KIT航空宇宙ニュース2024WK07

2月17日9時22分55秒(日本標準時)「H3ロケット試験機2号機」の打ち上げに成功
KIT航空宇宙ニュース

KIT航空宇宙ニュース2024WK07

海外のニュース

1.A321XLR、7-9月期就航へ 11時間飛べる超長距離型

エアバスは現地時間2月15日、開発が進む小型機A321XLRについて、今年7-9月期(第3四半期)に就航する見通しを発表した。当初は今年4-6月期(第2四半期)の運航開始を計画していたが、3カ月程度ずれ込む見込み。エアバスによると、最初の顧客向けの機体が2023年12月に最終組立ラインに入ったという。A321XLRは、A321neoの航続距離を延長した超長距離型で2019年6月にローンチ。XLR(Xtra Long Range)は「超長距離」を意味し、燃料タンクを増設することで単通路機では世界最長の航続距離4700海里(約8704キロ)を実現し、最大11時間飛行できる。エアバスによると、東京を起点とした場合、シドニーやデリーなどへ直行便を運航できるという。最大離陸重量(MTOW)は101トン。メーカー標準座席数は2クラス180-220席、1クラスの場合は最大244席設定できる。座席当たりの燃費は、旧世代機と比べて30%改善される。【Aviation wire news】

【Aviation wire提供:A321-XLR型機】

2.737 Max エンジンの防氷システムの問題で FAA が対応を促す

ボーイング社が不具合によりシステムが動作不能になる可能性があると規制当局に通知したことを受け、米連邦航空局はボーイング社の737 Maxの防氷システムに関わる別の問題に対処するための措置を講じた。最新の防氷システムに関する懸念の詳細は、 ここ数カ月で物議を醸した別の無関係な防氷問題の解決にボーイングが取り組んでいる中で明らかになった。FAAは新たに提案された命令の中で、米国登録の205機の737 Maxジェット機の防氷システムは、スタンバイ電力システムの制御ユニットが故障した場合に機能しなくなる可能性があると述べている。規制当局はこの問題については以前から認識していた。ボーイングは2021年にフライトデッキシステムの見直し中にこの問題を特定し、同年にFAAに懸念について通知した。 2022年11月、ボーイングは技術的な修正を明記した公報を運航事業者向けに発行しました。この故障は「バッテリーバス全体の潜在的な損失と、その結果として両方のエンジン防氷システムの制御と表示の予告なしの損失」を引き起こす可能性があると、2月14日に米国政府の規制通知データベースに投稿された文書には付け加えられている。さらに、この状態に対処しなければ、防氷システムが作動していない着氷条件での運転による損傷により、両方のエンジンの推力が失われる可能性があると付け加えた。【Flightglobal news】

【ボーイング社提供:スタンバイ電源制御装置の障害により動作不能になる可能性がある737MAX】

日本のニュース

1.成田空港、AIでロストバゲージ防止 画像で手荷物特定する実証実験

成田空港を運営する成田国際空港会社(NAA)は2月16日、AI(人工知能)を活用した手荷物管理高度化に向けた実証実験を始めると発表した。手荷物を仕分けする作業負荷軽減や、紛失・遅延といった「ロストバゲージ」の防止につなげる。実証実験は、AIによる画像解析技術を持つAutomagi(東京・西新宿)と第3ターミナルで実施。監視カメラなどで撮影した画像を基に、手荷物タグの情報をひも付けて特定する実験を行う。バーコード読取機で手荷物タグの情報を読み取り、手荷物の画像データとバーコード情報をひも付け、手荷物画像だけで該当する手荷物を判別したり、追跡できるようにする。現在は乗客から預かったスーツケースなどの手荷物は、タグに印刷されたバーコード情報を読み取り後に航空機へ搭載している。読み取り時に不具合が発生した場合は、係員が手作業で再度読み取ることになり、読み取り不具合が係員の負担を増やしたり、手荷物の誤搭載や到着遅延などの要因になる可能性がある。スイスのSITA社がまとめた「SITA Baggage IT Insights 2023」によると、紛失や遅延など手荷物が乗客のもとへ正しく届かない事例が2022年は約2600万個にのぼり、手荷物1000個あたり7.6個発生している。NAAでは、AI活用でこうしたトラブルを抑制すると共に、現場の作業負荷軽減につなげたいという。【Aviation wire news】

【Aviation wire提供:AIを活用した手荷物特定システムのイメージ】

2.JAL、地方4空港にも「スマートエアポート」今春から 手荷物新システム初導入

日本航空は2月15日、カウンターのデザイン刷新など空港の利便性を高めた「スマートエアポート」の導入空港を拡大すると発表した。今春から中部と大分、熊本、鹿児島の地方4空港にも順次展開し、預け入れ手荷物の新システムを国内で初導入する。JALは羽田や伊丹など、国内の基幹5空港にスマートエアポートを展開済みで、導入空港は9空港に拡大する。

新たに導入する4空港では、預け入れ手荷物を受領時に必要な引換証の発行機を新設。バーコードリーダーと計量器が一体となった新システムで、利用客が操作する自動チェックイン機から続く動線に設置する。自動チェックイン機で発行する手荷物タグを貼付後に、引換証の発行機に備えるバーコードリーダーに手荷物タグを読み込ませ、有人のカウンターで預ける。チェックインカウンターも刷新する。各カウンターブースの上部にデジタルサイネージを設置し、手続き情報を分かりやすく表示。また、地上係員の手伝いを必要とする人向けの「スペシャル・アシスタンスカウンター」も導入する。【Aviation wire news】

【Aviation wire提供:JALが導入する「スマートエアポート」システムの概念図】

3.パナソニックコネクト、羽田空港に”顔パス”帰国ゲート 入管・税関の実証実験

パナソニック ホールディングス傘下のパナソニック コネクトは2月15日、羽田空港第2ターミナルで財務省と出入国在留管理庁が実施している入国審査・税関申告の実証実験に、ウォークスルー型の顔認証改札機が採用されたと発表した。高見沢サイバネティックスと共同開発したもので、顔認証技術で本人確認する“顔パス(ウォークスルー)”の日本人帰国手続き用ゲートとして設置された。今回の実証実験は、顔認証技術により入国審査や税関申告の効率化を目指すもの。実験のうち、日本人の帰国手続き用に採用され、パスポート情報や顔写真などを事前登録した日本人帰国者が顔認証改札機を通ることで「ウォークスルーで手ぶら、ストレスフリーな帰国手続き」(パナソニック コネクト)を実現する。運用は1月31日から始まった。同社の顔認証ゲートは、出入国在留管理庁が2017年10月に採用。羽田、成田、新千歳、中部、関西、福岡、那覇の国内7空港に計209式が導入され、日本人の出入国手続きや外国人の出国手続きの審査に活用されている。パナソニック コネクトの顔認証技術は、2022年11月6日に公開されたNIST(米国国立標準技術研究所)の顔認証ベンチマークテスト「NIST FRVT 1:1」で世界1位を獲得。人種・経年変化を含む正面顔データ「Mugshot」が世界1位、顔向き・照明変動を含むデータ「Border」が同4位、下向き・見切れデータ「KIOSK」は同5位だった。3分野とも生体認証などの精度を示す指標の一つで誤認識の割合「他人受入率(FAR)」は、10万分の1と定められている。【Aviation wire news】

【Aviation wire提供:パナソニックコネクトが開発した顔認証システム】

4.国交省、JALに抜き打ち監査 米2空港で滑走路無許可横断や停止線越え

国土交通省航空局(JCAB)は、米国で滑走路の無許可横断などのトラブルが続いた日本航空(JAL/JL、9201)に対し、抜き打ちで実施する「随時監査」を2月13日に実施した。羽田空港にある運航本部で、関係者に対する聞き取りなどを行った。国交省によると、JALでは米国の空港でトラブルが2件あり、現地時間2023年11月5日にシアトル・タコマ国際空港、今月6日にサンディエゴ国際空港で発生。いずれもJALから国交省へ報告があった。今回のようなトラブルは国内外の空港合わせて「全体で年間数件程度ある」(航空局)といい、定期監査に加えて報告内容に応じた随時監査を実施しているという。1件目は11月5日午前9時39分すぎに、成田発シアトル行きJL68便(ボーイング767-300ER型機、登録記号JA619J)がシアトル空港に3本ある滑走路のうち、ターミナルからもっとも離れた滑走路(RWY16R)へ着陸後、管制官の許可を得ずに中央の滑走路(RWY16C)を横断し、ターミナル側の滑走路(RWY16L)の手前まで地上走行した。2件目は、サンディエゴ空港で2月6日午後0時12分ごろ発生。定刻でサンディエゴを午前11時40分に出発する成田行きJL65便(787-8、JA836J)が誘導路B10にある停止線を越え、滑走路(RWY9)の手前で停止し、着陸態勢に入っていたデルタ航空(DAL/DL)のシアトル(タコマ)発サンディエゴ行きDL2287便(エアバスA220-300型機、登録記号N301DU)がゴーアラウンド(着陸復行)を実施した。同空港の滑走路は1本(RWY9/27)のみ。国交省では、JALがどのようにトラブルを分析し、再発防止策を講じるかなどを監督していくという。【Aviation wire news】

5.ホンダジェット開発者の藤野氏、米学会からダニエル・グッゲンハイム賞受賞

世界最大規模の航空宇宙分野の学術団体である米国航空宇宙学会(AIAA)は、小型ビジネスジェット機「HondaJet(ホンダジェット)」を開発したホンダ エアクラフト カンパニー(HACI)前社長兼CEO(最高経営責任者)の藤野道格氏に、ダニエル・グッゲンハイム・メダルを贈呈することを決めた。ライト兄弟のオーヴィル・ライトや、ボーイングの創業者ウィリアム・ボーイングをはじめ、航空宇宙分野で功績を残した人々に授与されており、藤野氏の先見的なリーダーシップやホンダジェットの革新的な設計などが評価された。藤野氏には5月に贈呈される。ダニエル・グッゲンハイム・メダルは、航空分野の発展に顕著な功績を残したイノベーターを称えるために1929年設立。最初の受賞者はオーヴィル・ライトで、ウィリアム・ボーイングやダグラス・エアクラフト(現ボーイング)を設立したドナルド・ダグラス、シコルスキーを創業したイーゴリ・シコルスキーをはじめ、航空宇宙分野に多大な貢献をした人に贈られ、AIAAのほか米国機械学会(ASME)、SAEインターナショナル(SAE)、垂直飛行協会(VFS)が共同で主催している。藤野氏は東京大学工学部航空学科を卒業後、本田技研工業に1984年入社。航空機の研究開発に携わり、1997年にホンダジェットのプロジェクトリーダーに就任し、2006年に米国子会社HACIを設立した。今回の受賞は、新型機の型式証明取得と、航空機開発・証明・製造のための新会社・新組織の設立という、2つの課題に注力したことや、ホンダジェットの世界的な販売・サービス網の確立、藤野氏の航空学上のブレークスルーにより、航空機の性能と燃費効率を高め、乗客に優れた快適性を提供することが証明されたことが評価された。【Aviation wire news】

【Yahooニュース提供:グッゲンハイム賞を受賞した元ホンダエアクラフト社社長藤野氏】

6.中部空港、旅客係員やグラハンなど合同説明会 2/25セントレアホール

中部空港(セントレア)を運営する中部国際空港会社は、グランドハンドリング(地上支援業務)や保安検査、給油などに携わる空港事業者の合同説明会を2月25日に空港内のセントレアホールで開催する。対象は新卒や既卒3年以内の第2新卒、経験者などすべての求職者で、入場無料。航空会社のカウンターで応対するグランドスタッフや、ランプハンドリング、航空機への給油、機内食を提供するケータリング、保安検査など、運航に欠かすことができない業務に他図される15社が仕事内容を紹介し、相談ブースを設ける。出展企業は、ANA中部空港、ドリームスカイ名古屋、スイスポートジャパン、全日警、名古屋エアケータリング、ピュアライン、マイナミ空港サービス、エーシーオー、ライジングサンセキュリティーサービス、KAFCO、一般財団法人・航空保安協会、中部スカイサポート、東海警備保障、中部国際空港旅客サービス、中部国際空港会社。事前予約は空港会社のウェブサイトから。時間は午後1時から午後5時までで、受付は午後0時45分から。入退場自由で、3社以上訪問した人には先着順でセントレアの商品券とグッズをプレゼントする。【Aviation wire news】

7.H3ロケット2号機打ち上げに成功

宇宙航空研究開発機構(JAXA)が、2月17日9時22分55秒(日本標準時)に行った「H3ロケット試験機2号機」の打ち上げ結果を公表した。それによると、ロケットは計画どおり飛行し、機体の第2段を所定の軌道に投入することに成功。打ち上げから約16分43秒後に副衛星の1つである「CE-SAT-IE」を分離したことを確認したほか、第2段機体の地球周回後のデータから、もう1つの副衛星である「TIRSAT」への分離信号送出も確認。さらに、第2段機体の制御再突入の実施、ロケット性能確認用ペイロード「VEP-4」の分離まで確認できたとしている。VEP-4の分離、ならびに第2段機体の再突入まで確認されたことから、一連の予定されていたミッションのすべてが完了したこととなる。【マイナビニュース】

【マイナビニュース提供:H3ロケット2号機の打上げの瞬間】