KIT航空宇宙ニュース2026WK04
海外のニュース
1. 大韓・アシアナら5社、モバイルバッテリー使用禁止に 1/26から全便
大韓航空は1月23日、機内でのモバイルバッテリーを使用した充電を現地時間26日から全面的に禁止すると発表した。アシアナ航空など、同社を含めた韓進(ハンジン)グループ傘下の航空5社の全便が対象で、機内火災防止への対策を強化する。対象は大韓航空とアシアナ航空のフルサービス航空会社(FSC)2社のほか、ジンエアー、エアソウル、エアプサンの傘下LCC 3社。国内線と国際線の全路線が対象で、モバイルバッテリーを使用し、携帯電話やタブレット、ノートパソコン、カメラなど電子機器への充電をすべて禁止する。モバイルバッテリーの機内持ち込み時は端子への絶縁テープ貼付や、ビニール袋やポーチへの個別収納など、短絡防止措置が必要となる。機内では頭上の手荷物収納棚(オーバーヘッドビン)への収納も禁じており、手元で状態を確認できるよう求めている。グループ傘下の航空各社は、モバイルバッテリー対策をすでに講じている。客室乗務員(CA)の訓練施設には火災を想定した訓練も進め、ソウル・金浦空港近くにある大韓航空の訓練施設には、機内火災を再現できる設備「ファイヤートレーナー」を導入している。チェックインカウンターや搭乗口、機内には短絡防止用の絶縁テープを備えるほか、機内にはモバイルバッテリー隔離用の保管バッグを搭載し、荷物棚には高温度になると変色する「温感ステッカー」を貼付し、異常高温を早期検知する。韓国では2025年1月に、釜山の金海空港でエアプサン機の手荷物収納棚にあったモバイルバッテリーが発火。これを受け、国内外の航空各社はモバイルバッテリーの使用・充電を禁止する対策を講じている。【Aviation wire news】
2. ホライゾン、新しいリフトファン配置でカボライトX7の設計を改良
カナダの新興企業ホライゾン・エアクラフト社は、キャボライトX7垂直離着陸機(VTOL)プラットフォームの設計を微調整し、カナード部の電動ダクトファンの配置を変更し、カナード部と尾翼の形状を変更して性能を向上させた。ハイブリッド電気式 Cavorite X7 の以前のバージョンでは、翼に 10 個、カナードごとに 2 個の小型ユニット、合計 14 個のリフトファンが使用されていた。しかし、ホライゾンの改訂されたレイアウトでは、4 つの小型カナードファンが翼サイズのユニットのペアに置き換えられ合計12個のリフトファン構成となっている。開発者によれば、これは「製造効率の改善、パフォーマンスの向上、メンテナンスの簡素化」を目的としているという。さらに、カナードと垂直尾翼の形状が変更され、抗力を低減し、巡航効率と安定性が向上した。キャビンも拡張され、窓のデザインも見直され、乗客の快適性が向上した。これらの変更は、年末までに完成する予定の同社初の実物大プロトタイプに組み込まれる予定だ。Cavorite X7は、最大航続距離430nm(800km)を時速250ノット(450km/h)で飛行し、乗客6名とパイロット1名、または680kg(1,500ポンド)の貨物を搭載可能。Horizon社は、この航空機を民間および軍事用途に適していると考えている。認証とサービス開始は 2020年台末までに完了する予定。【Flightglobal news】

【Horizon提供:新しい12個のファン構成と、再設計されたカナードと垂直尾翼が採用され田Carvorite -X7】
3. 欧州上空の超音速飛行は2030年代半ばまでに復活する可能性:EASAの分析
英国航空とエールフランスが超音速機の運航を開始してから50年が経過したが、航空輸送部門は依然として亜音速の領域に留まっている。両航空会社は1976年1月21日に同時にBAC-アエロスパシアル・コンコルドの運航を開始し、同機種を28年近く運航した。高速輸送の復活をめぐる不確実性は、欧州航空安全局(EASA)による超音速市場の動向に関する最近の分析で強調されている。これは、高度55,000フィート以上の高空域での運用に関する広範な準備調査の一環である。EASAは、2035年までに欧州の空域における年間の高高度交通量に1万3000回の超音速飛行が含まれる可能性があると見積もっている。これらの飛行は、高空域へのアクセスに対する需要の一部となるが、「従来の航空と比較すると、かなり大きいが、低い」と報告書は述べている。この予測は、超音速飛行は主要都市間を結ぶだけになると示唆した、航空交通近代化パートナーシップであるSESAR共同事業体が2022年7月に発表した前回の報告書よりも楽観的だ。同紙によると、亜音速飛行から超音速飛行への「控えめな」10%転換を前提とすると、2035年には欧州の空域で毎日約8往復(到着と出発はそれぞれ1回ずつ)の便が運航されることになるという。最新の EASA シナリオは、商業またはビジネス部門向けの超音速航空機の提案の大幅な進捗と、顧客の運用の見積もりに大きく依存している。EASAによると、米国に拠点を置くブーム・スーパーソニック社のオーバーチュア・プロジェクトは「最も進んでいると思われる」とのことで、2035年までに商業運航を開始する可能性があるという。さらに、オーバーチュアは超音速機を納入する「唯一の成熟したプロジェクトかもしれない」と付け加えたが、その生産計画やアメリカン航空、ユナイテッド航空、日本航空など候補航空会社の意向は、空域の潜在的需要を推定する機会を提供するとした。分析では、1日33便という中レベルのシナリオが示唆されている。しかし、この予測の極端な範囲は広範に及び、超音速飛行の進化を取り巻く不確実性を浮き彫りにしていいる。超音速飛行の復活には、悪名高いソニックブームや高い燃料需要といった環境問題だけでなく、時間節約とサービス水準が乗客にプレミアム運賃を支払う動機となるかどうかを決定する経済的な側面にも対処する必要がある。【Flightglobal news】

【サフラン・エアロシステムズ提供:エールフランスとブリティッシュ・エアウェイズが1976年1月21日に同時に運航開始した超音速旅客機コンコルド】
日本のニュース
1. 25年12月訪日客、中国45.3%減 3年11カ月ぶり前年割れ
日本政府観光局(JNTO)の訪日外客数推計値によると、2025年12月の訪日客数は前年同月比3.7%増の361万7700人で、12月の過去最高を更新した。学校休暇やクリスマスなど、多くの市場で旅行需要が高まったことが押し上げにつながった。一方、関係が悪化している中国からの訪日客は45.3%減で、2022年1月以来3年11カ月ぶりに前年同月を下回った。出国した日本人は9.6%増の130万700人で、8カ月連続で100万人超え。コロナ前の8割弱の回復にとどまった。JNTOが重点市場としているのは23カ国・地域で、このうち韓国と香港、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピンの7市場で単月の過去最高を記録。残り16市場のうち、中国とロシアを除く14市場で12月の過去最高となった。【Aviation wire news】
2. JAL、成田空港限定の外国免許特認第1号 グラハン運転資格にミャンマー人2人合格
日本航空は1月21日、グループで空港グランドハンドリング(地上支援業務)を担うJALグランドサービス(JGS)で、成田空港で運用される「外国免許特認」制度の第一号取得者が2人誕生したと発表した。2025年12月1日に運用を開始した同制度に基づく国内初の実績で、外国人材の活躍を阻んでいた「運転免許の壁」を規制改革で乗り越え、即戦力としての活用を進める。国内初の特認取得者となったのは、成田でグラハン業務を担うミャンマー出身の社員2人。申請者が大幅に増加し、日本の免許に切り替えるまで半年以上待たされてきた「免許の壁」を乗り越えつつ、指定教習所での仮免許級の技能試験や、空港特有の事故リスクを踏まえた訓練、視力や色彩識別も含めた毎年の適性確認など、安全面では通常より一段厳しい仕組みを整えたのが制度の特徴となっている。【Aviation wire news】

【Aviation Wire提供:成田空港の外国免許特認制度の第1号となったJGSのカインさん(右)とフウさん】
3. ispace、月の南極域めざす新たな着陸船を開発へ ’29年打ち上げ予定
ispaceは、月の南極域への高精度な着陸をめざす「ミッション6」向け月着陸船(ランダー)の開発開始を1月16日に正式発表。ランダーの長期運用技術の獲得や、通信中継衛星を用いた極域でのペイロード活動支援に向けた技術開発も行う。打ち上げは2029年を予定している。宇宙航空研究開発機構(JAXA)が実施する「宇宙戦略基金」事業の第二期公募において、「月極域における高精度着陸技術」の実施機関として採択されたことを受けたもの。今回の採択により、ispaceは最長5年程度、最大200億円の支援を受け、難易度の高い「南極近傍への高精度着陸」と、「通信中継衛星を用いた極域でのペイロード活動支援」といった課題解決に向け、ランダーを中心とする技術開発を推進する。これまでの研究・観測から、月面には大量の水資源が氷の状態で存在し、特に月南極近傍(高緯度域)の永久影領域には水資源が存在する可能性が高いと考えられている。将来的には、深宇宙探査や地球帰還のための宇宙機の推進燃料としての活用も期待されている。月の高緯度域への高精度着陸を可能にすることは、科学的・経済的価値が高く、資源探査やインフラ構築の観点からもきわめて重要な課題となる。ispaceはこれまで、経済産業省によるSBIR補助金を活用しながら、2028年にミッション4で打ち上げ予定の「シリーズ3ランダー(仮称)」の開発を進めているが、極域での高精度着陸技術の検討についても先行的に実施してきた。今回の採択を受け、ispaceは「シリーズ3ランダー(仮称)」を発展させたランダーを開発し、2029年打ち上げ予定となるミッション6の実行を通じて、月南極近傍への安定的な高精度着陸技術の獲得をめざす。【マイナビニュース】

【マイナビニュース提供:月の南極域】
4. 月輸送を“現実のインフラ”に ダイモンとJAXAが「輸送ボックス」共同研究へ
日本の民間企業として初めて、月面に小型探査車「YAOKI」を送り込んだダイモンが、「月面ペイロード放出成功率を向上させる『汎用型ペイロード輸送ボックス』の開発」をJAXA 宇宙探査イノベーションハブに提案。第13回研究提案募集(RFP13)で採択内定した。同社の中島紳一郎代表取締役は「月面実証の成功率を底上げする共通基盤をめざす」とコメントしている。同社が2025年の月面探査「Project YAOKI 1」(PY1)で運用したペイロードボックスの知見を発展させ、より多様なペイロードに対応できる“汎用型”として再設計・高度化するための研究を、JAXAと共に進める。これにより、月面での輸送・保護・放出をより確実にし、月輸送のハードルを下げることで、月面開発のスピードを引き上げるとしている。この研究で開発する「汎用型ペイロード輸送ボックス」は、月面輸送・運用で求められる要件を踏まえ、ペイロードの搭載から月面での放出までを一貫して支える“共通基盤”としての運用をめざす。同社では、月輸送が“現実のインフラ”になることを見据えており、「汎用型ペイロード輸送ボックスが普及すると、月面実証をめざす企業・大学・研究機関が『搭載方式』から検討をやり直す必要が減り、開発と運用の確度が上がる」と説明。結果として、「月面実証の回数・速度が増える」、「月面輸送の運用が繰り返し可能な“物流”に近づく」、「月面での新産業(観測、探査、資源、建設、エネルギー)の立ち上げが早まる」といった波及効果が期待される、とアピールしている。【マイナビニュース】

【マイナビニュース提供:月輸送ペイロード輸送ボックスのイメージ】
5. H3ロケット8号機の第2段、「みちびき」が脱落したまま飛んでいた
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は1月20日、文部科学省の宇宙開発利用部会/調査・安全小委員会において、H3ロケット8号機の打ち上げ失敗に関する原因調査状況を報告した。フェアリング分離時に異常が発生したというのはこれまでの報告通りだが、そのときに衛星やロケットで何が起きたのか、より詳しい状況が明らかになってきた。今回の報告内容を要約すると、まずフェアリング分離時に、衛星搭載構造の一部が損傷。このときはまだ第1段エンジンが燃焼していて加速中のため、衛星はロケット側に押しつけられて一体となって飛行していたが、燃焼が終了すると押す力がなくなり、ロケットから脱落、第2段は空荷の状態で飛行していた模様だ。JAXAがそう推定したのには、複数の根拠がある。まず、第1段/第2段分離後の映像に、衛星本体と思われる物体が映っていること。そして、第2段エンジンの1回目燃焼は推力が20〜35%も低かったのに、燃焼時間は5%程度長くなっただけだったこと。これは、空荷で軽かったと考えれば、説明が付く。さらに、衛星分離部(PAF)に搭載されていた加速度・温度センサーのデータは、第1段エンジンの停止までは正常に取得できていたのに、その後、第1段/第2段分離時に断線したことを示していた。これらのフライトデータを総合すると、第1段/第2段分離時に、壊れた衛星搭載構造ごとロケットから脱落したと考えるのが妥当だ。そのため、衛星は周回軌道には乗っておらず、第1段と同様に、第1段の落下予想区域に落下したものと見られる。事前に通達している海域であり、被害に関する報告などは確認されていないという。【マイナビニュース】

【JAXA提供:フェアリング分離時に発生した何らかの異常により、衛星搭載構造が損傷、第1段/第2段の分離時に衛星ごと脱落】