KIT航空宇宙ニュース2021WK43
海外のニュース
1.AmedeoはAura Aero社の19席の電動航空機を200機仮発注
資産運用会社のAmedeo社は、フランスのAura Aero社が開発中の19席の電動リージョナル航空機200機を仮発注する暫定合意に達した。Amedeo社は、今年初めにフランスのトゥールーズ、フランカザルで電動航空機開発のための施設を公開したオーラエアロと戦略的パートナーシップ協定を締結している。Aura Aeroは、19席の航空機の設計と製造の経験を生かして、Integralと呼ばれるプロトタイプ航空機に取り組んでいる。Aura Aeroは、航空機の乗客用バージョンと貨物用バージョンの両方を開発することを目的としている。【Flightglobal News】
【Aura Aero社提供:電動リージョナル航空機「Integral」の想像図】
2.航空機客室ネイでのウイルス感染リスク「非常に低い」:ICAO会議論文
コロナウィルスの世界的流行からの航空業界回復に関するハイレベルICAO会議に提出された論文によると、航空機内でのコロナウイルス感染のリスクは、他の屋内環境での感染リスクよりも低い。【Flightglobal News】
【Flightglobal提供】
日本のニュース
1. JALとANA、国内線チェックイン機器共通化 23年から共同利用
日本航空と全日本空輸は10月22日、空港の搭乗口に設置している国内線のチェックイン機器を共通化し、2023年5月から共同利用を始めると発表した。福岡空港など両社の機器が併設されている国内約30空港を対象に、アビコム・ジャパン(東京・港区)が提供を予定している新サービスへ順次更新していく。共通化するのは、保安検査場の旅客通過確認機や搭乗口の改札機など。現在は両社が独自システムの機器を設置しているが、JALによると両社とも更新時期を迎えることから、乗客の利便性向上やコスト削減のため共同利用を決めたという。現在は自社の機器が設置されているスポット(駐機場)に搭乗案内業務が限定されているが、共同利用により制限が緩和され、スポット不足で到着便が駐機できないなど、遅延を減らすことにもつながる。共同利用を想定しているのは、福岡など両社の改札機などが併設されている空港。羽田のようにターミナルが別で旅客動線が異なる空港は、当面対象としていないという。【Aviation Wire News】
【Aviation Wire提供】
2.JAL、大阪で空飛ぶクルマ実用化へ実証実験 25年度事業化目指す
日本航空は10月21日、大阪府の「空飛ぶクルマの実現に向けた実証実験」プロジェクトに採択されたと発表した。JALは2025年に開かれる大阪・関西万博を視野に、2025年度に「空飛ぶクルマ」と呼ばれるeVTOL(電動垂直離着陸)機を使ったエアタクシー事業のスタートを目指しており、会場と関西空港を結ぶエアタクシーサービスや遊覧飛行を計画している。府のプロジェクトに採択されたことから、JALは環境調査を大阪で11月から2022年2月まで実施。空飛ぶクルマの実運用を想定し、11月に万博会場の夢洲上空をヘリコプターで飛行して、飛行環境や地上設備の制約などを調べる。調査結果を基に、さまざまな機体が共存できる運航環境の構築につなげる。年明けの2月にはJALが出資する独Volocopter(ボロコプター)とともに、ヘリコプターによる大阪上空の飛行風景と、空飛ぶクルマの機内風景を組み合わせたバーチャルフライトを全国の自治体関係者などに体験してもらう。VolocopterはeVTOL「VoloCity」を開発中で、JALは2019年に同社に出資している。Volocopterによると、早ければ2023年に公開試験飛行を実施したいという。又、JALはアイルランドに拠点を置く航空機リース会社のアボロンと、10月20日、eVTOL機の日本市場での商業化に向けたパートナーシップを締結しており。JALは英バーティカルエアロスペース(Vertical Aerospace)が開発を進めているeVTOL「VA-X4」を、追加分を含めて最大100機購入またはリースできる契約を結んでいる。【Aviation Wire News】
【Aviation Wire提供:Volocopter社が開発中のeVTOL機「Volocity」】
3.三菱HCキャピタル水素航空機の米ベンチャーに出資
三菱HCキャピタルは、米国の水素航空機関連のベンチャー企業ユニバーサル・ハイドロジェン(Universal Hydrogen、UH2社)に出資した。同社とは水素バリューチェーン構築に向けた協業の覚書も締結した。UH2社は、水素航空機用の水素貯蔵カプセルや水素で駆動するパワートレインの開発を進めている。ICAO(国際民間航空機関)やIATA(国際航空運送協会)が世界的な脱炭素の目標を掲げる中、水素はCO2(二酸化炭素)を排出しないクリーンエネルギーとして注目されており、UH2社は2025年までに水素バリューチェーンを構築し、同社の技術で既存の航空機を改修して水素で飛行する「ゼロ・エミッション機」の商用運航を目指している。三菱HCキャピタルは、今回の出資を現地時間10月14日に発表。航空業界の環境負荷低減や持続的な成長に貢献していきたいという。UH2社との協業により、水素ビジネスの知見を深めることで、将来的にはグループ全体で貯蔵や輸送、生産・充填設備、クリーン電力の供給など、水素バリューチェーンへの参画や支援を視野に入れている。同社は三菱UFJリースと日立キャピタルが統合し、今年4月に発足した。統合前から航空機や航空機エンジンなど、航空業界のファイナンスを手掛けている。【Aviation Wire News】
【Universal Hydrogen提供:同社のHPにある水素燃料での電動プロペラ駆動テスト動画】