KIT航空宇宙ニュース2024WK40
海外のニュース
1. トヨタ、ジョビーの航空機の認証強化に5億ドルの投資を計画
トヨタ自動車はスタートアップ企業のジョビー・アビエーションに5億ドルを追加投資し、来年早々にも電動エアタクシーの認証と商品化を目指す。 ジョビーは10月2日に現金注入を発表し、トヨタが2億5000万ドルの2回分の均等分をジョビーの普通株と交換することを明らかにした。最初の支払いは今年後半に行われ、2回目の支払いは2025年中に行われる予定だ。注目すべきは、第2弾の2億5000万ドルの締結には、両社間の商業製造提携に関する条件が含まれていることだ。この取引により、トヨタのジョビーへの投資総額は8億9,400万ドルに増加することになる。昨年、両社はトヨタがジョビーの量産機向けのパワートレインとアクチュエーター部品を供給する長期契約を締結し、トヨタのエンジニアはそれ以来カリフォルニアのジョビーのチームと協力して作業を行っている。【Flightglobal news】
【Joby Aviation提供:トヨタのカラーリングを施したJoby AviationのeVTOL機
2.JALとガルーダ、共同事業25年4月開始へ
日本航空とガルーダ・インドネシア航空は10月3日、共同事業(JV)の開始で合意し、同日付で契約を締結したと発表した。2025年4月から日本-インドネシア間で始める見通し。両社は2018年9月に包括提携を締結。同年冬ダイヤからコードシェア(共同運航)を開始し、将来的なJVの開始に向け協議を進めてきた。今年8月には、国土交通省から独占禁止法適用除外(ATI)認可を取得した。現在のコードシェア対象は両社とも5路線ずつ計10路線で、JALが運航する成田-ジャカルタ線と、羽田-札幌(新千歳)・中部・伊丹・福岡の国内線に、ガルーダの「GA」便名を、ガルーダのデンパサール-成田線とジャカルタ-羽田線、ジャカルタ-ジョグジャカルタ・スラバヤ・デンパサールの国内線にJALの「JL」便名を付与し、コードシェアを展開している。JALは2022年7月に、東京-ジャカルタ線の就航60周年を迎えた。当時は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、JVへの話し合いが鈍化しており、JALの清水新一郎副社長(当時)は状況を勘案しながら協議を進める姿勢を示していた。【Aviation wire news】
【JAL提供:JV契約を締結したJALの鳥取三津子社長(右)とガルーダのイルファン・スティアプトラ社長】
日本のニュース
1.ANA、グラハン初期訓練にVR技術 実機不要で効率化、人材不足解消へ
全日本空輸は10月4日、グランドハンドリング(地上支援、グラハン)の訓練にVR(仮想現実)技術を活用した訓練シュミレーター「∀TRAS(アトラス)」を導入すると発表した。実機・実車などで進めていた訓練のうち、初期段階をVRシミュレーターに置き換えることで訓練時間を十分に確保できるようになり、スタッフの習熟度向上につながる。「∀TRAS」はANA Training System の略称で、空港を再現したVR上でグラハン業務を訓練できる。航空機出発時のプッシュバックやトーイング(けん引)、トーイングトラクターやベルトローダー、ハイリフトローダーの特殊車両走行、防除雪氷、搭乗橋(PBB)の4業務に対応したコンテンツを搭載する。装着したゴーグル内のモニターに空港や機体などのVR映像が映し出され、手の動きと連動して操作を擬似的に体験できる仕組み。システムは、VRとAR(拡張現実)、MR(複合現実)を融合させたXR(クロスリアリティ)コンテンツを制作する積木製作(東京・墨田区)とANAが共同で開発した。昼夜の時間帯と晴・雨・曇・雪の各天候を組み合わせて訓練でき、不具合や不測の事態を強制的に発生させる「イベント発生機能」も備える。対応機材はボーイング機が737、767、777、787、エアバス機はA320、A321、A380など、ANAの運航機種すべて。再現する空港は羽田と那覇、中部、松山の4空港で、今後は年1-2空港ずつ追加していく。また採点機能も備え、経路や各シナリオでのチェックポイントをAからCの3段階で評価し、習熟度を数値化する。従来の訓練の一部をVRシミュレーターに置き換えることにより、初期段階での実機使用が不要となる。また訓練補助要員も不要で、スタッフの時間制約も緩和される。訓練稼働時間を短縮することで、効率的な訓練や訓練稼働時間の短縮、早期の人材育成などが期待できる。初期導入は11セットで、4日から羽田空港で導入。11月末までに新千歳、福島、成田、中部、伊丹、関西、松山、福岡、佐賀、那覇の10空港にも展開する。その後、全国の空港への導入を計画する。【Aviation wire news】
【Yahooニュース提供:VRグラハン作業訓練装置「アトラス」】
2.宮崎空港、誘導路陥没で10/2全便欠航
宮崎空港で10月2日午前8時ごろ、誘導路が陥没しているのが見つかり、完全確認のため滑走路が閉鎖されている。2日の宮崎空港発着便は全便欠航となった。誘導路の陥没は、不発弾が原因の可能性があるとして、陸上自衛隊が佐賀県の目達原駐屯地の不発弾処理隊を派遣。米軍が第2次世界大戦中に投下した不発弾とみられる。誘導路の陥没は、不発弾が原因の可能性があるとして、陸上自衛隊が佐賀県の目達原駐屯地の不発弾処理隊を派遣。米軍が第2次世界大戦中に投下した不発弾とみられる。【Aviation wire news】
【Yahooニュース提供:宮崎空港の誘導路で不発弾が爆発した瞬間映像】
3.羽田空港、C滑走路に誤進入防ぐ「RWSL」設置開始 深夜のC5で作業
今年1月に羽田空港で海上保安庁と日本航空の航空機が衝突した事故を受け、国土交通省航空局(JCAB)は滑走路への誤進入などを防止する「滑走路状態表示灯(RWSL)」の設置工事を羽田空港で始めた。事故現場となったC滑走路(RWY16L/34R)のC5誘導路から工事が始まり、2027年度末となる2028年3月末までに運用開始を予定している。RWSLは、滑走路への誤進入や滑走路横断中の誤出発を防止するシステムで、滑走路進入防止灯や離陸待機灯を点灯させ、パイロットへ知らせる。航空機の位置を検知して自動で点消灯し、管制官の指示とは独立して動く仕組み。羽田のA滑走路には、「可変表示型誘導案内灯(VMS)」が設置されているが、VMSの設置場所を通過後はパイロットが灯火を確認できないため、停止線通過後も確認できるRWSLが滑走路誤進入対策として有効と判断された。工事はC滑走路につながる誘導路で始め、事故が発生したC5から開始。その後、C3、C2、C1へと順次展開する。高速離脱誘導路のC4は除外した。2025年度からは滑走路への設置も開始し、制御装置や灯器設置後に運用を始める。【Aviation wire news】
【Aviation wire提供:夜間羽田空港で行われた「RWSL」設置工事】