KIT航空宇宙ニュース2026WK05
海外のニュース
1. ボーイング、7年ぶり黒字転換
ボーイングが現地時間1月27日に発表した2025年通期決算は、純損益が22億3800万ドル(約3421億9000万円)の黒字(24年通期は118億2900万ドルの赤字)だった。納入の大幅増に加え、デジタル航空ソリューション事業の一部売却で、2018年通期以来7年ぶりに黒字転換となった。売上高は34%増の894億6300万ドル、営業損益は42億8100万ドルの黒字(同107億700万ドルの赤字)、年金や退職金給付の経費を除外した中核営業損益は32億3600万ドルの黒字(同118億1100万ドルの赤字)だった。民間航空機部門は、売上高が82%増の414億9400万ドル、営業損益は70億7900万ドルの赤字(前年同期は79億6900万ドルの赤字)で、赤字幅が縮小した。納入数は72%増の600機、キャンセル分と機種変更を差し引いた純受注機数は1075機、受注残は6100機以上で、金額ベースでは5670億ドルとなった。【Aviation wire news】
2. DLR主導のSTARプロジェクトは、「アクティブツイスト」ローターブレードによる性能向上に光を当てる
ドイツの研究者たちは、ヘリコプターのメインローターブレードにアクティブツイスト技術を追加することで、騒音と振動のレベルも低減しながら性能を大幅に向上できると考えている。ドイツのDLR航空宇宙研究センターが最近実施した一連の風洞試験では、この技術により着陸時の降下中の騒音が7db(知覚される騒音の半分以上に相当する)減少し、振動は半減し、高負荷時のローター効率が向上したことが判明した。STAR(スマートツイストアクティブローター)と呼ばれるプロジェクトの一環として、エンジニアはピエゾセラミックアクチュエータをブレード表面に組み込んだ。これらは、電圧が加えられるとブレードをねじる。直流の場合は静的に、交流の場合は動的にねじる。重要なのは、このシステムには機械部品がまったく必要なく、「ローターブレードに作用する遠心力の影響は最小限」しかないことだと、DLRの飛行システム研究所のプロジェクトマネージャー、ベレンド・ゲルデス・ファン・デル・ウォール氏は言う。STARチームは試験のために、直径4メートル(13.1フィート)の4枚羽根アクティブツイストローターを準備した。その後、2025年12月に3週間にわたり、オランダにあるオランダ・ドイツ合同施設の大型低速風洞で試験が行われた。チームは、ローターの力、モーメント、出力に加え、ブレードの動きやブレードに作用する力、その他の空気力学的要因に関する膨大な量のデータを取得した。DLRによると、これは計算モデルの検証に利用される。この結果は、従来のヘリコプター、高速回転翼機、そして都市型空中移動のコンセプトに適用できる。このプロジェクトには、DLRのほかに、NASA、米国陸軍、フランスと日本の航空宇宙研究機関であるONERAとJAXA、韓国航空宇宙研究院、ソウルの建国大学も協力している。【Flightglobal news】

【DLR提供:ピエゾセラミックアクチュエータがローターブレードに組み込まれた「アクティブ・ツイストローター」】
3. トランプ大統領、航空機関税とガルフストリームの承認取り消しでカナダを脅迫
ドナルド・トランプ大統領は29日、米国がボンバルディア・グローバル・エクスプレスのビジネスジェット機の認証を取り消すと述べ、カナダの規制当局が米国のライバルであるガルフストリームが製造した複数の航空機を認証するまで、カナダ製の全航空機に50%の輸入関税を課すと警告した。「何らかの理由でこの状況が直ちに改善されなければ、私は米国に販売されるすべての航空機にカナダに50%の関税を課すつもりだ」とトランプ大統領はトゥルース・ソーシャルへの投稿でガルフストリームの認証プロセスについて述べた。彼の宣言は、カナダのマーク・カーニー首相が先週、米国の貿易政策を引用し、米国がかつて擁護してきたルールに基づく国際秩序の終焉を受け入れるよう各国に促したことを受けて、近隣諸国間の緊張が高まる中で出されたものだった。トランプ大統領はまた、ガルフストリーム機が認証されるまで「ボンバルディア・グローバル・エクスプレスとカナダ製のすべての航空機の認証を取り消す」と述べた。【ロイター】
4. NASAとGEエアロスペースのハイブリッドエンジンシステム、テストに成功
GEエアロスペースは、改良型パスポート・ビジネスジェットエンジンのハイブリッド電気モードでの地上試験が、電力伝達、抽出、噴射に関するNASAの性能ベンチマークを上回り、将来の単通路推進システムの開発に向けた重要な一歩を踏み出したと発表した。NASA、GEエアロスペース、そしてハイブリッドエンジン開発に取り組む他の企業は、過去にも電力システム制御、電動モーターなどのコンポーネントをテストしていた。オハイオ州にあるGEエアロスペースのピーブルズ試験運用施設で行われたデモンストレーションは、統合システムの初のテストとなった。このテストには、一部の動作から電気エネルギーを抽出し、その補助電力を他の部分に投入できる、改造されたGEエアロスペースのパスポートエンジンが使用された。このハイブリッドエンジンは、GEエアロスペースとNASAが費用分担制のHyTEC契約に基づき共同研究した結果です。ジェット燃料と電動モーターの補助で駆動するこのエンジンは、ハイブリッドカーが普及している現代においては一見シンプルなコンセプトに見える。しかし、その実現は複雑で、研究者たちは単通路機に必要なパワーを安全かつ確実に供給できるシステムを開発し、部品を考案、改良、統合する必要があった。 その結果、電力抽出テストとして知られるこのデモンストレーションは、GEエアロスペースがこれまでに実施した中で最も複雑なものの一つとなった。HyTECの目標は、今日の最高クラスのエンジンと比較して最大10%の燃料消費量を削減するハイブリッドエンジンを実現する技術を成熟させることです。NASAの全体的な目標は、そのリソースを最大限に活用し、この技術をより迅速に市場に投入し、業界のニーズに応えることです。【NASAニュース】

【GEエアロスペース提供:オハイオ州にある同社のピーブルズ試験運用施設に設置されたハイブリッドエンジンに改造された「パスポート」】
日本のニュース
1. 「航空日誌に書けばよい」と誤認識 JTA厳重注意、社内規定の整備記録未作成
日本航空グループで、沖縄を拠点とする日本トランスオーシャン航空は1月28日、国土交通省航空局(JCAB)から行政指導の「厳重注意」を受けた。航空法が定める「航空日誌」への整備記録の記載はあったものの、社内規定に基づく書類の未作成が過去2年間で170件判明し、航空局は安全管理システム(SMS)が十分に機能していないと指摘。再発防止策を文書で2月27日までに報告するよう求めた。28日夜に那覇市内の本社で開いた会見で、JTAの安全統括管理者を務める末好康宏・取締役執行役員 安全推進部門長は「お客さまをはじめ県民や関係者の皆さまにご心配、ご負担をおかけし、誠に申し訳ございません」と陳謝した。航空局が指摘したのは、不具合箇所の修復など、定例ではない整備作業で発行する社内規定で定めた記録「SQカード(Squawk Card:非定例整備作業記録)」が未作成だった点。2023年11月1日から2025年10月31日までの2年間に行われた不具合の修復作業6392件のうち、SQカードの発行対象となる2326件を調査したところ、170件で作成されていなかった。内訳は「配線チェック」や「タイヤ交換」など複数の整備士による作業が169件、勤務交代時の引き継ぎが「機内の酸素ボトル交換」で1件発生していた。SQカードは、「誰が、どの工程を担当したか」を記録する品質保証のための書類で、シフトをまたぐ作業や、複数の整備士で作業する際、発行を社内で義務付けている。一方、航空法で義務付けられている搭載用航空日誌への署名は行われており、JTAは機体の健全性に問題はなかったとしている。航空日誌への署名は、本来であればSQカードの内容を確認した上で行う流れだが、現場では「航空日誌に書けばよい」と誤った認識が定着していたという。暗い場所で作業部位にライトを当てるといった補助作業を「複数の整備士による共同作業」と認識せず、SQカードを発行すべき作業範囲の基準があいまいだったことが、未発行につながったとしている。航空局は2024年12月に、国内で相次いだ不適切整備や組織的違反を踏まえ、航空各社に航空機と装備品の適切な整備を求める注意喚起を行っていた。JTAは部門長名の書類で社内に周知したものの、記録やプロセスの点検には踏み込まず、11人の体制で実施していた社内監査でも是正できなかった。社内監査についても、「ある記録に誤りがないか」を確認する発想に偏り、「本来あるべきなのにない記録」の欠落には目が向いていなかったとしており、航空局はこうした経緯から安全管理システムが十分に機能していないと判断した。また、JTAが整備を受託する琉球エアーコミューターの機体でも、過去2年間で同様のSQカード未発行事例が16件確認された。2025年6月に、大阪航空局がRACに対し整備記録の未作成などで厳重注意を行った事案を受け、JTAにも注意喚起は共有されていたものの、航空日誌などに記録が残っていたことから問題はないと判断し、SQカードといったプロセス記録の有無まで確認していなかった。このため、グループ内での教訓の活かし方にも課題があった。【Aviation wire news】
2. ANAとJAL、JOCと公式エアライン契約 28年ロス五輪まで選手輸送
全日本空輸と日本航空は1月28日、公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)と「TEAM JAPAN オフィシャルサポーターシップ オフィシャルエアライン特別プログラム」の契約を締結したと発表した。2月に開かれるミラノ・コルティナ冬季五輪を含む、日本代表選手団「TEAM JAPAN」が参加予定の国際総合競技大会で輸送協力する。オリンピックのオフィシャルサポーター契約で、旅客航空輸送サービスのカテゴリーを担う。ミラノ五輪や第20回アジア競技大会(愛知・名古屋)、ロサンゼルス2028五輪などの対象大会で、日本代表選手団の移動を担う。契約期間は2028年12月31日まで。オリンピックのマーケティングプログラムは、原則1業種1社だが、旅客航空輸送は2015年に締結された東京2020大会から、ANAとJALの2社が公式パートナーを務めている。東京大会では、JALのボーイング787-8型機を用いた聖火特別輸送機「TOKYO 2020号」でギリシャから日本への聖火輸送を担うなど、両社が協力して大会を支えた。【Aviation wire news】
3. イスタンブールや京都・大山崎ICなど、QPS新衛星「スクナミ-I」の初画像公開
QPS研究所は、小型合成開口レーダー(SAR)衛星の15号機「スクナミ-I」が撮影した初画像(ファーストライト)を公開。京都の大山崎インターチェンジや石川県金沢市、トルコ最大の都市・イスタンブールの様子を高精細モードでとらえた試験観測画像を紹介している。スクナミ-Iは、ロケット・ラボのElectronロケットによって日本時間2025年12月21日15時36分に打ち上げられ、約50分後に衛星分離、さらにその約6分後には初交信に成功。収納型アンテナを翌22日午前中に展開し、以後は衛星機器の調整を続けてきた。【マイナビニュース】

【QPS提供:トルコ・イスタンブールの観光名所が密集する旧市街エリアを観測したSAR画像】