行させているが、昨年末には市場に投入する予定の航空機「Valo」を発表した。Valo の初飛行は 2027 年まで行われないが、その間、Verticalは第1四半期に垂直離陸から水平への遷移飛行試験を完了することを目指し、VX4 のテストを続行する。【Flightglobal news】

【Flightglobal提供:Vertical社のシンプソンCEOと「Valo」の模型】

2.  シンガポール、CFM RISEオープンファンエンジンのテスト空港として利用へ

シンガポールは、CFMインターナショナルの持続可能なエンジンのための革新的イノベーション(RISE)技術実証プログラムに基づいて開発されたオープンファンエンジンの実際の評価を行う。シンガポール民間航空局(CAAS)、エアバス、CFMは、シンガポールをRISEの世界初の空港テストベッドとする覚書(MOU)に署名した。この取り組みでは、シンガポール・チャンギ空港(SIN)またはセレター空港(XSP)のいずれかをテスト基地として活用し、CAASが「包括的な準備フレームワーク」と呼ぶ、オープンファンエンジンと次世代航空機を既存の空港運営に統合するための枠組みを共同で開発する。この作業は、航空機とエンジンの設計上の考慮事項、空港インフラの改修、運用手順、安全基準、規制プロセスの変更などを網羅する。この協定はシンガポール航空ショーの前夜に開催されたチャンギ航空サミットで調印された。CFMは2021年にオープンファンエンジンを核とするRISEコンセプトを発表し、この技術を現在の高バイパスターボファンの後継機と位置付けている。RISEは、持続可能な航空燃料との互換性を維持し、水素ベースの推進システムの長期的な導入をサポートしながら、燃費効率を20%向上させることを目標としている。エアバスは、200席クラスの次世代単通路機にオープンファンエンジンを搭載する可能性があると発表しており、2030年代後半に就航が予定されている。【Aviation Week】

【CFMインターナショナル提供:「RISE」プログラムで開発中のオープンファンエンジン】

3.航空業界、供給網や地政学リスクが課題 シンガポール・エアショー開幕へ

航空業界の幹部は2日、翌日のシンガポール・エアショー開幕を控え、成長の障壁となっている課題や地政学的緊張の影響について指摘した。排出量削減に向けた取り組みも改めて確認した。

国際航空運送協会(IATA)のウィリー・ウォルシュ事務局長はチャンギ航空サミットで業界首脳や規制当局に対し、サプライチェーン(供給網)の問題が世界の航空会社に打撃を与えており、今後もしばらく続くと警告。「(供給網の)混乱は引き続き大きな影響を及ぼしている」と述べた。航空業界は、航空貨物の流れを一変させた米国の輸入関税など、地政学的な変化への対応を迫られている。ウォルシュ氏は「地政学的な変化の影響は、旅客部門よりも貨物部門ではるかに顕著に表れている」との見方を示した。同氏によると、昨年、アジア・北米間の航空貨物輸送量は0.8%減と、久しぶりに減少に転じた。一方、欧州・アジア間の輸送量は10.3%増加したという。アジア太平洋地域は、中国とインドを原動力に、世界で最も成長ペースの早い航空旅客市場となっている。26年の旅客輸送量は7.3%増が見込まれている。【ロイター】

【ロイター提供:シンガポール・エアショーに先立ち、空中飛行を披露する人民解放軍空軍バイア曲技飛行チーム】

日本のニュース

1.JR東日本とJAL、鉄道×航空「立体型観光」で人流創出 地方創生へ連携協定

JR東日本と日本航空は2月6日、東日本エリアの地方創生に向けた連携強化に関する協定を締結した。両社は協定に基づく取り組みを「地域未来創生戦略」と位置づけ、観光需要の拡大と二地域居住の支援、新たな物流サービスの構築を通じて、鉄道と航空の連携で人流と物流を生み出す。東北新幹線「はやぶさ」にJAL便名を付与するコードシェアや、JALのウェブサイトからJR東日本の切符を予約できる仕組みなどを念頭に、利用者のニーズを探りながら鉄道と航空をシームレスに利用できるサービスの形を模索していく。鉄道と航空はこれまで、幹線輸送などで競合関係にある一方、空港アクセスや訪日客の地方周遊などで補完関係にもあった。今回の協定では、地方産業の衰退や人口減少、担い手不足など共通する社会課題に対応するため、両社が持つ輸送ネットワークや顧客基盤を組み合わせ、都市と地方の人流・物流を一体で増やす狙いを打ち出した。JR東日本の喜勢陽一社長は、広域観光モデルなどの3分野について「3つの創出を同時並行で進め、シナジーを生み出しながら地方創生に取り組む」と強調した。地域未来創生戦略の柱となる3つの「創出」は、広域観光モデルの創出、関係人口・定住人口の創出、新たなマーケットの創出。両社は鉄道と航空をシームレスにつなぐ移動体験を整備しつつ、多様なパートナーとも連携して、快適でシームレスなサービスに「感動する暮らし」を提供する構想を掲げた。【Aviation wire news】

【Aviation Wire提供:東日本の地方創生に向けた連携協定書に署名したJR東日本の喜勢陽一社長(左)とJALの鳥取三津子社長】

2.JALとクレスコ、エンジン整備に内視鏡システム AIで静止画に、損傷抽出

日本航空とグループ整備会社のJALエンジニアリング(JALEC)、クレスコの3社は2月2日、内視鏡(ボアスコープ)で航空機エンジンを検査するシステムを共同で開発し、運用を開始したと発表した。AI(人工知能)を活用することで記録・分析を効率化し、整備品質と作業効率の向上につなげていく。新システムは、エンジンを内視鏡で動画撮影し、タービンブレード1枚ごとを画像として自動抽出。クラウド上で一元管理し、過去の検査データと時系列での比較や、損傷箇所を自動認識し提示することができるようになる。整備品質と作業効率の向上が期待できるほか、経験豊富な熟練整備士のノウハウを可視化し、若手への技術継承にも活用する。このほか、日々蓄積される検査画像データと、運航中に取得するエンジンデータを組み合わせることで、故障の兆候を早期に察知し、最適なタイミングで整備する「予測整備」の実現も目指す。予測整備は定期整備や事後保全とは異なり、データに基づき整備の必要性と実施時期を判断する。JALとクレスコの両社は東京・天王洲のJAL本社近くにある研究拠点「JALイノベーションラボ(JAL Innovation Lab)」で、今回の新システムにつながるツール「ボアスコープ検査支援ツール」を2019年4月から共同研究。同ツールを発展させ、ウェブアプリケーションとして構築した。【Aviation wire news】

【Aviation Wire提供:AIを活用したボアスコープでの損傷検出概念図】