KIT航空宇宙ニュース2021WK31

MOMO6 号機打上げ成功、高度92Kmの宇宙空間に到達ー打上げの瞬間(北海道大樹町)
KIT航空宇宙ニュース

KIT航空宇宙ニュース2021WK31
海外のニュース
1.エアバス、A350貨物型開発25年就航視野
エアバスは、A350型機の貨物型の開発を取締役会で承認した。2025年の就航を目指す。A350は標準型のA350-900と長胴型のA350-1000の2機種あり、777-300ERとほぼ同サイズのA350-1000をベースとした場合、大型貨物機の新造機市場をほぼ独占しているボーイングが777-200LRをベースに開発した777Fよりも貨物を多く搭載できるようになる。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大後、航空貨物需要は堅調に伸びており、旅客収入が大きく落ち込んだ航空会社の貴重な収益源になっている。最大貨物搭載量が100トンクラスの機体は、777Fがマクドネル・ダグラス(現ボーイング)MD-11型機などの経年機を置き換えており、有望な市場となっている。【Aviation Wire News】

【Aviation Wire 提供:A350 -1000型機】

2.民間航空局が宇宙規制当局になる
宇宙飛行活動(宇宙飛行事故の調査)規則2021では、宇宙事故調査局(SAIA)として機能する航空事故調査局(AAIB)が、英国内または英国上空で宇宙飛行事故が発生した場合に安全性調査を実施する権限を有することを定めている。航空の場合と同様に、AAIBは民間航空局(CAA)および英国宇宙局から独立して運営され、独立した権限を持つ目的は、事故調査の実施における利益相反または外部からの影響を回避するため。AAIBが実施する航空調査と同様に、宇宙飛行事故調査は、再発防止策を推進することにより、宇宙飛行の安全性の向上を目指す。【Flighglobal News】

【Flighglobal提供】

3.Samad AerospaceがeVTOL機eStarlingのホバリング試験を完了

SAMAD Aerospaceは、2番目のプロトタイプeVTOL機eStarlingのホバリング試験を完了した。 都市間輸送用に設計されたeStarling機は、ヘリコプターの垂直方向の能力を組み合わせて、略どこからでも離着陸できるようにし、ビジネスジェットの速度と航続距離を実現。 Element Aerospace社によるセミブレンデッドウィングボディ(BWB)設計で、持続可能な航空燃料(SAF)を搭載した当該機は、世界最速のハイブリッド電気eVTOL航空機で、航続距離が最も長い。 巡航速度は300MPH、航続距離は800マイルで、eVTOL機の中で最速度。空港への往復の必要性を回避し、顧客の「ヘリパッド-ヘリパッド」間輸送を実現する。以前のテストでは、プロトタイプの従来の離着陸が実施されたが、。テザー(係留された状態での)ホバリング(空中停止)試験とそれに続く完全なホバリング試験では、ホバリングとヘリコプターの動きを伴う非常に機敏で安定した飛行を示した。 【Flightglobal News】

【Samad Aerospace社提供:eStarling機】

日本のニュース
1.ピーチ航空と東京農大が連携協定締結
ピーチ・アビエーションは7月30日、東京農業大学と包括連携協定を締結した。ピーチが大学と連携協定を結ぶのは初めて。地域活性化や産業振興、人材育成などにつなげていく。東農大は世田谷区と神奈川県厚木市、北海道網走市にキャンパスを持つ。今回の協定では、網走のオホーツクキャンパスで学ぶ学生ならではの視点を農業・食・観光の分野で取り入れた共同開発や、地域の魅力発信などの取り組みを予定している。ピーチの森健明CEO(最高経営責任者)は、「学生が考えているもので一緒に出来るものからやっていきたい。型にはまらず、思いつきでもいい」と、学生とピーチの社員双方が意見を出し合って進めていきたいという。農大の江口文陽学長によると、同大が締結している連携協定で、航空会社とのものは初めてだという。【Aviation Wire News】

【Aviation Wire提供】

2.ANAが3D気象アプリで被雷回避(JAXAの予測技術搭載可視化で運航ルート最適)
全日本空輸とエムティーアイ、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の3者は7月27日、3次元(3D)気象可視化技術を活用した気象情報アプリ「3DARVI」(スリーディーアーヴィー)を8月から運用すると発表した。エムティーアイの同技術とJAXAが開発する航空機被雷が発生する領域を予測する技術に、ANAの運航ノウハウを合わせたもので、気象現象・予測を3Dで可視化することにより、被雷回避による最適な運航ルートの選択が可能となる。3DARVIは、航空機の運航に影響のある雨や風、雲、気温、雷、乱気流などの気象状況を3D描画で可視化。JAXAが開発する航空機が近づいた際に誘雷を起こす雲を予測するアルゴリズムを搭載し、危険域を3Dで表示する。従来の2次元(2D)に比べ、危険域を直感的に把握できるようになり、運航に影響が生じる悪天候の回避につながる。【Aviation Wire News】

【Aviation Wire提供:被雷回避アプリ3DARVI】

3.ISTがMOMO6号機を打ち上げ – 1か月で2機のロケット打ち上げに成功
インターステラテクノロジズ(IST)は7月31日17時00分(日本時間)、観測ロケット「MOMO6号機(TENGAロケット)」の打ち上げを実施。約120秒のエンジンの燃焼を終え、その後も順調に慣性飛行で高度を上昇。暫定値ながら高度92kmの宇宙空間に到達した模様である。同ロケットは2021年1月に共同プロジェクトとして計画が公にされたもの。2021年7月3日に打ち上げが実施された「MOMO7号機(ねじのロケット)」に続き、新型のMOMO v1を用いた2機目で、ISTとしても初めての1か月以内に2機の打ち上げ成功となった。【マイナビニュース】

【Yahooニュース提供:MOMO 6号機TENGAロケット打ち上げの瞬間】