KIT航空宇宙ニュース2025WK32

ANAが米国Joby社と、日本でエアタクシー事業(“空飛ぶクルマ”事業)会社設立と発表
KIT航空宇宙ニュース

KIT航空宇宙ニュース2025WK32

海外のニュース

1. エミレーツ航空、モバイルバッテリー使用禁止 10月から全便

エミレーツ航空は、10月1日から全便の機内でモバイルバッテリーの使用を禁止する。条件を満たせば1個まで持ち込めるが、機内で電子機器を充電したり、機内の電源コンセントでモバイルバッテリー自体を充電することはできなくなる。モバイルバッテリーは、スマートフォンやタブレット、ノートパソコン、カメラなどに電力を供給する充電式の携帯型機器を指す。新たな規則では、100ワット未満のモバイルバッテリーを1個まで持ち込み可能とし、容量表示がある製品に限って輸送を認める。収納場所は座席ポケットか前方座席下のバッグに限られ、頭上の手荷物棚(オーバーヘッドビン)には置けない。受託手荷物への収納禁止は、従来通り維持する。同社によると、今回の措置は安全性の包括的な見直しで実施するもの。近年はモバイルバッテリーの利用が増え、粗悪品を使用していたことで航空機火災に発展した事例もある。海外では「パワーバンク」と呼ばれることが多いモバイルバッテリーは、主にリチウムイオン電池やリチウムポリマー電池を搭載し、過充電や損傷により熱暴走を起こす恐れがある。熱暴走は発熱が放熱能力を上回り、急激で制御不能な温度上昇を招く現象で、火災や爆発、有毒ガスの発生につながりかねない。多くのスマートフォンや、高度なリチウム電池搭載機器には、過充電を防ぐ機能が備わっているが、単純な構造のものには搭載されていない場合が多い。新たな規則はすべてのモバイルバッテリーが対象。手の届く位置に保管することで、万一火災が発生した場合にも、客室乗務員が迅速に対応できるようにする。日本の航空会社は、国土交通省航空局(JCAB)の要請で、7月8日から機内への持ち込み方法を変更。オーバーヘッドビンには収納せず、手元で状態を確認できるよう乗客に求めている。【Aviation wire news】

2. ノルウェーのブリストウ、ノルウェーの低排出ガス試験区域でベータCX300の飛行を開始

オフショア業務の専門企業であるブリストウ・ノルウェーは、ベータ・テクノロジーズ社製の Alia CX300 の飛行を開始し、低排出ガス航空機に割り当てられたノルウェーの新しい分野でテストを開始した。電動飛行機(登録記号N214BT)は、アイルランドからヨーロッパの数カ国を通過する一連の飛行を経て、ノルウェーの民間航空規制当局兼空港運営会社であるアビノールが設置した試験場に移送された。ベータ社による訓練を受けたブリストウのパイロットは、まずスタヴァンゲルとベルゲン間の評価飛行を実施し、今年後半には他の路線にも拡大される可能性がある。アビノール社は、この6か月間のテストプロジェクトを、将来的にこの技術をノルウェーに統合するための「規制サンドボックス評価」と表現している。【Flightglobal news】

【アビノール社提供:試験飛行中の電動航空機「Alia CX300」】

日本のニュース

1. セントレア、ボーイングと学生向けワークショップ 8/31に787展示施設

中部空港(セントレア)を運営する中部国際空港会社(CJIAC)とボーイング・ジャパンは、セントレア開港20周年を記念し、航空力学ワークショップ「Boeing Japan presents『Fly into STEM – 飛行機のしくみを学ぼう!』」を8月31日に開催する。会場はボーイング787型機の初号機「ZA001」を展示する複合商業施設「FLIGHT OF DREAMS(フライト・オブ・ドリームズ)」1階の教育施設「Flight Park(フライトパーク)」で開く。ボーイングが推進する科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、数学(Mathematics)の教育支援「STEMプログラム」の一環で、次世代を担う若い世代の育成を目的に開催。対象は第1部が午前10時15分から11時45分までで5歳から11歳、第2部が午後2時15分から3時45分までで12歳以上の学生で、定員は各回20人で計40人としている。プログラムは90分間で、ボーイングの社員が航空工学や空気力学の基礎をわかりやすく解説し、デモンストレーションを交えた学習の後、参加者同士でグループワークと成果発表を行う。英語を交えたコミュニケーションを取り入れ、実物のボーイング787の下(もと)で体験できる構成となっている。参加は無料だが事前応募制で、応募期間は17日まで。応募多数の場合は抽選とし、専用ウェブサイトから受け付けている。【Aviation wire news】

【PR Times提供】

2. ANAと米Joby、日本でエアタクシー事業 “空飛ぶクルマ”事業会社設立へ

全日本空輸を傘下に持つANAホールディングスは8月5日、「空飛ぶクルマ」と呼ばれるeVTOL(電動垂直離着陸機)を開発する米Joby Aviation(ジョビー・アビエーション)と合弁会社設立への本格検討開始で基本合意したと発表した。日本国内でエアタクシー事業を担う新会社で、都市部を中心に展開を目指す。また開催中の大阪・関西万博で、ANA塗装を施した実機によるデモ飛行を10月に一般公開する。新会社ではeVTOLを用いてエアタクシーサービスを提供し、首都圏など日本全国への展開を目指す。ANAHDによると、将来的に100機以上の機体を導入するという。デモ飛行する機体は、Jobyが開発を進める5人乗りのeVTOL「Joby S4」で、ANA塗装を施す。10月1日から閉幕日の13日まで、万博会場西側にあるeVTOLの離着陸施設「EXPO Vertiport」を離陸し、会場西側の海上を翼で揚力を得る完全遷移状態で水平飛行する。飛行速度は時速220キロ、高度900フィート(300メートル)。飛行時間は1回10分程度で1日2回程度飛行する見通し。Joby S4はパイロット1人、乗客最大4人の計5人が搭乗できる。最高時速は200マイル(約320キロ)、航続距離は160キロを計画する。【Aviation wire news】

【Aviation Wire提供:ANA塗装のJoby AviationのeVTOL機「Joby S4」】

3. お盆予約、ハワイ好調 予約率は国内・国際線とも前年割れ目立つ

全日本空輸や日本航空、スカイマークなど国内の航空12社が発表したお盆期間の予約状況によると、国際線はハワイが好調で、ANAの予約数がお盆の過去最多を記録した。JALはハワイのほか、北米や東南アジアなどが好調に推移している。一方で国内・国際線の予約率は、FSC(フルサービス航空会社)とLCC(低コスト航空会社)ともに前年同期を下回るところが目立った。対象期間は8月8日から17までの10日間。12社の発表値を合計すると、予約数は国際線が前年同期比7.8%増の63万1326人、国内線は0.4%減の334万9177人。提供座席数は国際線が7.9%増の77万1714席で、国内線は1.1%減の410万3052席となった。12社平均の予約率は国際線が0.1ポイント低下し81.8%、国内線は0.5ポイント上昇し81.6%となっている。【Aviation wire news】

4. NCA、ANAグループ入り 延期8度で子会社化、貨物事業強化

全日本空輸などを傘下に持つ持株会社のANAホールディングスは8月4日、日本貨物航空の完全子会社化によるANAグループ入りを祝う歓迎式典を成田空港で開いた。欧米への貨物便を多く運航するNCAを8度の延期を経て傘下に収めたことで、エアライン事業の利益拡大を目指す。NCAのグループ入りで、ANAグループの航空貨物事業は輸送重量ベースで世界14位となった。ANAHDの芝田浩二社長は「NCAが強みとする日本と欧米を結ぶ貨物便ネットワークが加わることで、日本とアジア、欧米間をつなぐ輸送力が強化され、本邦最大の(旅客と貨物を扱う)コンビネーションキャリアとして大きく進化する」とあいさつした。8度の延期について、芝田社長は「こんなに長引くとは思っていなかった」と振り返りつつ、「会社の統合はお互いの理解が進まないと、なかなか上手くいかない。(延期となった)2年の間にNCAの中で機運の醸成が進み、理解が進んだ」と語った。NCAの社長は引き続き本間啓之氏が務める。本間社長は「1978年の創業から7年後の1985年に就航し、2005年からはオペレーションの自立化、5月8日には就航40周年を迎え、今回のANAグループ入りは第3の創業とも言える変革と飛躍の機会を得た」と述べた。NCAが自社運航する貨物機は、搭載可能重量が133トンのボーイング747-8F型機が8機。ANAが運航する貨物専用機は、100トンの大型機777Fが2機、50トンの中型機767Fが6機の計8機で、NCAと合わせてグループでは16機になった。【Aviation wire news】

【Yahooニュース提供:ANA完全子会社化を祝うANA/NCA社員】