KIT航空宇宙ニュース2022WK33

KIT航空宇宙ニュース

KIT航空宇宙ニュース2022WK33

海外のニュース

1.超音速機ブーム、アメリカン航空が最大20機発注へ 洋上でマッハ1.7

アメリカン航空は現地時間8月16日、米ブーム・スーパーソニック(Boom Supersonic、本社デンバー)が開発中の超音速旅客機「オーバーチュア(Overture)」を最大20機、追加40機分のオプション付きの購入に合意したと発表した。アメリカン航空は最初の20機について返金不可の手付金を支払った。オーバーチュア導入を表明した米国の航空会社は、ユナイテッド航空に続き2社目となった。オーバーチュアは、65-80人の乗客を乗せて洋上でマッハ1.7、陸上でマッハ0.94で飛行し、航続距離は4250海里(7871キロ)になる計画。マッハ1.7は現在最速の民間航空機の2倍の速度で、マイアミからロンドンまで5時間弱、ロサンゼルスからホノルルまで3時間で飛行でき、世界で600以上の路線を半分の時間で飛行できるという。7月にロンドン近郊で開かれたファンボロー航空ショーで、ブームはオーバーチュアの最終生産設計を発表。エンジンは4基で、アフターバーナーを使わずに超音速を実現する。従来の3基からエンジンを増やしたことで、1基あたりに必要な推力を抑え、機体全体の騒音レベルを低減する。また、胴体や翼の形状も見直した。オーバーチュアは2024年に生産を開始し、2025年にロールアウト、2029年に最初の商業飛行を計画している。燃料は代替航空燃料「SAF(持続可能な航空燃料)」を100%使用できる。米また、日本航空が2017年12月にブームと提携して1000万ドルを出資し、将来の優先発注権を20機分確保している。ブームは米空軍と共同で超音速機の政府用途への応用を進めている。【Aviation Wire News】

【Aviation Wire提供:Boom社の超音速旅客機「Overture」想像図】

2.韓国初の月探査機「タヌリ」打ち上げ成功、国際有人月探査に向けた一歩に

韓国初の月探査機「タヌリ」が2022年8月5日、打ち上げに成功し、月へ向かう軌道に入った。タヌリは、探査機の運用や科学観測に必要なさまざまな技術実証を実施。さらに、月で水などの資源を探索し、米国航空宇宙局(NASA)など進める有人月探査計画「アルテミス」の実現にとって必要な地形図の作成にも挑む。タヌリは米スペースXの「ファルコン9」ロケットに搭載され、日本時間8月5日8時8分48秒(韓国時間同じ)、フロリダ州のケープ・カナベラル宇宙軍ステーションから離昇した。ロケットは順調に飛行し、離昇から約40分後にタヌリを分離。所定の軌道へ投入した。タヌリはその後、地上との通信や太陽電池パドルの展開にも成功。順調に月へ向かう軌道を飛んでいる。月への到着は今年12月中旬に予定されている。【マイナビニュース】

【Aviation Wire提供:韓国発の月面探査機「タヌリ」想像図】

日本のニュース

1.お盆の国内線、旅客数7割増に回復 行動制限なし、ハワイは好調続く

全日本空輸や日本航空、など航空11社は8月17日、お盆期間の利用実績を発表した。対象期間は8月6日から16日までの11日間。国際線はゴールデンウイークに引き続き、ハワイ方面が好調だった。国内線は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の第7波の再拡大があったものの、行動制限がなかったことから旅客数は前年同期を7割以上上回り、回復傾向となった。11社の発表値を合計すると、旅客数は国際線が前年同期比4.71倍の27万6457人、国内線は73.9%増の330万7430人。提供座席数は国際線が2.00倍の37万6192席で、国内線は28.5%増の453万1078席となった。11社平均のロードファクター(座席利用率、L/F)は国際線が42.3ポイント上昇し73.5%、国内線は19.1ポイント上昇し73.0%だった。【Aviation Wire News】

2.ANAとブルーストーン、ドローン飛行ルートの通信品質可視化へ

ANAホールディングスとブルーストーンリンクアンドサークル(東京・港区)は、ドローン物流の実現に向けて、安全な飛行ルートの構築に不可欠となる通信環境の品質を可視化するサービスの共同開発に関する基本合意書をこのほど締結した。実証実験などを共同で進める。今回の基本合意で、ANAHDが提供するドローン配送サービスに、ブルーストーンが手掛ける上空の通信環境を可視化するサービス「AES(Aerial Engineering Solution)」を活用。通信環境が安定している飛行ルート開拓の研究や開発を進めることで、ドローン運航の安全性向上につなげる。また、蓄積したデータを基に上空の通信に関する新たなサービス展開も視野にいれている。12月の航空法改正により、住宅街などの有人地帯をドローンが飛行する「レベル4」と呼ばれる目視外飛行が解禁される。ドローン物流の実現には、離島や山間部などで安定した通信環境が求められることから、携帯電話各社によるLTE通信網の通信品質の事前解析も含めた飛行ルートの開拓を目指す。【Aviation Wire News】

【Aviation Wire提供:ANAが計画中のドローン配送サービス】

3.福岡空港、3年ぶり「空の日」イベント9月開催

福岡空港は、3年ぶりとなる「空の日」イベントを9月10日と11日の2日間開催する。2つの事前募集イベントの申し込みを、8月23日必着で受け付けている。事前募集しているのは、「スカイスクール~空のお仕事紹介~」と「奈多地区見学ツアー」。スカイスクールは国土交通省大阪航空局(OCAB)福岡空港事務所で、奈多地区見学ツアーは福岡空港の奈多ヘリポートで開かれる。スカイスクールは、模擬管制卓を使った管制官による交信の様子を見学したり、日本航空と全日本空輸の整備士による航空教室、普段は立入出来ない制限エリアの「ランプバスツアー」を予定。10日に午前と午後の2回開催する。奈多地区見学ツアーは、管制シミュレーター体験やヘリコプター見学を予定。10日午後に開く。応募できるのは福岡県在住の小学校高学年以上で、定員はスカイスクールが午前と午後各36人、奈多地区見学ツアーは30人。通常のハガキで福岡空港事務所総務課内の福岡空港「空の日」実行委員会事務局宛に申し込む。8月23日必着で、当選者のみ8月29日ごろ郵便で発送するという。空の日は9月20日で、民間航空再開40周年にあたる1992年に定められた。また、9月20日から30日までを「空の旬間」とし、前後に各地で航空関連のイベントが開かれる。【Aviation Wire News】

【Aviation Wire提供】

4.Space BD、宇宙産業に興味を持つ求職者向けにキャリアイベントを開催

Space BDは、9月12日に宇宙産業へ興味を持つ求職者向けのキャリアイベント「BD CAREER MEET UP」を開催すると8月19日に発表した。同社は、日本の宇宙ビジネスを世界を代表する産業に発展させることを目指しており、宇宙の商業化をさらに加速させるためには、他産業で活躍している人材の経験やコネクションを活かし、宇宙とさまざまな産業とのコラボレーションが必要だと考え、宇宙産業へ興味を持つ求職者と同社の社員の交流を図るキャリアイベントの開催に至ったとしている。イベントでは、同社オフィス内のバーカウンターが併設されたイベントスペースで、事業開発・エンジニア・コーポレート部門などの社員と交流し、宇宙産業で働くリアルや面白さを感じられるようなプログラムを用意しているという。定員は20名程度を想定しており、Webサイトから参加を受け付けている。なお、応募締め切りは9月7日18時となっている。【マイナビニュース】