KIT航空宇宙ニュース2020WK35
海外のニュース
1.DLRとMTUが航空機用燃料電池推進システムを共同開発
水素を電気にしてEmission-free flight(排出ガス0))の実現を目指し、ドイツ国立航空宇宙研究センター(DLR)とドイツ国内航空機エンジン部品メーカーMTU Aero Engines 社は、航空に適した燃料電池とその冷却装置の開発開発と検証を共同で行う旨の覚書に署名した。これは、燃料電池ベースの航空機推進システムの開発に役立つ中核技術で、飛行実証機としてドルニエ 228型機を使用し、水素を燃料とする燃料電池と500kW超のシャフト出力を持つモーターとプロペラを搭載し、今後数年間で飛行試験を行うことを計画している。 (AviTraider)
2.イスラエルのUrban Aeronautics社が救急医療用ハイブリッドe-VTOL機を開発
Urban Aeronautics 社は、Hatzolah Air社と提携し、計画中のCity Hawk VTOL 機を ベースとした救急医療サービス用e-VTOLを共同で提供する。同社は3~5年以内にハイブリッド推進の認証取得を目指しており、2028年以降には水素エンジンを搭載したバージョンの就航を予定している。City Hawk e-VTOL機は、パイロット1名、患者1名、同伴者1名、救急医療従事者2名、生命維持装置を搭載できるよう計画されている。航続距離は約175 マイルで、2023 年初頭までに就航を目指している。このCity Hawk プログラムには、下記の会社がパートナーとして参画。
・ RADA Electronics Industries(ナビゲーションシステムとセンサー)
・ Cert Center Canada(飛行試験と開発作業)
・ Safran(Propulsion)
・ HyPoint(水素燃料電池)
・ Kearfott Corp.(ナビゲーションと誘導システム)
(AINonline)
(Urban Aeronautics社HPより写真転載)
3.英国Samad Aerospace社がエアタクシー向けハイブリッドe-VTOL機を開発
英国の新興企業Samad Aerospace社は、2025年の認証取得を目指し、エアタクシー用6人乗りハイブリッド電動垂直離着陸(e-VTOL)機「e-Starling」の開発を計画。実機の 50%スケールモデルを本年9月初旬に飛行試験予定している。 試験のデータは実物大の e-Starling にフィードバックされ、2021年に機体の予備設計を完了し、 翌年には詳細設計を完了し、2024年にEASAの新しいe-VTOL規制に基づく認証取得を目指している。6人乗りのe-Starling(価格;650 万ドル)は5つの電動ファンで推進され、2つは垂直方向に推進する翼の後縁にあり、2つのユニットは垂直飛行中にのみ使用される機体の混合翼ボディに埋め込まれ、残りの一つは尾翼に設置されている。航続距離は 350nm(650km)、最高速度は260kt(481km/h)。
(Flight Global)
(Samad Aerospace社HPより転載)
日本のニュース
1.日機装がエアバスの次世代航空機エンジンナセル開発パートナーに選出された
日機装は2020年8月14日、低燃費、低騒音を実現する次世代型航空機エンジン「Ultra Fan」開発プロジェクトにおいてナセル供給を担当するAirbus(エアバス)の共同開発パートナーに選出されたことを発表。エアバスは、Ultra Fan 開発プロジェクトにおいてナセル供給を担当しており、ナセルの構成部品である「Outer Ring」(下図参照)の共同開発パートナーとして日機装を選出した。
(日機装HPより転載)
2.国産C2輸送機がアラブ首長国連邦(UAE)輸出を目指し未舗装離着陸テスト実施
政府が航空自衛隊の最新輸送機C2のUAEへの輸出に向け、10月に初めて未舗装地で 離着陸試験を行う予定。C2は未舗装地での離着陸を想定していなかったが、UAEが離着陸できるか確認を求めてきたため実施する。UAEへの輸出は欧州エアバス社製と一騎打ちで、政府は受注に向けた最終審査と位置づけ試験に臨む。
(産経新聞)