KIT航空宇宙ニュース2025WK14
海外のニュース
1. A320neo新エンジンGTF Advantage、FAAから型式証明取得 離陸推力向上、年内に初納入
米RTX(旧レイセオン・テクノロジーズ)傘下のプラット&ホイットニー(PW)が開発した、エアバスA320neoファミリー向けの最新エンジン「GTF Advantage(GTFアドバンテージ)」が、FAA(米国連邦航空局)の型式証明(TC)を取得した。日本からはIHI、川崎重工業、三菱重工業の100%子会社である三菱重工航空エンジン(MHIAEL)の3社が参画している。重工3社が4月2日に発表した内容によると、GTF Advantageは、現行の「PW1100G-JM」型エンジンの改良型で、PWと一般財団法人日本航空機エンジン協会(JAEC)、独MTUアエロエンジンズが設立した合弁会社インターナショナル・エアロ・エンジンズ(IAE)が開発主体を担っている。PWはFAAからの型式証明取得を現地時間2月27日に発表しており、量産エンジンの初納入は今年後半を予定している。【Aviation wire news】

【Yahooニュース提供:GTF Advantageエンジンを搭載したA320neo】
2. パートナーらは水素ヘリコプターの初飛行の成功を歓迎
Unither Bioelectronique (UB) は、有人水素燃料電池ヘリコプターの初飛行に続き、航空業界におけるいくつかの初記録を樹立したと主張している。3月27日、カナダのケベック州ブロモント空港で、改造されたロビンソン ヘリコプター R44 (C-FXUB) の初飛行が3分16秒間行われた。UB は、R44 のピストン エンジンを水素燃料電池パワートレインと Magnix 電気モーターに置き換えた。この構成には、一時的な電力需要を管理するための小型バッテリー・パックも含まれている。飛行中、必要なエネルギーの約 90% は 2 つの燃料電池スタックによって供給された。UBは、この飛行は「水素燃料航空機の適合設計と認証プロトコルの開発に向けた重要な一歩となる」と述べている。さらに、同社は世界初の有人水素動力ヘリコプターの飛行実証、カナダ初の有人水素動力飛行、垂直離着陸用途の燃料電池技術の検証成功など、航空業界初の記録をいくつか達成したと主張している。UBは、昨年8月に発表された「プロジェクト・プロティシティ」と呼ばれるロビンソンとの共同プロジェクトを通じて、水素燃料のR44を開発した。これは、ロビンソンのR44およびR66モデルをベースにしたゼロエミッションヘリコプターの開発を加速することを目的としている。【Flightglobal news】

Unither Bioelectronique提供:ケベック州ブロモントで行われた水素燃料電池による初飛行】
3. 英国はドローンと空飛ぶタクシーを英国上空に飛ばすために2000万ポンド以上を支援
英国航空大臣が本日(2025年4月1日)、新たな飛行技術の導入に2,000万ポンドを超える資金提供を発表したことにより、商業規模のドローンサービスや空飛ぶタクシーが間もなく現実のものとなる可能性がある。新たな資金は、変革計画の優先事項である成長の障壁を取り除き、炭素排出量を削減しながら、より良く安価な公共サービスの機会を最大限に高めることになる。これは、航空技術を進歩させて医療をサポートし、警察の犯罪対策を支援し、重要なインフラの検査と調査を支援し、全国の企業やコミュニティ向けの配送サービスを可能にすることを目的としている。 この一環として、航空大臣と科学大臣は本日、運輸省(DfT)、民間航空局(CAA )、科学技術革新省(DSIT )の新設規制イノベーションオフィス(RIO )が、航空業界の商業化を支援するために規制プロセスを合理化する方法を明らかにした。RIO は、安全性をこれらの進歩の中心に据え、高度な安全基準を確保しながら煩雑な手続きを削減するためのよりスマートな規制を推進する。RIO は、DfTとCAA がドローンと空飛ぶタクシー産業のより迅速な統合を実現し、企業の成長と革新を支援することを支援する。これには、航空機が電子的に位置を共有し、ドローンと有人航空機が安全に並んで飛行できるようにする新しい電子視認性基準と技術の義務的使用に関するコンサルティングが含まれている。承認を迅速化し、運用をより効率的にすることで、最高の安全基準を維持しながら、業界に新たな機会が開かれる。【英国政府ニュース】

【Flightglobal提供:Vertical Aerospaceが開発中のeVTOL機】
4. EHangのEH216-S eVTOLオペレーターが中国の航空運航証明書(AOC)を取得
世界をリードする都市航空モビリティ(UAM)技術プラットフォーム企業であるEHangは、全額出資子会社のGuangdong EHang General Aviation Co., Ltd.(以下「EHang General Aviation」)との合弁会社であるHefei HeYi Aviation Co., Ltd.(以下「HeYi Aviation」)が、中国民用航空局(以下「CAAC」)から民間の有人無人航空機に対する航空運航証明書(以下「OC」)の第一弾を取得したと発表した。EHang は、世界初の無人有人 eVTOL 航空機の型式証明 (TC)、標準耐空証明 (AC)、生産証明 (PC) など、複数の歴史的な認証のブレークスルーをすでに達成している。今回新たに OC が付与されたことで、EHang は規制認証を全て取得した世界初の eVTOL 企業となる。この成果は、低高度有人飛行サービスの商業化と大量導入に向けた大きな一歩となる。【EHang社発表ニュース】

【EHang社提供:中国航空公司よりAOCを取得したEHang社eVTOL機EH216-S】
日本のニュース
1. 成田空港、C滑走路29年3月供用開始 5月から本格着工
成田空港を運営する成田国際空港会社(NAA)の田村明比古社長は4月4日午後、中野洋昌国土交通大臣にB滑走路の延伸とC滑走路の新設について、5月に本格着工すると説明した。2029年3月31日の供用開始を予定している。運用時間も延長され、午前5時から翌日午前0時30分(現在は午前6時から翌日午前0時)までになる。成田空港には現在2本の滑走路があり、第1ターミナル側のA滑走路(RWY16R/34L)は長さ4000メートル、第2ターミナル側のB滑走路(RWY16L/34R)は2500メートル。発着回数の拡大など「成田空港の更なる機能強化」の一環として、B滑走路を1000メートル延伸して3500メートルとし、新たに3500メートルのC滑走路をB滑走路南側に整備する。これにより、年間発着回数が現在の30万回から20万回増えて50万回に拡大。2020年1月31日に国交省航空局(JCAB)がNAAの計画を許可した際、完成は2028年度末の2029年3月31日としており、大臣にも計画通りの日程が報告された。【Aviation wire news】

【Yahooニュース提供:新設される成田空港C 滑走路位置】
2. ANA系avatarin、万博でアバターロボット遠隔接客 セブンイレブンとヘルスケアパビリオン
ANAホールディングスが出資するavatarin(アバターイン、東京・中央区)は、4月13日に開幕する大阪・関西万博の会場内で、アバターロボット「newme(ニューミー)」による遠隔接客の実証実験を始める。セブンイレブン2店舗と大阪ヘルスケアパビリオンの計3カ所に設置し、無人レジやフードスタンドの操作をサポートする。avatarinは、セブン-イレブン・ジャパンの協力を得て、万博会場内のセブンイレブン西ゲート店とウォータープラザ店、大阪ヘルスケアパビリオンのパーソナルフードスタンド前の3カ所にnewmeを設置。会場内のNTTパビリオンのバックヤードから遠隔操作する。期間は開幕日の4月13日から10月13日までを予定している。設置場所のうち、セブンイレブンの店舗では、無人レジの操作に戸惑う利用者をnewmeが支援し、パビリオンではフードスタンドの使い方などを遠隔で案内する。avatarinは、非対面型の案内業務を通じて、接客分野でのアバターの活用モデル構築を目指す。【Aviation wire news】

【Aviation wire提供:ANA アバターイン】
3. ElevationSpace、大気圏再突入カプセルの高空落下試験に成功。福島沖で回収
ElevationSpaceは、宇宙環境利用・回収プラットフォーム「ELS-R」の初号機「あおば」に装備する回収カプセルの高空落下試験 Phase 2に成功したと4月2日に発表。目標とする諸機能を確認できたとしている。ElevationSpaceは、宇宙から地球への輸送サービス開発に取り組むスタートアップ企業。東北大学やJAXAと連携し、宇宙の微小重力環境で研究開発・製造された物資を地球に持ち帰って顧客に返す“国内初”のサービス提供に向け、宇宙環境利用プラットフォーム「ELS-R」の開発を進めている。今回の試験は、2月22日に福島・南相馬市沖の海域で行われたもの。大気圏再突入カプセルの回収プロセスを確認するための試験技術を構築し、Phase 1で課題だったポイントを含む以下3つの項目の正常動作確認を目的としていた。【マイナビニュース】

【マイナビニュース提供:パラシュートが開き、降下するElevationSpaceの再突入カプセル】